「祐巳はバスルームに入ったわね。ではこの隙に。」
祥子は机の中から携帯電話を取り出し、いつものホットラインにつないだ。
「もしもし蔦子さん?今日の首尾は?」
「あ、祥子さま。はい、それはもうばっちり。食事の時、祐巳さんの口の周りを祥子さまが拭いて差し上げた所も、当然抑えてありますよ。」
流石は自称写真部のエース蔦子さん。ちゃんと押さえるべき所は押さえてるわね。
「でかしたわ蔦子さん!では、その写真はパネルで。後の写真は後日見せてもらった時にいただくわ。」
「はい、ではいつものように各2枚ずつ焼いておきます。毎度ありがとうございました。」
ああ、これでまた祐巳コレクションが増えるのね。(うっとり)
それはそうと、祐巳ったら、少し遅いのではないかしら。まさかお風呂の中で倒れているなんて事は!?いや、祐巳なら有りえるわ。もしそうなら助けないと。そう、これは祐巳を助けにいくのよ。けして覗きに行くわけではないのよ!
そう自分に言い訳しながらバスルームのドアの方へ歩いて行くと・・・
ガチャッ
「お姉さま、先にお風呂いただきました。」
「(チッ)あら祐巳、あがったの。」
「はい。あのぉ〜、お姉さまのシャンプーとボディーソープ、少し使わせていただきました。」(テヘッ)
ゆ、祐巳!なんてかわいいの。それに上目遣いなんて高等テクニックまで使って!もしかして誘っているの?誘っているのね!?
「あのぉ、お姉さま、いけなかったのでしょうか?」
「いえ、いいのよ。それでは私も入らせてもらうわ。」
危ない危ない。後少し祐巳の言葉が遅ければ襲ってしまう所だったわ。そんな事になったら今日一緒に寝てくれなかったかも。
「すぅ〜、ああ、前回は私が先に入ったから感じられなかったけど、今日は祐巳の香りに包まれて、まるで天国にいるかのよう。」
こんな幸せでいいのかしら。それにこのシャンプー、祐巳が使ったのよね。ああ、祐巳と同じ香り、祐巳とおそろい、祐巳と・・・。(ハァハァ)
「はっ!いけない、いけない。うっかり違う世界に行ってしまうところだったわ。」
そんな事を言いながらも、ついほほが緩んでしまうのはしかたないわよね。あらいけない、いつまでもトリップしていると、せっかくの祐巳との二人きりの時間が減ってしまうわ。
数刻後
「あ、お姉さま。お帰りなさい。」
「祐巳、お待たせしたわね。」
お風呂から上がった後は、祐巳との短くも楽しいおしゃべりの時間。本当はもっと長い間お話をしていたかったのだけど、どうやら祐巳が眠そうだし、また明日も祐巳と過ごせるのだから今日は寝る事にいたしましょう。
二人で一つのベットへ。ああ、幸せで死んでしまいそう。だっ、だめよ祥子、ここで死んだら祐巳の感触を味わえなくなってしまうわ。
「えへへ、なんか照れますね。」
「あら、祐巳。そんな事を言うと、かえって意識してしまうのではなくて?」(ドキドキ)
そんな事言うから、緊張してきてしまったじゃない。祐巳ったら、どうしてこうも私の心をかき乱すのかしら。いけない、平常心、平常心。ちゃんと手はずどおりやらないと。
「祐巳、今日は来てくれてありがとう。うれしかったわ。」
そう言いながらやさしく祐巳を抱き寄せる・・・。よし!成功!祐巳は・・・嫌がってないわね。よかった、拒絶されたらどうしようかと思ったわ。
「わ、私も!お姉さまの家に来れてうれしかったです。」
祐巳ったら顔を真っ赤にして。かわいい!このまま食べちゃいたいくらい。
「ありがとう。」
いけない、ちょっと声が上ずってしまったわ。祐巳は・・・よかった、気付かなかったみたいね。
よし、このまま祐巳のつむじにキスをして・・・ああ、祐巳の体温がぁ・・・ああ、祐巳ってなんてやわらかいのぁ・・・、ああ、なんていい香り・・・、ああ、祐巳、祐巳・・・。
「ゆッ、祐巳!」(ぎゅっ!)
あれ?抱きしめたのに反応が無い?
すぅ〜、すぅ〜
えっ、祐巳ったら眠ってしまってるの!?うう、これからの予定がぁ〜、祐巳とのファーストキスがぁ〜。
「で、でも・・・。」
ああ、祐巳の寝顔・・・かわいい。ほっぺなんてぷにぷにして。
・・・今ならキスしてもわからないわよね。抱きしめても起きないくらいだし・・・。
でも起きてしまったら「もう!お姉さまったら!」なんて上目遣いで言ってくれるかしら?それはそれで・・・。
でもでも、このまま寝顔を見ていたい気もするし・・・、ああ、私はどうしたらいいのぉ〜。
こうして自分の煩悩に押しつぶされ、夜遅くまで悶絶しながら(それでも祐巳を抱いた手は放さずにですが)夜遅くまで眠れない祥子さまでした。
「むにゃむにゃ・・・。お姉さま・・・だいすきです・・・。」
「くはっ!」
訂正、今日は眠れないかもしれませんね。祥子さま。
あとがき
う〜ん、壊れ方がたらないなぁ。
でも今の私にはこれが精一杯かな。
さて、マリみて日記2月18日分で瞳子ちゃんが出ていないと言うことで入れようということになったのですが・・・瞳子ちゃんを入れた為に6話以降の話の予定がめちゃくちゃに。じつは次の回さえまだまとまっていません。何とか来週中にはアップするつもりですけど、たった一人加えるだけにこうも混乱する事になろうとは。ほんと私には文才ないなぁと思ってしまう今日この頃です。