「僕はこの辺でお暇するよ。」
「あら優さん、今日は泊まって行くのではなかったの?」
「流石に女性だけの合宿に僕一人が泊まる訳にも行かないからね。」
と言って柏木さんは帰っていった。でも、なぜだろう?妙な胸騒ぎが。それに帰り際の柏木さんのあの笑顔。なんだか引っかかるなぁ・・・。
数刻後
「ごめんください。」
胸騒ぎの原因、柏木優はとある3階建ての一軒家の玄関に居た。
「夜分恐れ入ります、柏木と言うものですが祐麒君はご在宅でしょうか?」
「あ、はい。ちょっとお待ちくださいね。」
いきなりの訪問に戸惑いながらも母親らしい女性が奥に入ってゆく。
「い、一体何のようですか?柏木先輩」
「おいおいユキチ、そんな腰の引けた態度で接しなくってもいいじゃないか。」
(そりゃあんた相手だと腰も引けるよ。)
「まぁいいか。ユキチ、今日祐巳ちゃん達がさっちゃんの家に行っていることはお前も知っているだろ?」
「はぁ。」
「実はさっきまで僕もそこにいたのだけど、さっちゃん曰く「女性だけではやはり心もとないのだけど、流石に優さんだけで泊めると言う訳にもいきませんから、祐麒さんも誘ってきてはもらえないかしら?祐麒さんがいれば祐巳も心強いだろうし。」と頼まれてしまってね。ユキチなら一緒に泊まっても大丈夫と前回証明されてるからな。」
(祥子さんの頼みじゃ仕方ないか。確かに祐巳も心配だし。)
「まぁそういう事なら。」
「快諾してくれてありがとう。それじゃあ外で待ってるから早く準備してくれよ。」
こうして連れ出された祐麒だったが・・・。
「ここ、祥子さんの家だっけ?」
「いや、僕の家。」
「ここに祐巳達が?」
「いや、祐巳ちゃん達はさっちゃんの家だよ。」
「か、帰る。」
「逃がすわけ無いだろう。」(満面の笑み)
「は、放せぇ〜。」
「照れるな照れるな。」
「謀ったな、謀ったなシャアぁぁぁぁ〜〜〜。」
なむあみだぶつ、なむあみだぶつ・・・
あとがき
途中にバレンタインSSが入ったので、更新がかなり遅れてしまいました。すみません。
さて、この話は本編の第4話の後の話になります。4話の途中で柏木さんが帰ってしまったのはこういう理由だったのです。くしくも祐巳ちゃんの嫌な予感はあたったと言う事です。(笑)
最後の祐麒のセリフ、実はこれを言わせたいが為だけにこの物語に柏木さんを出したのだったりします。(笑)
でも、もし本当にこんなセリフを言ったのだとしたら・・・余裕あるな。祐麒君。(笑)