ローズの確執

 

 

ローズにとって恋は辛いもの

好きな人ができて

愛の告白を何回しても

いつもことわられるばかり

『勇気がなかったのではないわ・・・』

そう思いながら

ローズは精神病院の

門から出た

 

ローズの髪には白いものが混じっていて

若かりし頃の

みごとな黒髪の輝きは

影をひそめていた

 

 

「ローズ。あなたはまるで白雪姫のようね」

そう言いながら

ローズの母は幼いローズの髪を撫でた

ローズの母は

今は亡き人で

ローズがひどい躁状態で

精神病院の保護室に入っていたときに亡くなったのだった

ローズはたったひとりの肉親である

母親の葬式に出席できなかった

 

 

「白雪姫・・・」

今思うとあれは幻想ね

あれはママのひとりよがりな思い込みよ。

私は白雪姫のように美しくなんてない

ましてや白雪姫のように心優しくもないわ・・・

 

私は真っ黒で不気味はカラスだったのよ

でもずっと私は自分のことを

白雪姫だと思い込んでいた

いつも王子様みたいに位の高い

分不相応な男性ばかりに思いを寄せて・・・

でも私はカラスだったのだわ

 

カラスにはカラスなりの生きかたがある

これからはカラスなりの

自分と相性のいい

男のカラスをみつけて

両思いになってみたいものだわ・・・

でも・・・

私はもうカラスでもないのよ・・・