由「祥子さまの家の朝食、豪華だったわね。」
 祐「メイドさんに運んでもらえるなんて生活、私達では考えられないものね。」
 志「でも、もしあれが毎日だったら落ち着かないわよ、きっと。」
 祐「そうかもしれないね。」

初めての合宿 第35.5話 2年生トリオによるこれまでのあらすじ 後編

 由「そう言えば志摩子さん、朝食の時聖さまに呼ばれていたわね。あれはやっぱりその後の悪巧みの話だったの?」
 志「悪巧み?ああ、祐巳さんの相部屋争奪戦の事ね。実は始めは違ったみたいなの。普通に乃梨子を改めて紹介してほしいという話だったわ。」
 祐「乃梨子ちゃんと聖さま、この合宿が初対面なの?」
 志「お姉さまとは初対面じゃないわよ。蓉子さまと江利子さまにって言う意味。」
 祐「ああ、なるほど。」

 確かにしっかり者の志摩子さんが、聖さまに紹介していないって事は流石に無いわよね。

 志「その流れでもう一人、祐巳さんと親しくしている一年生がいると言う話になって。」
 由「可南子ちゃんが呼ばれたと。」
 志「ええ、お姉さまと江利子さまが言いだして、それを聞いた蓉子さまもどうせなら呼んではどうかしらと言われたので。蓉子さまとしてはひ孫候補がどんな子なのか見てみたかったんでしょうね。」

 う〜ん、すっかりこの二人が私の妹候補と言うのが定着してしまっているなぁ。でも、瞳子ちゃんも可南子ちゃんも私の妹になるかどうかなんて解らないのに。特に瞳子ちゃんは私の事それほど好きじゃないんじゃないかなぁ?

 由「それじゃあ、何処であの悪巧みの話がでたの?」
 志「それが私にもさっぱり。お姉さまと江利子さまが目で合図を送りあっていて、蓉子さまも微笑んでいらっしゃるから何かあるのかとは思ったけど。でも、夜話し合っていたわけではなく、あの場で可南子ちゃんを呼ぶことを決めてから思いついたみたいよ。」
 祐「確かに瞳子ちゃんが来たのは突然だし、瞳子ちゃんが来なければ可南子ちゃんを呼ぶなんて話にもならなかったろうしね。」
 由「何の話し合いも無くあれだけスムーズに事を運べるなんて、流石としか言いようが無いわ。」

 前薔薇さま方の企画力と行動力にはいつも驚かされっぱなし。でも、出来たら私に被害が及ばないところでやって欲しいなぁ。

 由「で、祐巳さん争奪戦が始まったわけだ。」
 志「祐巳さん争奪じゃなくて、祐巳さんとの同室権争奪戦よ。」
 由「どちらもそう変わらないんじゃない?要は祐巳さんと一夜を共にする権利争奪戦なんだから。」
 祐「由乃さん、その言い方、ちょっといや。」

 聖さま辺りに聞かれたら、それこそ本当に襲われそうだし。

 志「それはともかく、祐巳さんが優勝商品だって言うのは間違いないわね。」
 由「リボンもつけられているしね。」
 祐「うう・・・。」

 ロリータ服着せられて、全身をリボンでぐるぐる巻きにされた時はどうしようかと思ったわよ。

 志「でも祐巳さんのゴスロリ服姿、可愛くていいと思うけど。祐巳さんは嫌だった?」
 由「そうよ、似合ってたじゃない。祥子さまも見惚れてたし。」
 祐「えぇ〜お姉さまが!(テレテレ)・・・オホン、そりゃあ、私だって可愛い服を着られるのは嬉しかったけど・・・。」
 由「ならいいじゃない。」

