とんでもスキルで異世界放浪メシ1巻発売記念 オーバーロードコラボ一発ネタ
あくまでネタです。間に受けて怒らないで下さい。
時間軸はオーバーロードは11巻冒頭あたり、異世界放浪メシはweb版265話の最後少し手前です。
「ここはどこだ? つい先程までナザリックの自室に居たはずだが」
アインズは困惑していた。
ドワーフやルーンについてどう処理しようかと思案していた所で、見たことのないダンジョンにいきなり飛ばされたからだ。
「うをっ! エンペラーリッチが再ポップした!?」
「そんなはずは無い。ダンジョンの階層ボスが倒してすぐ再ポップするなんて事は流石にないはずだ」
「そう言うけどなフェル、どう見てもあれは並みのリッチには見えないだろ」
目の前にいるのは・・・フェンリルとスライム、エルフに、あれはなりは小さいがドラゴンか? それと・・・。
「日本人に見えるのだが」
もしかしてプレイヤーなのか? いや、ユグドラシルのキャラクターならあんな平凡な顔をした日本人のアバターは作れないはずだ。
それにエンペラーリッチってなんだ? そんな名前のリッチはユグドラシルにはいなかったはずだけど。
「とっとにかく、このままぼーっとしていたら魔法で先制攻撃されてしまう! フェル、とにかく攻撃だ」
「うむ」
何、攻撃だと。
どこの誰かは解らないけど、攻撃してくると言うのならそれは敵と言う事だよな。
それにもしプレイヤーならみすみす攻撃を受けるまで何もしないのは不味い。
目の前のフェンリルが何かしらの魔法を放とうとした。
しかしその魔法が発動するよりも早く、
「時間対策をしていない? と言う事はプレイヤーではないと言う事か」
魔法速攻無詠唱時間停止によって、アインズの前で見知らぬ敵対者たちは止まっていた。
時間停止中は全ての攻撃が意味を成さない。
だからこそ、アインズは今までも何度も繰り返した時間発動と同時に攻撃魔法を発動する為に数を数える。
「ディレイマジック トゥルーデス」
狙うのは日本人らしき男。
彼の言葉によってフェンリルが行動を起こしたと言う事は、彼がテイマーなのだろう。
ならば彼を殺せば使役している者たちは攻撃をやめるはずだから。
やがて時間が動き出す。
そしてその瞬間アインズの魔法が発動した。
・・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
あれ?
魔法発動と共に得意げにポーズを取るアインズと、いきなり意味深なポーズをとったまま動かない目の前のエンペラーリッチを見てあっけにとられる日本人顔の男。
そして、
ビリビリビリっ!
あばばばばば
フェルと呼ばれたフェンリルの魔法が発動し、強烈な電撃魔法をアインズはその身に受ける事となった。
コントのように電撃によってしびれた後、煙を上げるアインズ。
魔法防御力によって即死は免れたものの大ダメージを受けてしまい、ドリフのコントの書割のようにパタンと倒れる。
「うぬ、我の電撃魔法で力尽きぬとは、こやつただのエンペラーリッチではないな」
「えっ? エンペラーリッチじゃないの? じゃあこいつは一体」
・・・・
「名前、鈴木悟って・・・もしかして日本人!?」
何をしたのか解らないが日本人顔の男はすでに忘れ去りそうになるほどの懐かしい自分の名前を言い当てた。
(これは・・・一体何が起こっているんだ?)
魔法の効果かしびれて動かない体を横たえながら、アインズは自分の知らない方法ので我が身の秘密を知られた事と、なぜ完璧なタイミングではなったはずのトゥルーデスが効かなかったのか解らず、呆然とダンジョンの天井を見上げていた。
■
「なるほど、あなたはこの世界に転移した日本人なのですね」
「ええ。しかしゲームが現実にですか。それは俺以上に数奇な転移経験をしているんですね」
話を聞いてみたところ、どうやらこの人はこの世界に他の人に巻き込まれた形で転移した向田剛志という人らしい。
「向田さんの話からすると私はこのダンジョンのトラップか何かで別世界から呼ばれたモンスター扱いなんだと思います。と言う事はきっと」
そう説明していると自分の存在がスーッと薄くなるような感覚が襲ってきた。
「やっぱり。時間がすぎたから元の世界に強制送還されるみたいですね」
「ええっ? 折角出会えたんだし、私の知らない未来の日本の話で盛り上がりたかったんだけどなぁ」
それに関してはアインズ、いや鈴木悟も同じ思いだった。
しかし、
「これも定めと言う事なんでしょう。でも、一時でも元の世界の人とお話が出来て嬉しかったです」
「俺もです。鈴木さん、アンデッドになっているあなたに対して言うのもおかしな話かもしれませんがお元気で」
「はははっ、確かにそうですね。向田さんもお元気で」
徐々に足の方から体が透けていく。
それと同時に笑顔で手を振る向田さんの顔も、もやがかかったようになっていった。
■
アインズは、気が付くと転移する前に居た自室にたたずんでいた。
「帰ってきたのか」
不思議な事があるものだと考えながらアインズは椅子に座り、先程起こった事を思い返した。
「しかし解らん、なぜトゥルーデスが発動しなかったんだ? まぁ、しなくてよかったといえばその通りなのだが」
元の世界に帰る前に聞いておくべきだったなとアインズが考えていると、
「アインズ様が突然御隠れになられたと言うのはどういう事なんだ!」
「すみません、デミウルゴス様。私にも何がなにやら。突然お姿が薄くなられて、消えしまわれたのです」
ドアの外からなにやら慌てた声が聞こえてきた。
あれは今日の部屋当番だったデクリメントとデミウルゴスの声か?
バタン
そんな事を考えている間にドアが大きな音を立てて開かれた。
「騒がしい、静かにせよ」
「はっ!? アインズ様。失礼いたしました」
いつも冷静なデミウルゴスらしからぬ慌てた表情を見て、先程までの疑問などどこかに行ってしまい、大いに笑うアインズだった。
あとがき
とんでもスキルで異世界放浪メシ(江口 連さん著)はオーバーロードと違い、第1巻が発売されたばかりの作品なので知らない人も多いでしょうけど、とても面白い作品なので、この話を読んで気になった方は一度読んでみるといいですよ。ボッチプレイヤーの冒険のような雰囲気が好きな方はきっと気に入ると思います。
書籍は1巻まで、小説家になろうでは293話までアップされています。(H28 11/27時点)
なぜトゥルーデスが効かなかったのかも読めば解りますからね。
H29・4/23、ちょっとだけ修正