まやかしの砦


黒いウエディングドレス着た花嫁人形

生まれついての未亡人

 

しがらみを吸い取りまくり

今じゃ

真っ黒け

本当は白いウエディングドレス着たいけど

なぜか黒いウエディングドレス着て

闇の国へ・・・

 

そうなのでした

黒いウエディングドレス着た

花嫁人形は

結婚を夢見つつも

かなわず死んだ少女たちの

とむらい人形

 

ある日

十六歳で死んだ少女は

黒いウエディングドレスまとって

柩に入れられ

死に化粧

その顔清らかで

処女の花嫁は

天国で青年と出逢い














燃える恋の炎で

灰と化したドレス

白となり

夢がかなったとさ

 





だけど本当に可愛そうなのは

死なない黒衣のやもめの女

まっ黒な花嫁衣裳着て

いっそ神に嫁ごうか

 

麗しの黒衣の女

黒い妖精のような彼女は

あやしげだから近づきがたい

 






ある日

麗しの黒衣の女

今までの自分を殺し

人生を突っ走る

 







『私は夢見る相手を間違えていた

白馬に乗った王子は

とっくに落馬したのだ

だから私は隣国の城に押しかけ

女王になろう






隣国の王子。その名はシャパンヤ

気の病からふせっている

一度死んだ私が

彼を救う!






雪よ降れ!

そして私の黒衣を染めよ!!!

王妃になるがため

まっ白に染まるのだ!!!』

 

 

 






さて午後三時

 

 

王子シャパンヤは

遠くから駆けてくる美しい花嫁を見て

生まれて初めて

「紅茶はおいしい」

と感じた

 

何事にも無感動だったシャパンヤ

憂鬱であった毎日のティータイム

 




それが・・・

 

心うつ花嫁の姿を見て

王子シャパンヤは

重苦しい病の鎖から

 

ジャラリジャラリと開放された