「普通のジェットコースターより怖いんじゃないの?あれ。」
「ゆったりとした流れと、そこまでのアトラクションで安心させておいての急降下だから、びっくりしてしまって今でも少しドキドキしているわ。」
確かにスプラッシュマウンテンは途中までと最後の落差が激しいよね。でも、それが面白いと思うんだけどなぁ。
「あっ祐巳さん、写真があるわよ。」
「うん、このアトラクションは滝を落ちる時に写真を撮ってくれていて、それをここで買う事が出来るのよ。」
壁にはいくつかの写真がモニターに映されていて、その中に私達が乗ったボートの写真も含まれていた。
「志摩子さん、目を瞑ってしまっているじゃない。もったいないなぁ。」
「そう言われても、いざ落ちるとなったら怖くて。」
「そう言う由乃さんは楽しそうだね。」
「ドキドキはしたけど、初めての体験だし、やっぱり楽しかったわよ。」
写真に写っている由乃さんは本当に嬉しそう。案外こう言う乗り物にはまってしまったりして。
「蔦子さんも怖かった?顔がこわばっているようだけれど。」
「そうでもないけど・・・。」
志摩子さんに言われて見てみると、確かに蔦子さんは何か構えるような、こわばった顔に写っている。
「そう言えば蔦子さんも私がコースター系に乗りたいと言った時に何か言いたげだったけど、もしかして苦手だった?ごめんなさいね、付き合わせてしまって。」
「あっ、いえ、大丈夫だから。ちょっと怖かっただけだし、本当に乗りたくなかったらちゃんと言うからそんなに気にしなくてもいいわよ。」
自分に合わせて無理をしてもらったのではないかとちょっと恐縮気味な由乃さんに慌てて答える蔦子さん。でも本当は怖かったんだろうな、あの写真を見る限り。
「はいはい、折角ディズニーランドに来たのだからそんな顔しない。そんな事より、そろそろ次のファストパス取らない?」
蔦子さんの言う通り、もう次のパスが取れる時間になっている。と言うか、実はパレードを待っている間に2時間は経過していたけど、パレード前は流石に動けなかったし、その後もスプラッシュマウンテンのファストパスの時間が来ていたので後回しになってしまっていたの。
「そう言えばそうね。何処がいいかなぁ?」
「そうねぇ。」
そこで早速パンフレットを開いて次の場所を何処にするか決めようと言う話になったのだけれど・・・
「この時間ですぐに取れそうなパスと言うと・・・ホーンテッドマンションなんてどうかしら?」
「場所も近いし、いいんじゃない?祐巳さん、由乃さん、どう?」
「ホーンテッドマンション?」
ホーンテッドマンションと言うのは平たく言うとお化け屋敷、映画になったほど有名な、ね。と言っても普通のお化け屋敷と違って乗り物に乗って移動するらしいけど。
「怖くない?」
「大丈夫よ。怖いと言うよりちょっとコミカルと言った感じだから。」
「そうなの。」
そうなのか・・・って、実は私もお化け屋敷と聞いてずっと敬遠していたのよね。
「じゃあそれでいいわ。祐巳さんもいい?」
「あっ、うん、私はいいよ。」
と言う事でホーンテッドマンションに移動。
「わぁ、ここのキャストのお姉さんの服、可愛い。」
「ホントにそうよね。」
ホーンテッドマンションの前で案内をしているキャストのお姉さんの衣装を見て、由乃さんとそんな事を話しながらファストパス発行所へ。ここもほとんど並ぶ事無く10分程で終了したので、次何処へ行こうか話をしようとしたら・・・
「あれ?由乃さんは?」
さっきまで居たはずの由乃さんがいつの間にか隣から居なくなっている。まさか迷子!?と軽くパニックになったところでポンポンと肩を叩かれた。
「ほら祐巳さん、あそこ。」
「一緒に写真を一枚いいですか?・・・・ありがとうございます。ねぇ蔦子さん、写真撮ってもらえるかな?」
「いいわよ。」
志摩子さんに言われて視線を向けてみると、そこにはホーンテッドマンションのキャストのお姉さんと写真を撮っている由乃さんがいた。
「何を他人事みたいに言っているのよ。祐巳さんだってあの後一緒に撮ってもらったじゃない。」
へへヘ、実は私も由乃さんと一緒に撮ってもらっていたりする。だって可愛かったし。と、そこで、
「(後30分でディズニー・ドリーム・オン・パレードが・・・)」
というアナウンスが。慌てて時計を見てみると・・・2時半!?
