観賞用の花

 

 

私は高貴な花

豪華な花瓶に入れられて

つんとすまして

自分が女王のように振る舞っていますが

 

本当はそうありたくはない

誰もが歩く道端の

草花のように

気軽につまれて

人を癒したい

 

誰もが高貴な存在になりたいでしょうか?

それはその人の価値観によって違うでしょう

 

人は私が高貴な花だと

羨望の目で見てくださいます

 

それが幸せと思いますか?

私は本当は野の花になりたかった

 

野の花は太陽の光を思う存分に受け

自然と溶け合って育つ

 

それなのに私は

物心ついたころから

温室で育てられました

 

温室育ちのお嬢様

それは世間一般では

我儘いっぱいで育ったお嬢さん

と思われるでしょうね

私にとってそれは汚名です

 

温室育ちの私は

花びらに風を受けながら

たまには雨に濡れながら

 

ごく自然に生きたかった

 

そんなことを言えば

人は私を贅沢で我儘だと思うでしょうか?

 

私は高級な花瓶に生けられた

孤独な花

 

大自然の恵みをいっぱいもらい

自由奔放に生きたかった

 

私は観賞用の花

今日もつんとすまし

ちょっとした高級な場所で

自己表現をしています

 

「奇麗ねえ」

と言って見とれてくれる人々

でもその言葉の裏には

『私たち庶民に買えないわよね』

 

と人々に

なんとなくみじめな気持ちにさせ

 

そのたびに心を痛めています