約束の日｡集合場所に来て見るとなぜか人数が増えてる・・・｡
「ごきげんよう。ところで蓉子さまや江梨子さまはともかく、蔦子さんがなぜここに？」
「ごきげんよう。それは昨晩、聖さまからお電話をいただいたからよ｡」
そう言いながらジト目で質問する私をパチリ。もう！こんな顔を取らないでよ。
まぁ、蔦子さんがいれば私服姿のお姉さまとの写真も撮ってくれるだろうからいいか、なんて考えてる私。
「それにしても壮観な眺めね｡」
「んっ？」
「だって、私服姿の新旧山百合会メンバー勢ぞろいなんて画、そうそう見れるもんじゃないわよ。｣
「そう言えばそうだね。」
ほんとみんな綺麗な人ばかりだし、いつもの制服と違って各自が各々のセンスで選んだ私服を着ていると、なんだかファッションショーの楽屋にいるみたい｡
「はぁ、でもこんな中にいると、劣等感感じちゃうよ。｣
「私は祐巳ちゃんが一番可愛いと思うなぁ！」
その声に振り向く間もなく、何者かが私の後ろから抱き付いてきた。
「ぎゃう！わ、わ、聖さま、こんな所で抱きつかないで下さいよぉ！」
「かわいい祐巳ちゃんを前にして、場所なんてかまってられる訳ないじゃない。」
そう言いながら私のほっぺに自分のほっぺをつけてすりすり。うう、私のリアクションを見て楽しんでるのね。それが解っているならリアクションしなければいいのにって由乃さんに言われるけど、恥ずかしいんだから仕方ないじゃない。
「ごきげんよう。みんなそろってる？」
「は〜い！」
そんな中、颯爽とお姉さま登場。そしてそれに一番早く反応して返事をする抱きついたままの聖さま。あ、お姉さまがこっち見た・・・う〜、目が怖いよぉ・・・。
「聖さま！何をしてらっしゃるのですか？！」
「ああ、いとしの祐巳ちゃんがぁ〜。」
お姉さま、怒った顔もステキです。なんて思ってる暇もなく聖さまの腕の中から強奪される私。今度はお姉さまの腕の中へ移動して・・・私、こんなに幸せでいいのかしら。
「まったく、油断も隙もない。」
「祐巳ちゃん、まったねぇん。」
ブツブツ文句をいうお姉さまと悪びれもせず笑顔で手を振る聖さま。そしてそれを見ながらクスすく笑う友人達。そうですか、私はさらし者ですか・・・。
「さぁ、全員そろっているようだし、移動しましょう。」
「お、お姉さま。あのぉ〜・・・」
その状態のままお姉さまに連行される私。う〜、うれしいけどちょっと恥ずかしいよぉ。
「祐巳さん、その表情もらい！」（パチリ）
蔦子さん、こんな所撮らないでよぉ〜！あっ、でも後で焼き増ししてね。（テレテレ）
そうこう言っている内につれてこられた所には・・・なにこの大型バスは！？お姉さま解ってますか？私達は１０人ですよ。
唖然としながら見ていると、私たちの横をすり抜けて由乃さんがうれしそうに中へ。
「１番乗り！・・・わぁ〜！」
「え、どうしたの？」
その声に驚いて私も乗り込んでみると・・・。
「・・・・・！（絶句）」
これはバスなんでしょうか？普通の座席が取り払われ、変わりに革張りのソファーが。おまけに内装もかなり豪華になってるし。外からは見えない仕様になってたから解らなかったけど、中はまるでどこかのホテルのフロアのよう。
「どうしたの祐巳？後ろがつかえてるわよ。」
「は、はい！」
どうしたのって普通は驚きますよ、バスに乗ったらそこにホテルのフロアがあったら。他のみんなも口々に驚きのお声上げてるじゃないですか。乃梨子ちゃんなんて開いた口がふさがらないって感じだし。
「席は特に決めていませんからご自由に。」
とか言いながら私を一番前の二人掛けに座らせて、となりに座るお姉さま。って、席の隣から毛布を出して早速寝る準備に入ってるし。（今回も車内での楽しいおしゃべりタイムは無いのね・・・。）
さすが豪華リムジンバス。乗り心地も最高で、ほとんどゆれる事無く走って行く。でも、妙に落ち着かないのは豪華すぎる内装のせい？私が庶民だから？それともお姉さまがとなりで寝息を立てているから？あ、乃梨子ちゃんや蔦子さんも所在無げにきょろきょろしてる・・・。良かった仲間がいて。
そうこう言っている内にバスは小笠原家の敷地へ。初めて来る由乃さんはすっかり大騒ぎで、乃梨子ちゃん達がいるのも忘れて「令ちゃん、本当に広いね。この敷地に私達の家が何軒くらい入るかなぁ。」なんて言ってるし。あ、ここは学校じゃないから令ちゃんでいいのかな？
流石にこの大きなバスで玄関までは行く事が出来ないようなので、前に聖さまと一緒に来た時に車をとめた駐車場で降りる事に。するとそこには見覚えのある赤いスポーツカーが。えっとこれはもしかして・・・。
「あ、あの唐辛子色のキザな車は！」
聖さまも気付かれたみたい。ああ、なんだか先が思いやられる・・・。
あとがき（Ｈ16/１月２６日）
第２話が終ってまだ屋敷にもついていない。
ああ、ホント、いつになったら本題へ行けるんだろうか？（苦笑）