ティーブレイク

 
ここの主な文章は、私がいろいろなところへ載せていただいた記事です。
ご意見などある方、私にそぉ〜とご指摘していただけると幸いです。
 
■2022年8月1日発行 フリーペーパー サカエタイムズの取材記事
■2022年8月 名古屋市学校歯科医会90周年のあゆみ
名古屋市学校歯科医会 90周年記念誌 昭和区 支部長 服部哲雄
■コロナとヨガ(愛知県保険医協会新聞 歯界散歩 2021年1月 原稿)
■2020年6月25日 愛知県保険医協会新聞 南部地区ニュース(記事画像)
■2020年2月5日 愛知県保険医協会 保険医その周辺・・・
ハーレーサンタ一150台名古屋の街を走る  昭和区 服部哲雄
■2020年 愛歯月報2・3月合併号 エリアリポート 愛知県歯科医師会士誌
令和元年度 昭和区歯科医師会と公衆衛生委員会合同研修会
■フィリピン歯科医療ボランティアに参加しました
■式年遷宮に想う
■モンゴル歯科探検隊に参加して。
■…アイスランド噴火… 欧州取り残された邦人 7千900人 と 私
■7ヶ月前の寒むぅ〜い冬、私は単身ニューヨークにいました
■モンゴル健康づくり活動「モンゴル歯科探検隊」に参加して
■ワンポイント診療 診療室の中の子ども待合い椅子
■情報化社会なのに本当のことは?
■オーストラリア筋機能改善と頭蓋顔面成長国際シンポジウム
■「ボストン紀行」に魅せられて。
■にっぱち会 歯育て 子育て 生活リズム
■歯育て 子育て宇宙のリズム?
■昭和区子育てマップ版 歯育て 子育て 生活リズム
■会員趣味 過去そして最近の私の趣味事情 浅く広く深まらず
■子育てミニコミ誌Kid'sぱあくインタビュー
■次女と保育園と喫茶店の話
■歯育て、子育て、生活リズム
■ある歯科医の夢(自由空間原稿)
 
2022年8月1日発行 フリーペーパー サカエタイムズの取材記事
 


コロナ医療の最前線(矢野きよ実さんが服部先生へインタビュータイトル画像)

※こちらは「The Sakae Times」8月1日号掲載記事フルバージョンの内容です。

矢野きよ実さんと服部先生のツーショット

乳児から大人まで “歯医者が好きになる”診療所

矢野 長らく校医や園医として子どもたちと接している服部先生、名古屋の子ども達の健康を守ってくださりありがとうございます。動物柄のユニフォームがお似合いですね!こちらは小児専門医院ではないそうですが、ビタミンカラーの壁や熱帯魚のいる水槽で楽しい空間ですね。

実は私、子どもの頃に歯医者さんでとても怖い思いをしたため苦手だったのですが、ここならリラックスできそうです。
 
服部 “歯医者嫌い”を歯医者自身が作らないように、当院は「行って良かった」と思っていただけるよう、明るい診療所づくりをしています。歯科は「予防」を診療室で行うことができる唯一の科ですから、まず来てもらうことが大切です。スタッフと一緒にディスプレイを手づくりし、「情報発信基地にしたい」と健康、食、子育てなどに関する本をたくさん置いています。ネットの情報を誤って理解してネガティブになる方も多くいますから。 服部先生とたくさんの本
 
矢野 インターネットは便利ですが、ともすると危険ですよね。調べるよりも、歯医者さんに行けばいいのに…。

それに、こちらは院内がバリアフリーになっていて入口にスロープ、トイレには手すりがあって、様々な方に優しいつくりですね。

服部 ベビーカーや車いすで、院内に入っていただけます。妊産婦さんも多く、赤ちゃんからご家族みなさんはもちろん、心身の発達に障害を持った患者さんも来ています。口腔ケアを通して、患者さんとコミュニケーションができていく過程は楽しいですね。
はっとり歯科入口
 
マスク生活でウイルスに感染しやすくなる?

矢野 長引くマスク生活の影響はいかがでしょうか。表情も伝わりにくく、話す機会も減っています…。
 
服部 マスクの中で、皆さんの笑顔が消えていないかどうかが気がかりです。会話も減って水分を摂る機会も少なくなる。さらに息がしづらいので、知らず知らずのうちに口呼吸になって、さらに乾燥が進みます。

ところで矢野さん、唾液は1日にどれくらい出ると思いますか? 牛乳瓶5本分?10本分?20本分?
 
矢野 えーっ。10本分くらいですか?
 