 優勝商品なんて枕詞がついていなければね。ああいう服は自分ではなかなか買えないし、何より祐麒に見られたら何言われるか解らないから家じゃ着られないし。

 由「さて、この争奪戦に参加しているのは蓉子さま、聖さま、祥子さま、私、瞳子ちゃん、可南子ちゃんの6人ね。」
 志「最初は令さまも立候補されていらしたけど。」
 祐「由乃さんが強引に下ろさせたのよね。浮気者!って。」
 志「でもそれって、由乃さんにも言えるような気がするのだけれど・・・。」
 由「私はいいのよ、祐巳さんの親友だから。」
 志「なら私も参加してもよかったのね。」
 祐「志摩子さん!?」
 志「フフフ、冗談よ。(乃梨子が居なければ参加しただろうけど。)」

 なんかあの笑顔が・・・。志摩子さんってたまにあんな顔するのよね。聖さまがするような笑い方だけど、綺麗だからより怖いと言うか。いやいや、そんなこと思っちゃだめだよね。

 祐「で、第1種目目はテニス。」
 由「1回戦は私と聖さまの対決だったんだけど・・・。」
 祐「結果だけ見ると大方の予想通り聖さまの勝ち。でも、途中までは由乃さんが押していたのよね。」
 志「お姉さま、本気で焦っていたみたいでしたから、由乃さんがあのまま勝ってしまうかと思ったわ。」
 由「でも負けは負けなのよね。」

 そう言っているけど、あれは大健闘だったと思う。スポーツはまるでダメな由乃さんがあの聖さまを一時とは言え追い詰めたんだから。

 由「続く2回戦は蓉子さまと瞳子ちゃんの対決。」
 志「瞳子ちゃんはテニス上手いのよね?」
 祐「ええ、お姉さまもそう言っていたし、対決前の遊びの時も結構上手いって言う感じがしたから。でも蓉子さまに負けてしまったのよね。」
 由「あれは仕方ないかも。蓉子さまのペースに乗せられてしまっていたし。」

 テニスで負けたというより、蓉子さまの戦術に負けたという感じだったから、ちゃんと自分を持って戦っていたら結果は違ったんじゃないかな?

 由「第3回戦は祥子さまと可南子ちゃん。」
 祐「この対決はお姉さまの勝ち。まぁ、順当って感じかな?お姉さまはテニスお嫌いじゃないと言っていたし。」
 志「祥子さまがそう仰るのなら自信がおありな証拠ですからね。」

 流石に良く解ってらっしゃる。負けず嫌いなお姉さまの事だから、自分の苦手なものは絶対にやら無いからね。

 由「そして曰くつきの4回戦。蓉子さまと祥子さま。」
 祐「あれは・・・ねぇ。」
 志「お姉さまの企みが入っていたから、祥子さまには悪い事をしたわ。」
 由「聖さまもそうだけど、蓉子さまのあれも・・・・。」
 祐「本人は否定していたけど、絶対狙っていたよね。」
 志「じゃなければ全球あたらないわよ。」

 蓉子さま恐るべし。聖さまや江利子さまとはまた違った悪巧みの天才かもしれない。

 由「決勝戦は蓉子さまと聖さま。この二人は接戦だったわね。」
 祐「最後は蓉子さまが勝ったけど、デュースまで行ったもの。」
 志「でも最後は自力の勝る蓉子さまが勝たれて、優勝したのよね。」

 テニス対決では一番盛り上がった試合だったのは確か。力がある程度近かったのがよかったのと、下手に策をろうしてもお互いそれに引っかからないのが解っていたから、真っ向勝負になったのも盛り上がった理由の一つなんだと思う。

 由「でも、テニス対決で一番盛り上がったのはその後よね。」
 祐「へっ?」

 それってまさか・・・。

 志「祐巳さん、蔦子さんに乗せられて、もう少しで蓉子さまとファーストキ・・・。」
 祐「わぁわぁわぁ!」

 もう、あれは忘れたいんだから!ホント、蔦子さんにはひどい目に合わされたわ。

 由「でも、あれで次の対決からよりいっそう勝つぞ!って気持ちが高まったのよね。」
 祐「そんなもので高まらなくてもいいです。」
 志「でも出場している人はいいわよね。審判はいくらがんばってもキスしてもらえないし。」
 祐「!?」
 志「フフフ、冗談よ。」

 またですか・・・。

 由「次の対決はババ抜き。でもその前に、この対決で最下位になった人のバツゲームを決めたのよね。」
 祐「決めたと言うか、結局この時は決まらなかったのだけど、変に盛り上がったのよね、この話題で。」
 志「デュエットの話が出た時はみんな違う宇宙に行っていたみたいだし。」
 由「・・・・。」
 祐「違う宇宙って?」
 志「それは聞かないのがお約束。」

 なんなのだろう?

