古代宗教

 

 

人は映像に惹きつけられ


美しいものに憧れる


それは昔のこと


世の中は外見の美しさよりも


内面の美しさを重視するようになり


時代は23世紀


人々はテレパシーで話をするようになり


行きたい所へは


身一つで何処へも行けるようになった


23世紀では「映画」は古代宗教として忌み嫌われるようになり


しかし23世紀最後の年に


古代宗教のフィナーレとして


最後の映画を創ろうという思想家が現れた


映画の題は


「虚飾」


“世界一虚飾に満ちた女性を”


といううたい文句で行われたオーディションに


集まった女性はなんと28億人弱


「演技する事は汚い事」


という世の中のしきたりだったのに・・・


23世紀・・・その時


実はファシズムによって


女たちは化粧道具を持つ事を禁止された時代


映画「虚飾」の撮影は


実は革命を起こそうという企てだった


映画「虚飾」は


女たちの教典となり


やがて独裁者は処刑された


“内面の美しさは外見に表れる”


という古代の諺が再び流行った


そして古代宗教=映画の


第一作「虚飾」に次いで創られた


第二作目の映画の題は


「中庸」であった