服部 正解! 唾液は本来1日1リットルから1.5リットル出るもので、殺菌、粘膜保護、消化、潤滑作用などがあります。マスクで口臭が気になることはありませんか。 唾液の減少で口内環境が悪化して、むし歯や歯周病が進行しやすくなるんです。
 
矢野 口ではなく、しっかり鼻で呼吸をしないといけませんね。
 
服部 マスク生活で口腔機能が低下したお口には数千億個にもなる口腔細菌があり、それらが出すたくさんの分解酵素は、同時にたくさんのウイルスも入りやすくしてしまうのです。その上、むせたときに気道から細菌が肺に入って起こる誤嚥性(ごえんせい)肺炎で、場合によっては重篤な状態に陥ります。お口が汚れているとコロナに感染しやすくなるうえ、重症化しやすいことが、世界各国の歯周病研究者の報告でわかっています。
 
コロナ禍による「受診控え」街の歯科での現状は…

矢野 歯科に限らず、コロナ禍で「受診控え」が心配されています。新聞では「受診控え」が60%を超えたという記事もありました。
 
服部 当院でも2020年は前年より8%減りました。当初は不要不急の外出を避けるように言われ、医療従事者は感染リスクが高いという間違った報道があったことも原因でしょう。しばらくして正しい情報も増え、当院は定期健診をしている方も多いせいか、2021年には受診率が戻りました。そもそも歯科では従来から基本的な感染対策(標準予防策:スタンダードプリコーション)をとっており、幸いというか、やはりクラスターは出ていません。院内は予約制で密にならないですし、治療は大量の水を流しながら行い、口腔内外の飛沫を強力なバキュームで吸い取ります。治療中は頻回に口をすすぐのでウイルスが薄まり、飛散が圧倒的に少ないと言われます。

当院はコロナ当初から診療の制限をせず「コロナ禍でも楽しくやろう」を合言葉にしており、スタッフ自らの免疫力を上げて、毎日の診療に取り組んでいます。
 
矢野 素晴らしい! 先生のような考えの歯科がコロナ禍も名古屋市民の歯の健康を守っていたのですね。
 
服部 コロナ禍で間食が増え、むし歯が増えるという話も聞きましたが、当院に来る人のむし歯は増えていません。そこで思ったのは、定期健診をしていること自体が、健康に気を配っているわけですから、そういった方は生活リズムが安定していて、間食が増えるということもないのかもしれませんね。

一方で、受診を控えていた人が、歯や歯茎のトラブルを抱えて、1年半ぶりに急患で来院することが多くなりました。
 
矢野 昔は、歯医者に行くのは緊急時で、痛くなってから駆け込むというイメージでした。でも、今はどのクリニックも「健康はお口から。定期健診が大事ですよ」と教えてくれていますね。
 
子どもはコミュニケーション不足、大人は「歯の食いしばり」が心配

矢野 校医や園医をされていて、子ども達へのコロナの影響はどのように感じますか。

服部 赤ちゃんや子どもたちは大人や周りのしぐさや動きをみて、いろいろなことを学びます。たとえば赤ちゃんは食事をするとき、スプーンを差し出され「アーン」「あむあむ」という大人のしぐさを見て、真似をしながら覚えていきます。

保育士さんからは、マスクで自分の口の動きを見せられず、赤ちゃんに上手に食事をあげにくい、と言っていました。また、ある園では、言語の未発達な園児たちに家族以外からたくさんの言葉のシャワーを浴びる機会が減り、園児のコミュニケーション能力が下がってきているようだとも聞きました。小学校でも行事などが減り、休校や学級閉鎖で長期自宅待機を強いられて、体力や気力が落ち、不登校が増えたり、また子ども達の心が育っていないなど心配する教師の声も耳にしました。 赤ちゃんとハイタッチ
 
矢野 学校での給食中も会話もできず、みんなが揃って前を向いて黙々と食べるなんて味気ないでしょうね。大人の口元にもコロナの影響はありますか。
 
服部 大人もまた、口腔トラブルが増えているように感じます。テレワークなどで在宅を余儀なくされ、誰とも会話することなくパソコンの前で集中しているので、知らないうちに強く噛み締めてしまっている人が増えているようです。

この、歯の食いしばりや会話が減ることで、唾液の分泌も悪くなり、緊張状態が長時間続くと、歯ぐきや歯、顎に過剰な負担がかかって知覚過敏や顎関節症などを引き起こしてしまいます。予防策としてお勧めなのが「歯を食いしばっていませんか?」「力を抜いて、深呼吸」「お茶を一口飲む」などの付箋を、自分のパソコンやテレビに貼っておくこと。それを見るたびにリラックスアクションをしましょう。