 由「(祐巳さんって、本当に鈍い所があるよね。)」
 志「(あら、そこが可愛いんじゃないの?)」
 由「(確かにね。)」

 何か二人でぼそぼそ言い合っているような?

 由「さて、次は第2種目目、ババ抜きだけど。」
 志「ここでは祐巳さんがポカをやってしまうのよね。」
 祐「面目ない。」

 あらかじめ言われていたのに、つい顔に(と言うか、声が)出て聖さまがジョーカーを持っているとお姉さまに知らせてしまったのよね。

 由「でも、それ自体はあまり結果には関係なかったかも。」
 志「そうね。1位の蓉子さまはその時点ではすでに勝ち抜けしていたし。」

 そう、蓉子さまはこの対決でも一抜けして優勝してしまったのだ。

 祐「2位は可南子ちゃんで3位はお姉さま。4位と5位が続けてそろった聖さまと由乃さんで、」
 志「最下位は瞳子ちゃんになったのよね。」
 由「あの時は危なかったわ。危うくあの地獄のバツゲームをやられる所だったもの。」

 そう、バツゲームはとても恐ろしいものだった。

 志「最初に祐巳さんに抱きつかれた時、瞳子ちゃんはびっくりしたでしょうね。」
 由「目を白黒させながら、真っ赤になってたものね。」
 祐「そうなんだ。私は抱きついていたからそんなにはっきりとは解らなかったけど。でも耳は真っ赤になってたわね。」
 志「その後に地獄に落とすのに、祐巳さんたら。」
 由「ホント、あれはひどいよね。」
 祐「えぇ〜、最初に抱きついてからくすぐるって言うのはみんなで決めた事じゃない。」

 そう、あれは私の独断ではなく、あらかじめ決められていた事なのだ。その方が面白いと言う江利子さまと、バツゲームの前にちょっと驚かせてはどう?という蓉子さまの提案で。

 志「でも、その後30分もくすぐっていたのは祐巳さんでしょ。」
 由「そうそう。もう息も絶え絶えって感じだったわよ、瞳子ちゃん。」

 天の声(読者の方からもやりすぎじゃ?なんて意見もあったし。)

 祐「あれは聖さまと江利子さまが調子に乗って・・・。」
 由「あら?そうだったかしら?」
 志「私の記憶では最後まで楽しんでいたような気がするのだけれど?」
 祐「・・・はい、その通りでございます。」

 だ、だって楽しかったんだもん!

 祐「そう言えば、バツゲームの後で次の種目を決める時、令さまがゲームをやっていると言う話があったよね。」
 由「ああ、令ちゃんね。やってるわよ。」
 祐「その時どんなジャンルをやっているのって聞いたら、」
 由「ああ、令ちゃんが止めたんだよね。私が言おうとしたのを。」

 そうそう、あれからちょっと気になっていたのよね。

 由「あれはねぇ、フフフ、実は・・・。」
 志「由乃さん、令さまが嫌がる事を陰でするのは良くないと思うわよ。後、祐巳さんも。」
 祐&由「すみません。」

 そうだよね。人の秘密を知りたがるのはいけない事だよね。志摩子さんに言われなければ私、ひどい事をする所だった・・・・。

 志「(由乃さん、令さまの事だからBLのゲームなんでしょ。)」
 由「(うん、そう。なんだ、志摩子さんは解ってたんだ。)」
 志「(令さまがコスモス文庫の読者だと聞いていたから。当然雑誌のほうのコスモスも買っているのでしょう?)」
 由「(うん。なるほど、それでなのか。)」
 志「(普通のゲームなら口止めすることも無いでしょうし。後、祐巳さんにはあまりBLの話は振らないほうがいいですよ。)」
 由「(どうして?)」
 志「(お姉さまの話では、柏木さんがそちらの趣味の方で、祐麒さんを狙っているとか言ってましたから。)」
 由「えぇ〜ホント?」
 祐「えっ?何?何がホントなの?」
 由「いや、何でもない何でもない。」
 志「そう、なんでもないのよ。(ダメじゃない、由乃さん。)」
 由「(ごめ〜ん。)」

