「なら私も・・・。」
「祥子はここでお留守番。それとも私達をほおって置くつもりなのかしら?」
「・・・はい。」(ま、まずいわ。(汗)ちゃんと隠してあるから大丈夫とは思うけど・・・。)
(この話は乃梨子ちゃん視点です。)
「ちょっとお手洗いに行ってくるね。」
「あっ、私も一緒に行くわ。」
「なら私たちはこの部屋で待ってるわね。」
祐巳さまと蔦子さまが帰ってくるまでの間、私たちは装飾の少ない小部屋の中で少し休む事にした。
「ねぇ令ちゃん、この部屋だけなんか小さくない?」
「そう言えばそうね。」
「実は隠し部屋とか在ったりして。」
「まさか。」
由乃さまも突拍子もないことを考える人だなぁ。確かに映画などでは良くあるけど、普通自宅にそんな物を作る人はいないと思うけど。見られたくない場所にはお客さんを通さなければいいだけなのだから。でも面白そうだから少し乗ってみようかな。
「隠し部屋があるとしたら、この本棚なんか怪しいですね。」
「そうそう、本棚の後ろにドアがあったりして、こう言う百科事典の一つをこう動かすと・・・」
ガタン!
「えっ!?」
静かにスライドしていく本棚。そして現れるドア・・・。
「ほっ、本当にあった!?」
「開けてみよう!」
「ちょ、ちょっと、由乃!」
令さまが止める間もなくドアを開ける由乃さま。
「こ、これは・・・なんというか・・・。」
「うん・・・。」
「まぁ、祐巳さんがいっぱいですわね。」
「お姉さま、そんな冷静に。」(汗)
そこには壁に飾られたいくつもの祐巳さまの写真。
「蔦子さんの撮った物ね。そうかぁ、前からあれだけの写真のフィルム代と現像代、写真部の部費やお小遣いだけでまかなえるものなのかと思っていたけど、収入源はここだったのね・・・。」
「これ、等身大人形って言うの?始めて見たなぁ。」
「まぁ、祐巳さんのお人形がいっぱい。」
「ぬいぐるみからドールまで、これだけあるとなんか不気味ですね。」
50体以上の笑顔の祐巳さまが私たちを見つめてる。1体1体は可愛いんだけど、これだけの数に一斉に見られると言うのはさすがに・・・。
「あっ、令ちゃん!こ、これ!」
「と、等身大抱き枕ぁ〜!?」
そこにあったのは真っ白な縦長の枕に、祐巳さまの写真が等身大でプリントされたもの。でもこれ、新品じゃないわよねぇ、しわとか寄ってるし・・・。
「こ、これって・・・。」
「どう見ても観賞用じゃないわよね・・・。」
「ということは・・・。」
みんな一斉に無言に。今晩、祐巳さまは無事朝を迎えられるのだろうか?
「み、見なかった事にしよう。」
「うん・・・。」
全員黙って部屋から出て、本棚を戻す。そこを見計らったように
「ただいま。あれ?みんなどうしたの?なんかくらいよ。」
「い、いや、なんでもないよ祐巳ちゃん。」
「そう!そうよ。そんな事より早く次の部屋を見に行きましょう。」
「ちょっと由乃さん、押さないでよ。」
「お姉さま、今晩祐巳さまを祥子さまの部屋には・・・。」
「乃梨子、この世の中には「触らぬ神に祟りなし。」と言う言葉もあるのよ。」
「・・・はい。」
祐巳さま、すみません。私も自分の身が惜しいのです・・・。
さてさて、祐巳ちゃんは今晩どうなるのでしょうか?
それは次回の講釈で。
あとがき
初めての合宿、番外編1です。
因みに、この話は本編3の後に書いたので、本編の方に前フリがなく、なんか取って付けたような話になってしまった感がありますね。でも、この話用に本編をいじるのも何なのでそのままにしてあります。
さて、今のところ番外編は3本あるのですが、その3本ともギャグなので番外編はギャグ編と言うことになるのかな?とりあえず、本編のエピソードが番外編の所に差し掛かったら随時アップして行こうと思います。
でもこれ、本編以上に書くのが楽しいなぁ。(笑)