象牙の塔に隠れて

 

ホゥ〜と溜息つかば

一瞬の楽に相違ない

自身を耕すために本を読む

戸を閉め切った部屋で

昼でもカーテンを閉めきって

蛍光灯の光だけで暮らす

次々と読破してゆく本は部屋に散らばり

我は秀才だと叩きこむように思いこむ

ひそかに生きることは美徳ではなく

実は自分で自分を殺していく

大袈裟に言えばそれは犯罪である

誰かが臨終の時言ったという

「もっと光を・・・」

我今思うなら臨終の時

「もっと闇を・・・」

と言いたいほど闇を求める日々

象牙の塔に隠れて我思う

過去は醜く

現在も醜く

さらに未来までをも

醜くく生活して行くつもりか?

我一生防空壕に隠れ住む

100歳になったら地上に出てみようか?

などと想像し

実は今すぐにここから逃げ出したい・・・が

逃げ場がない!

というのは嘘で

逃げ場など作りたくもないし

逃げたくは本当はない

ただ美しい物語の本の世界が

自分の本当の世界だと思いたいのだ