 一体何をこそこそ話していたんだろう。あっ、いけないいけない、さっき詮索はしないって反省したばかりなのに。

 由「それはさておき、最終決戦の種目はビリヤードに決まったのよね。」
 祐「うん。何にするかは結構難航したけどね。」
 志「第一回戦の組み合わせも決まって、さあこれからと言う所でこの連載が中断したのよね。それは何故なのかしら?
 由「ああ、それなんだけど、始めはこのビリヤードもダイスでやろうとしたらしいのよ。」
 祐「でも無理だったと。」
 由「そうなのよ、バカよねぇ。」

 バカはちょっとひどいんじゃないかなぁ。でもそれはそうよね。どう考えてもやれるような種目じゃないし。

 志「でも、それではどうしたの?」
 由「それが、今度は自分でビリヤードをやって、その結果でSSを書こうとしたのよ。そうしたら、」
 祐「そうしたら?」
 由「昔行っていたビリヤード場が2件ともこの不景気でつぶれていたと。」
 祐「あら。」

 確かに今はあまり流行っていないし、ビリヤード台は場所を取るから人が来なければ続けられないわよね。

 祐「で、ビリヤード場が見つかるまで休もうと思っていたら、こんなに長い間続きが書けなかったと言うわけなのね。」
 由「そう言う事。でも、近くに見つかったらしいから再開する事になったらしいわ。」
 志「では、もう結果は出ているの?」
 由「とりあえず4回ほどやったらしいけど、納得の行く物じゃなかったから時間があればもう一度やり直したいみたい。でも、時間がなければこのままかもね。因みに4回やった内、どの試合をどのペアにするかはダイスで決めるのでまだ誰が勝ったかまでは決まってないみたいだけど。」
 祐「でもとりあえず続きを書くめどはついたのね。」
 由「そう。だから近いうちに36話がアップされると思うわ。」

 そうして欲しいよね。なにせ1月23日の1周年を最後に止まっているんだから。記念のSSを最後に書いてないってどう言う事なのよ。

 祐「そう言うことらしいので私達の合宿もいよいよ再開されるみたいです。(私自身は同室が誰になるかちょっと不安だけど。)」
 由「来週は私達がディズニーランドに行った時の話を書くらしいから、再来週から再開の予定です。」
 志「長い間お待たせしました。それでは皆さん、また祥子さまのお宅でお会いしましょう。」

 祐巳、由乃、志摩子「それでは皆さん、ごきげんよう。」


あとがき(H17/6月19日更新)

 遅くなりましたが、やっと初めての合宿 第35.5話 2年生トリオによりこれまでのあらすじ、前後編をアップできました。因みに25話以降のあらすじは、これ以上遅くなる訳には行かないので流し読みで書いた為、ちょっと手抜き気味です。その辺はご容赦を。

 文字通りあらすじなのにすごく長くなってしまった。逆から言えばこれだけ長い事この連載をやってきたんですよね。これでもかなり触れていない話があるし、外伝に至ってはほとんど触れていません。それでも前後編になるのだから、こんな長い話に付き合ってくださっている方々には頭が下がります。

 またこのあらすじで初めて触れられた事もあります。(朝食で志摩子さんたちが聖さまに呼ばれた時の話とか。)続に言う裏設定と言うやつですね。こんな事でもない限り書かないんじゃないかな、なんて思いながら、本編を書いている頃を思い出して書いてみました。実は他にもあったりするんだけど、全部書くと長くなりすぎるし、かと言ってもう書く機会は無いだろうなぁ。

 さて、こんな無駄に長い話ですが、次回から再開しますので、これからもお付き合いくださるよう、よろしくお願いします。

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