世界一の境遇


どうせ私は・・・

ふと溜息をつく

 

私は誰よりも不幸な星に生まれている

 

そう思ってうなだれる

 

世界一って

何かいい方に考えて

誰よりも何かが優れていることだけが

世界一

だとでも思うのか

 

しかしどうだろう

 

どうせ私は・・・

と思う時

自分が世界一だと思ったらどうか

 

私は世界一不幸だ

 

そう思ってしばし考えて

 

・・・そうか・・・

 

自分が世界一不幸だと思うなら

自分は世界の全ての不幸をしょって

生きている・・・

 

ならば

世界中の人々の不幸を

全部自分が経験しているのだ

 

そう思うと

 

世の中の誰もの不幸を

私は理解できる・・・

 

そう思えば楽になる

 

そうだ!

私は不幸を与えられている・・・

 

しかしこの世は

ありとあらゆる苦悩があり

 

どうせ私なんか・・・

と思う自分に理解不可能な

苦悩だってきっとある

 

誰もが世界一の存在

 

不幸は誰にでも与えられている

 

また何も与えられないという不幸だってある

 

苦悩は数知れずある

 

個々の存在に秘められた苦悩

 

・・・それは与えられている・・・

 

そして誰の人生も世界一

味のある境遇なのだ