「あぁぁぁ〜、忘れてたぁ!」
そう言えば3時からディズニーランドの通常パレードが始まってしまうんだった。
「いけない。早く場所取りをしないと。」
「でも何処で取る?やっぱりさっきと同じ場所?」
「流石に今からあそこへ行ってもかなり後ろにされてしまうわよ。」
確かにこの時間では下手をすると入場制限されて入ることすら出来なくなっているかも。
「それならこの近くのパレードルートで取らない?幸い、まだ空きが結構あるみたいだし。」
由乃さんの言うとおり、ホーンテッドマンション付近には空きがあるけど・・・
「このパレードもショーパートがあるからこのあたりは比較的空いているのよ。パレードはこのアトラクションの横からスタートするから。」
そう言って志摩子さんはホーンテッドマンション横の大きな扉を指差した。
「ならもう少し先に行きましょう。もしかしたら空いているかもしれないし。」
そう言ってズンズン先に行ってしまう由乃さん。それを慌てて追いかけたけど、
「でもどうする?このあたりのルートだと、何処に何が来るか解らないわよ。」
「そんなの聞けばいいじゃないの。」
行け行けゴーゴー状態の由乃さんは止まらない。近くに居るキャストのお兄さんを捕まえて、
「次のパレード、ミッキーが止まるのは何処ですか?」
なんて聞いてその近くへ突撃。さっさと場所を決めてしまった。
「由乃さん、本当にたくましくなったわね。」
「元気にはなったと思っていたけど、ここまで行動力があるとは思わなかったわね。」
「そう?いつも令ちゃんがやってくれている事をそのままやっただけなのだけど?」
ああ、令さまの行動そのままなのね。それならちょっと解る気もする。
「もしかしてどこか変だった?」
「そんな事は無いよ。」
むしろ助かったくらいよねと他の3人は顔を合わせて笑った。
あとがき(H17/6月5日更新)
ブゥトン、ネズミの園へ行く 第5話、いかがだったでしょうか?今回はひたすら状況描写ばかりだったからちょっと面白くないかな?でも、私個人としては同じ行動でも相手が違うと対応が代わるとか、結構人間関係を考慮しながら書いたので楽しかったです。(自分だけが楽しんでどうすると言う声も出そうですが。(苦笑))
ところで、この話は私の旅行記ではありますが、別にホーンデテッドマンションのキャストと一緒に写真は撮ってないですよ。私がファストパスを撮ろうと思っていった時、高校生ぐらいの女の子のグループが本当にキャストの人と写真を撮っていたのでSSにいれてみようと思ったわけです。でも、私も5人ぐらいのグループで行っていたら、ノリで撮っていたかも知れないけど。
さて、今回もちょっとしたディズニーランド一口メモ。今回由乃さんがやっていますが、パレードの場所取りの時は近くにいるキャストの人にこのパレードではどの辺りにどのキャラクターの車が止まるかは聞いたほうがいいですよ。折角のショーパートなのだから前に居るのがダンサーよりはミッキーやミニー、お気に入りのキャラクターの乗った車にいてほしいですよね。私は前に一度、パレードの提供企業名が書かれた車が目の前に止まってがっかりした事があるし、案外場所と言うのは大事なんですよ。