う、う〜ん、低血圧のせいか、いつも朝は苦手だわ。でも今日はとなりに祐巳が・・・って!
「ゆゆゆゆゆゆ、祐巳!これはいったい!」
「う〜ん、お姉さま、おはようございます。何かあったのですか?って・・・えぇぇぇ〜!」
お姉さまの視線に沿って目を向けると、そこでは瞳子ちゃんが私の腕の中ですやすやと寝息を立てていた。
どうしてここに瞳子ちゃんが?確か昨晩はお姉さまに抱きしめられて眠ったはずなのに、起きたら瞳子ちゃんを抱きしめて寝てたなんて・・・。誰かの陰謀?
「ゆ、祐巳。これはどう言うことかしら?」
ああ、お姉さまが怒ってる。冷静を装おうとしてるけど目が完全にヒステリーモードに・・・。
「私にも何がなんだか。」
「でも、今あなたはしっかりと瞳子ちゃんを抱いていたわよ。」
「いえ、でも、それは、その。」
「はっきりおっしゃいなさい!」
うぅ〜何がなんだか解らないよう。私が何が起こったのか解らず頭を抱えていると、となりで寝ていた瞳子ちゃんが眠そうに目をこすりながら体を起こした。
「あ、祥子お姉さま、祐巳さま、おはようございまふ。」
「と、瞳子ちゃん、これは一体どう言うことかしら?」
「祥子お姉さま、目が怖いです・・・。」
そう言う切り返しをするか、この子は。そんな事より・・・。
「瞳子ちゃん、なぜあなたが私のとなりで・・・」
「寝ていたかと言うのですか?」
そう言って笑う瞳子ちゃん。ああ、お姉さまの眼光がより一層鋭く・・・。よく瞳子ちゃんは平気でいられるなぁ。私なら震え上がっているよ、きっと。
「昨日の夜、優お兄さまから祥子お姉さまの家に皆さんが泊まりに来ていると聞いたので、今朝早くこちらに伺ったんですよ。」
「ふむふむ。」
「すると、まだ誰も起きてはいない御様子。そこで祥子お姉さまを起こそうとこちらに来たら。」
「私もいたと。」
「でも、だからと言って祐巳のとなりで寝入る必要は無いのではなくて?」
お姉さまの声がかすかに震えている。これが瞳子ちゃん相手じゃなければとうの昔に爆発しているだろうなぁ。
「そこなんですよ、聞いてください祥子お姉さま。」
あれ?瞳子ちゃんの喋り方がなんか芝居がかってきたような・・・。
「祥子お姉さまの横で祐巳さまが寝ていたので、先に起こそうとしたんですよ。そしたら・・・。」
「そしたら?」
嫌な予感。
「祐巳さまったら寝ぼけて、瞳子を抱き寄せたんですよ。それはそれはすごい力で。瞳子、力が無いから振りほどけなくってそれでそのまま。」
「ゆ〜みぃ〜。」
ああ、お姉さまの怒りの矛先が私の方に・・・。
「うっ、嘘、そんな事ある訳無いじゃない。それに寝ぼけている私より力が無いなんて・・・。」
「祐巳さまったら、強引なんだからぁ。」
ああ、瞳子ちゃん、なにそのほほに手を当てて恥ずかしがるような素振りは!これ以上お姉さまを挑発しないでよぉ〜。
「・・・・・」
む、無言のプレッシャーが・・・。嘘です、無実です、ああ、お姉さまが・・・だれか、だ〜れ〜かぁ〜、た〜す〜け〜てぇ〜。
「(ふふふ、祥子お姉さまなんかと一つのベットで寝た罰です。)」
祐巳の体温の残った布団の暖かさを楽しみながら、祥子さまに怒られる祐巳をいとおしそうに見つめる瞳子ちゃんであった。
あとがき(H16/3月8日更新)
少々間があいてしまってすみませんでした。瞳子ちゃん登場に少し手間取ってしまいまして。初めはこんな登場ではなく、普通に朝、祥子さま宅に訪問してくると言う話だったのですが、まるで面白みがなく、また瞳子ちゃんらしくないということでボツ。ではどうしたらいいかと思ったのですが、今度は祥子さま拠りにするか、祐巳ちゃん拠りにするかで悩んだ為(結果は見ての通りです。)アップするのが遅れてしまいました。
因みに、当然半分まで書いた祥子さま拠りの原稿もあります。そちらの方では祐巳ちゃんはベットではなく床の上で寒さに震えて目を覚まします。(爆)でも、流石に瞳子ちゃんが祐巳ちゃん相手にこれはしないなと思ったので、こちらの方が採用されました。私個人としてはやっぱり祥X瞳ではなく祐X瞳なので。(笑)
さて、実はこの話はまだ続きます。にもかかわらず途中で切ったのは、ここからは瞳子ちゃん視点になるから。
それに、体が本調子ではないので一気に書き上げるには少し辛いんですよ。書くには書けても、話がまとまらなくなりそうで。(この話も後で見るとかなり変な感じがするだろうなぁ。)
と言う訳ですので後は次回の講釈で。