美しく神秘なる王子

 

 

大勢のとりまきに囲まれた王子様は

いつもきらびやかに着飾って

宮廷を牛耳り

国民にとても愛されています

皆が皆王子様を誇りに思っています

王子様はとても賢く

まるで絵画から抜け出たように美しいのです

しかし

誰一人として

王子様が笑っている姿を

見た人はいないのでした

王子様の瞳は

まるで澄みきった泉のように

神秘的ですが

誰一人として

その泉にとび込んだことがありません

それなのに

その瞳に魅了されない者はいないのです

王子様の瞳は

天を越えて宇宙を見つめていました

王子様は宇宙の摂理を何もかも知っているのです

いえ知ってしまったのでした

王子様は自分の知った真実を

誰にも言わない方がいいと決意したのです

それは帝王学を学んだ

王子様の深い思いやりと

もともとあった王子様の資質です

もうすぐ父王が息を引き取る・・・

自分が王になったら

宮廷での自分の立場がさらに重要になる

そう思うと自害でもしたいような衝動に駆られ・・・

それでも王国には王の座につける

男子はただ一人

美しいおとぎ話のような平和な王国が

自分がもし自害などしたら崩壊しないか・・・

そう悩む王子様・・・

しかし実際

王子様は自分では気づいていないのでした

自分が心の病におかされていることを・・・

いつか自分が王国を守る定めであること

それは王子様の幼いころからの足かせでした

美しい服など着たくない

賢いなどと言われたくない

美しいなどと言われたくない

と幼いころから心が澄んでいた王子様は

自分を責めていました

自分を低く考えていても

国民はみんな自分のことをさも偉大なように賛美する

それが重荷でした

王子様の宇宙の摂理を知ってしまった・・・

というのは実は妄想でした

それに誰も気づく者もいない

自分でも気付かない心の病

それでも気付いていないのはむしろ幸運とでも言いましょう

王子様は

宇宙の摂理を知ってしまった

という妄想を持ちながらも

理性を保ち

王国を守ることを自分に与えられた使命だと思い

そして世界人類のことまでにも

思いやりを持ち

自分が王に即位したら

今より一層

国民が真の意味で幸せになれるよう

宇宙の摂理をつかさどる

創造主に毎日祈りをささげるのでした