愛ある道化師



神父さんはどこまで日本語をご存じかは


わからない


それでもカタコトの日本語で冗談を言って


私たちを笑わせてくれる

 

私が初めて教会に足を踏み入れた時


外国人の美少年がいた


「神父さんに相談にのっていただきたいのですが・・・」


と私は勇気を持って美少年に尋ねたら


「今はお昼休みです」


とその美少年は答えた


午後一時になって


自分を神父だと名乗り現れたそのお方は


何を言おう


先ほどの外国人の美少年であった


それにはとってもびっくりした

 

私は人生が辛くて


教会に駆け込んだ身


ぐちゃぐちゃに泣きながら


必死に自分の事情を神父さんにうったえた


神父さんはただひたすら聞いてくれた


実にご誠実な態度で


私は安心感を持たせていただいた

 

神父さんは本当は日本語をわかっていらっしゃる


自分を低くするため


日本語がわからないふりをしている


カタコトの日本語の冗談で


私たちの泣き顔を


笑顔に導かれる


神父さんは愛に満ち溢れた道化師