毎日の心がけも大切。そして歯科で予防と治療を

服部 鼻呼吸や口腔機能を高め、表情筋を鍛えて唾液を出すために「福岡のみらいクリニック」今井一彰先生が考案した「あいうべ体操」や、睡眠中の口呼吸による乾燥を防ぐ「口テープ」を指導しています。こうすることで様々な病気の予防にもなります。

今井一彰先生が考案した「あいうべ体操」

高齢の方が多い歯科医院では、通院の中断している患者さんのことを心配されています。口腔ケアができていない高齢者の誤嚥性肺炎は、特に寝たきりのお年寄りにとっては命の問題に関わります。お口は外界のものを取り込み、栄養を体に送るところであるのと同時に、病気も取り込んでしまいます。歯科往診で口腔ケアに訪問できない歯科衛生士さんからは、在宅の高齢者の健康を懸念しています。

歯科医や歯科衛生士は、口腔ケアの専門家ですから、むし歯になった時だけでなく、なんでも相談できる、かかりつけの歯科医院を探しておくといいでしょう。そして、治療が終わったら定期健診ですね。定期健診では、ブラッシング指導や歯石取りだけでなく、おいしく楽しく食べるためにお口の機能のアドバイスもしてもらいましょう。
 
矢野 ところで、とてもスリムでいらっしゃる服部先生。ご自身も健康に関して何か実践されていますか。
 
服部 私は10年前に、内科医の友人に勧められてプチ糖質制限をしています。やってみて「肥満や糖尿病予防はむし歯の予防法と同じだ」と思いました。また、2年前、コロナ自粛で学会が延期になり、空いた時間にYouTubeを見ていたところ、ヨガと出会い、以来、毎朝15分のヨガを続けています。そのせいか肩こりが改善されて、いつの間にかこころと体を休めるマインドフルネスができストレス解消になっています。

矢野 なるほど! 身近な情報を教えてもらえるのは、親しみある街の先生ならではですね。
ひとりでお口の心配するより「歯医者さんに行って安心を」ですね。私も服部先生のクリニックに予約を入れようかな! 今日はありがとうございました。
 
※撮影時のみマスクを外しています

矢野きよ実さんのプロフィール画像 服部先生さんのプロフィール画像
 
2022年8月1日発行 フリーペーパー サカエタイムズの取材記事
The Sakae Times[サカエ・タイムズ]
https://sakaetimes.com/

2022年8月 名古屋市学校歯科医会90周年のあゆみ
名古屋市学校歯科医会 90周年記念誌 昭和区 支部長 服部哲雄
 


昭和区学校歯科医会集合写真

 名古屋市学校歯科医会90周年おめでとうございます。昭和区学校歯科医会は会員18名うち役員8名の小さな会です。当会では元名学歯会長や監事、役員、文部科学大臣表彰、毎年優良校に選定された会員も多く、私は3期5年目支部長を務めていますが、役員、会員の先生方に助けられ、会を運営しています。
 活動は、年一回総会&学術講演会、歯科衛生優良校選考などの役員会があります。ここ数年、学術講演会演者を当会員で行っています。
 
 新型コロナウイルス感染によるパンデミックにより、2020年の様々な会合は延期や中止に。春からの学校健診も延期で、私たち学校医も教育現場に翻弄されました。どのような感染対策をすべきかなどの会員間の情報交換ができない不安の中、私が考えたのがLINEというSNSでした。すぐに全会員を招待し、昭学歯メンバーと役員の二つのグループLINEを作り、日学歯や名学歯からの情報を共有しました。また私一人ではまとまらなかった事項や学校健診が済んだ先生の報告や提案などLINEで意見交換、ディスカッションが簡単にできたことは、年一回の総会だけとは違いとても有意義でした。またオンライン理事会を試しましたが、小さな会なので感染対策などの合意をLINEで得、リアル総会を開催しました。コロナ禍ですが、皆さんの協力で交流もでき、学校の状況も知ることができました。
 
 さて昭和区は文教地区で、交通の便もよい中心区の一つのため住みやすい街として上位にあげられる地域です。ここ数年あちこちにマンションや戸建てが建ち、学区によっては2クラスが3から4クラスになり児童数も増えています。生徒のDMFTは毎年非常に少ない地域ですが、人の転入転出が多く、コロナ禍も影響しているのか?最近、乳幼児の初期う蝕が増加傾向です。これからは地域を担う会としてwith and after コロナの学校歯科の取り組みを話しあいたいです。 学校健診の様子
 

