つんつん、つんつん
 ・・・返事が無い、ただの屍のようだ。

初めての合宿32

 と言うのは冗談で、床に転がっているのは瞳子ちゃん。ぐったりとしてしまって、もうすっかり息も絶え絶えって感じ。それはそうだよねぇ、調子に乗って30分くらいくすぐっていたもの。

 「ちょっとこれはやりすぎたかな。」
 「まぁいいんじゃない、祐巳ちゃんに抱きつかれてこの子も幸せそうだったし。」

 なんて私と一緒にくすぐった当事者である聖さまと江利子さまは無責任な事言ってるし。

 「そう言う祐巳さんが一番無責任そうな顔してるじゃない。」
 「ごもっとも。」

 確かに蔦子さんの言う通り。でも、そう言う蔦子さんも息も絶え絶えな瞳子ちゃんに対して、

 「その上気した頬が色っぽくていいねぇ。」

 なんて言いながら介抱もせず、ひたすら写真をとっているのだから十二分に無責任なような?

 「だって、私はこう言うキャラですから。」
 「ごもっとも。」

 などと私と蔦子さんが漫才のような会話をしていると、蓉子さまが、

 「はいはい、十分楽しんだでしょ。罰ゲームはそこまで。そろそろ次の対決を何にするか、決めなくてはいけないのではなくて?」

 と、場を締めた。すると、

 「そうね。瞳子ちゃんが話し合いに参加できそうも無いけど、回復を待っていたら時間がなくなってしまいそうだしね。」
 「それでは何にするか、みんなの意見を聞こうか?」

 流石は元薔薇さま方。蓉子さまの一言で、今までのおちゃらけムードからさっと切り替える。

 「最初がトーナメントで次が一度に全員での勝負だったから、最後は総当たり戦?」
 「由乃、流石にそれをやったら時間がたらないでしょ?」
 「そっか。」

 令さまの発言に、あっさりと自分の案を引っ込める由乃さん。せっかく出した案を令さまに否定されたにもかかわらずさらっと流す辺り、由乃さんも本気で言ったわけでもなさそうだ。もし考えての発言だったら、由乃さんの気性からして間違いなく令さまに喰って掛かるだろうし。

 「でも総当りはともかく、やはり一対一のトーナメントにはしたいね。最後くらいは対決で盛り上げないと。」
 「そうね。では個人戦ができる物限定で何か意見はないかしら?」

 少しの沈黙の後、乃梨子ちゃんがふと思いついたように、

 「先ほどの罰ゲームで出ていた、カラオケはどうでしょう?点数の出る機械もあるし。」
 「う〜ん、それはちょっと難しいかな?」
 「どうしてです?」

 乃梨子ちゃんの意見を却下した聖さまがその理由簡単に説明してくれた。

 「ここに機械がないでしょ?先ほどの罰ゲーム程度なら適当な音源でもあればできる事だけど、点数付きのカラオケとなるとどうしてもカラオケボックスまで行かないといけなくなる。」
 「そうか、流石にそこまでする時間は無いですね。」

 要するに先ほどの由乃さんの総当たり戦と同じ理由で却下な訳だ。

 「ならテレビゲームとかは?」

 ふと、祐麒が前に人対人で対戦するのが面白いと言っていたのを思い出して言ってみたのだけれど、

 「祐巳ちゃん、祥子が持っていると思う?」
 「たしかに。」

 これまた聖さまの「何を解りきったことを。」と言わんばかりの一言で却下されてしまった。確かにお姉さまが部屋で一人、テレビに向かってゲームをやっている姿は想像できない。

 「令ちゃんは持っているのにねぇ。」
 「由乃、余計なことは言わないの。」

 外見はともかく、中身は完全に女の子の令さまがゲームをするなんてちょっと意外。どんなゲームをやるんだろう?

 「祐巳さん、意外そうな顔ね。別に令ちゃんは格闘ゲームやロールプレイングゲームをやるわけじゃないのよ。実はね・・・」
 「由乃!」
 「はぁ〜い。令ちゃんが怒るから、また今度教えてあげるね。」

 ???言ったら怒るようなゲームって、いったいなんだろう???

 「ああ、令の趣味はねぇ・・・」
 「お姉さま!」

 江利子さまも何かを言いかけたのだけど、令さまの一言で「あぁ〜怖い怖い。」などと言いながら黙ってしまわれた。

 「オホン、それはともかく、何かいい案はない?何でもいいから言ってみて。」
 「サッカー!」
 「一人じゃ出来ないでしょ。」
 「野球。」
 「同じ事じゃない。」
 「なら野球板!」
 「聖、何処にあるのよ?そんなもの。」
 「プロレス!」
 「あのねぇ。」
 「しりとり!」
 「ちょっと地味じゃない?」

 と、まぁいくつかの案が出たの物の、なかなかいい案は出てこない。

 「ここまま言い合っても仕方がないから、今この屋敷にあるもので出来ることを考えた方が早いかもしれないわね。」
 「この家にあるものかぁ・・・あっそうだ!ねぇ祥子、あれあったわよね?」

 流石にこれでは埒があかないと蓉子さまが一旦止めて意見を整理しようとしたところで、聖さまが何かを思い出したようにお姉さまに耳打ちをしだした。

 「ええ、お父様がお好きですし、優さんもこの家に来られた時はいつもやっているようですから。」
 「ああ、あれの事ね。確かにあれならいいかもね、1対1で争うと言う条件も満たしているし。」
 「なら決まりね。」

 お姉さまの言った事で蓉子さまにもピンときたらしく、同意が得られたので聖さまが次の種目の提案を口に出した。それは・・・


あとがき(H16/12月7日更新)
 今回もちょっと予定よりも遅れてしまいましたが、何とか無事32話をアップすることが出来ました。本当は今回、次の対決の種目を発表しようかと思っていたのですが、良く考えると他に説明しなければいけない事があり、それだけで後1話持たせるのは大変そうだったのでちょっと引っ張って見ました。(笑)

 さて、今回も前回同様、今までwab拍手で送ってもらった対決案を使わせてもらっています。最初のカラオケと言うのと、ゲーム、サッカー、野球、野球板というのは8月24日と26日の日記に書いてある通りJackさんと言う方からの物で、プロレスは匿名の方からです。因みにしりとりはさっき考えました。絶対選ばないであろう者という条件で。(笑)

 これまた前回も書きましたが、案を送ってもらえるとそこから話が進められるので本当にありがたいです。他にもこんな事が見てみたいなぁなんてのがあったら書いてもらえるとうれしいです。初めての合宿に使えないものでも、時間があれば単発のSSででも使わせてもらいますから。

 最後に途中で令さまのゲームの話が出ていますが、これについては外伝で書くかどうか未定です。実は元ネタになるSSがあるのでそちらを外伝ではなく別物として書くかもしれないので。まぁ、期待しないで待っていてください。

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