シンデレラのいいなずけ

 

 

私は汚い女です

魔女の力を借りて

巨万の富を得たのです

 

人は勝手に情熱的に私のストーリーを

美しく思って

いと可憐だと私のことを

思っていらっしゃるようですね

 

継母にいじめられ続けて

私は復讐をすること心に秘め

忍んでいました

 

実は私には産まれた時からの

いいなずけがいました

 

本当はねその

いいなずけのことが私は好きだった

いえ心から愛していました

 

そのいいなずけも

落ちぶれて

ただ家柄が貴族ということだけが

プライドとなってしまった

貧乏貴族の息子で

 

・・・でも、本当は相思相愛でしたけど・・・

 

私は継母と姉妹を見返してやりたいと

一時の考えで

魔女の力を借りて

舞踏会へ赴きました

 

見事に王子様の心をとらえたものの

それは本当の愛ではなかった

 

ただ贅沢な暮しを私はしているんだと

見返したかった

 

わざと脱いだガラスの靴

 

ただ足が人並外れて

小さいこと

それを証拠に残して・・・

それも魔法でした

魔女の策略です

 

私の小さな足も

魔法をかけただけです

小さな足がいと可憐だと

そう思わせるのも魔法です

 

そうして私は王家に嫁ぎました

 

しかし

本当は私の心は王子様にいっこうに向かなかった

 

幼いころからのいいなずけ

あの人が忘れられなくて・・・

 

私はいいなずけの心を裏切り

王子様の心も裏切り

 

・・・そして自分の心も裏切り・・・

 

つくづく自分が馬鹿だと嘆きながら

今日も飽食し

着飾って

毎日心の中では泣いているのでした