「ところでビリヤードはいいけど、どのスタイルでやるの?やっぱりオーソドックスなナインボール?」
 「そうね、他のルールは良く解らないし。」

初めての合宿34

 と言う訳でビリヤードのナインボールで競う事が決定。続いて江利子さまから得点に付いての説明があった。

 「現在のポイントは蓉子が1位で10ポイント、続いて聖と祥子が4ポイントで2位、そして3位が3ポイントの可南子ちゃん、残りの二人はまだ0ポイントね。」
 「うう、悔しい!」

 すかさず癇癪を起こす由乃さん。がんばってはいるんだけど。

 「この結果から見て、そのままの得点方式では誰が1位になっても蓉子の優勝が決まってしまうのでちょっと変則的なルールにします。」
 「変則的なルールですか?」
 「そうよ。まず得点だけど1位は10点、2位は6点、3位は4点、4位は3点、後の5位6位は0点とします。」

 なるほど、基本は今までの倍と言うわけか。あれ?でも・・・。

 「江利子さま、これは今までの点数の倍という事ですよね。でもそうすると4位は2点では?それにその点数だと普通5位は2点、6位は1点になるんじゃありませんか?」

 そう、私もそう思った。由乃さんの言う通り、流れからすると当然そうなるはずだよね。

 「もしそうすると、蓉子が優勝する確率が高くなりすぎてしまうでしょ。」
 「あっそうか!」

 由乃さんを筆頭にうなずくほかのメンバー達。でも・・・???どう言うこと?周りのみんなは解っているみたいだけど。

 「祐巳さん、たとえば由乃さんや瞳子ちゃんが1位になったとしたら0+10で10点で、たとえその時聖さまや祥子さまが2位になったとしても6+4で同じく10点。こうなった場合、蓉子さまは最下位になったとしても優勝してしまうのよ。」
 「ああ、なるほど。」

 私が不思議そうな顔をしていると志摩子さんが助け舟を出してくれた。ありがとう、確かにその通りだね。

 「この場合蓉子が2位以上で優勝、3位以上なら1位が誰でであってもプレーオフで優勝する可能性が出てくるようになっているけど、今までの成績から言ってこれくらいの優位さはあってしかるべきでしょ。あと、4位が3点なのは2点だと可南子ちゃんが優勝した場合、蓉子が4位になっても聖や祥子と同じく優勝が決まってしまうから、その場合はプレイオフになるようにして2位の二人との差をつけたのよ。」
 「それにこのルールなら今0点の由乃ちゃんや瞳子ちゃんも逆転できる可能性も出てくるわけだ。」

 聖さまが言うとおり、蓉子さまが5位以下の状態で優勝すれば現在0点の由乃さん達でも10点で並ぶ。

 「上位4人の誰かが1位になったらそこで祐巳ちゃん争奪戦の優勝もそこで決定。もし決まらなかった時はトップで並んだ人でプレイオフと言うわけよ。」
 「確かにこのルールだと最大3人が10点で並ぶ事があるけど、ビリヤードなら3人で打つ事が出来るものね。」

 そう考えるとこのビリヤードと言うゲームはいいのかもしれない。

 「あっでも、今までのトーナメント方式だと、4位と言うのは存在しないんじゃないですか?」
 「だから変則的なルールにするって言ったでしょ祐巳ちゃん。当然考えているわよ。」

 私の疑問に答えてくれたのは令さま。

 「その事についても先ほどお姉さまと話し合ったんだけど、トーナメント方式もちょっと変えます。まずは今まで通り二人での対決。そして勝った3人と負けた3人がそれぞれもう一度対決します。」
 「この時点で蓉子が勝ち組みにいて、私と祥子が負け組みにいたら蓉子の優勝決定って訳か。」

 確かにそうなると現在4位の可南子ちゃんが優勝しても13点、蓉子さまの得点が14点以上になるので決まってしまう。

 「こればっかりは仕方が無いわよ。今まで2度蓉子が優勝して普通なら3回戦をやらずして蓉子の優勝ということになるんだから。」
 「それはそうだけどね。」

 最後だけ勝ったら優勝なら別に前の2戦はやる必要の無い勝負だったという事になってしまいますものね。

 「話を続けます。先ほど決まった3人ずつで再度1ゲーム。ここでの勝者が1位と4位です。そして勝ち組みの方の残った二人で再度ゲームをして2位と3位を決めるというルールにしました。」
 「う〜ん、どうせなら5位と6位も決めてまた罰ゲームやら無い?」

 (びくっ!)
 今の聖さまの発言を聞いて、いまだ床に転がっている瞳子ちゃんが大きく反応した。それはそうだろう、あんな目にあったんだし。(あっ、あわせたのは私か。)それに他のメンバーもあまり乗り気ではなさそう。その瞳子ちゃんの姿がまさに明日は我が身だしね。

 「やめておきましょう。誰も瞳子ちゃんみたいにはなりたくないでしょうし。」

 その光景を見て苦笑しながら令さまが却下してくれたので最下位決定戦はなし。でも、その言葉を受けて聖さまが言った一言というのが・・・。

 「残念。私も最下位になって祐巳ちゃんに抱きついてほしかったのにぃ。」

 おひおひ。


あとがき(H17/1月15日更新)
 本当は10日頃にアップするはずだった初めての合宿第34話、やっとアップできました。今回は得点とトーナメントの事だったんですが実はかなり悩んだんですよ。(書くのに2時間半ほど掛かってしまった。)

 本文の中で聖さまが言っている通り、このルールだと聖さまと祥子さまが一回戦で負けて蓉子さまが勝ってしまうとその時点で蓉子さまの優勝が決まってしまいます。かと言って1位を14点以上にしてしまうと蓉子さま以外はとどかないから、それこそ今までの勝負が意味の無いものになってしまう。

 その他にも1位と2位以外は0点とかも考えましたが、これだとこれまた蓉子さまのいままでの優勝というのがあまり意味の無いものになりそうです。という訳でこのような結果になりました。これなら上位3人の誰が1位になっても優勝。4位の可南子ちゃんが優勝して蓉子さまが4位ならプレーオフ、現在0点の二人も優勝して蓉子さまが5位以下ならプレーオフです。

 まぁ、4位の3点はなくてもいいんじゃないかという人が出てきそうですが、先の2回で共に優勝しているんだからこれくらい差が無いとかわいそうだと思いませんか?蓉子さまが。(私としては5位以下になって欲しいなぁなどと思っていたりもしますが。(笑))

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