コロナとヨガ(愛知県保険医協会新聞 歯界散歩 2021年1月 原稿)
  2021年1月25日 歯界散歩  愛知県保険医協会新聞
 
 
 還暦も少し過ぎた私が昨年の春からヨガをやり始めた。理由は二つ。一つは軽度腰椎ヘルニア。もう一つは、海外の学会出張が延期になり自粛休診で時間ができたこと。実は、その頃SNSで「YouTubeでワークアウト」という投稿を見た。さっそくYouTubeで検索するうちにヨガにたどり着いた。「自粛生活あるある」である。
 
 私にとっていつでもどこでも行える「YouTubeのヨガ」は、気持ちの整理や心を落ち着かせてくれるキッカケとなった。以来、目覚まし朝ヨガ、診療の始まる前や休憩時にリフレッシュヨガ、寝る前のリセット夜ヨガのどれかを続けている。自分に合うyoutuberの動画を探しながら、毎日10から15分の短時間ヨガを「真似」ている。
 
 ご存じのようにヨガの歴史は古い。4500年前のインダス文明まで遡るといわれている。元々、肉体の訓練と精神の修練が固く結びついた宗教的なもので、研究者によると、呼吸を調整しながら、意識を一点に集中する瞑想の技法であり、心の働きを止滅させることを目的とするらしい。ヨガのポーズ「アーサナ」は8400タイプもあり、意味もある。
 ヨガをやり始めて驚いたのは、ポーズに合わせてゆっくり深い呼吸をすることだ。鼻で息をゆっくり吸って口から吐いて、心地よい伸びのポーズの繰り返しをするので、体のストレッチ、心の浄化がされる。終わった後はすっきり心身がほぐれている。「Yoga」と英語で検索すると、ダンスヨガ、インドのヨガ、パワーヨガなどいろいろ出てくる。美女、イケメンの外人インストラクターの語りは英会話の練習になるかも。
 
 ヨガを本格的にされている方には、叱られるかもしれないが、美人インストラクターの優しい言葉やヒーリングBGMに癒やされながら、ヨガのまねごとをしている。瞑想のないヨガは単なるストレッチ体操だと思う。
 とにかく続けたいので、いろいろ検索して楽しんでいる。
 ヨガをしている日本人は年々増え1000万人を超えるそうだ。アフターコロナの新習慣をしたい人、自粛生活を強いられる方など、是非「ヨガ」も取り入れてみてはどうだろう。
 

2020年6月25日 愛知県保険医協会新聞 南部地区ニュース(記事画像)
 


愛知県保険医協会新聞 南部地区ニュース(記事画像)


2020年 2月5日 愛知県保険医協会 保険医その周辺・・・
ハーレーサンタ一150台名古屋の街を走る  昭和区 服部哲雄
 

ハーレーサンタ一150台名古屋の街を走る
 
 昨年12月22日日曜、サンタ姿のライダーがハーレーダビッドソンなどの大型バイク150台で市内中心街をパレード。私も愛車ハーレーで娘とタンデム走行した。オレンジの三角帽子をヘルメットにつけて。オレンジリボンって知ってますか?これは、オレンジリボン児童虐待防止啓発運動のこと。これは2004年栃木県児童虐待事件がきっかけで翌年「カンガルーOYAMA」という団体ができ、虐待再発防止の願いをこめて「子どもたちの明るい未来を示す色」オレンジのリボンを掲げた。2009年にハーレーサンタCLUB NAGOYAというボランティア団体ができ、毎年12月にXmas TOYRUNを開催。今年で11回目だ。子どもたちが喜ぶ超笑顔のサンタ姿でパレード啓発隊と金山駅前啓発隊に分かれて行動。パレードは南のガイシホールから金山から大須から栄、そして北の県庁まで。私は、100台以上のサンタ姿のライダーのパレードがカッコいいという変な動機で初参加。当日はあいにくの曇り空。集合場所に着くと楽しく飾ったバイクと車とトゥクトゥク三輪自動車150台が並ぶ。寒さが吹っ飛んだ。セレモニーでは、虐待経験をもつ今では二児の母でありグループホームの管理責任者でもある保育士さんから貴重なお話を聞く。午後からいよいよスタート。順次始動。そのサウンドでいっきにサンタライダー気分上昇。沿道の人に手を振りながら、金山駅前の啓発隊にエールを送る。大須、栄といよいよ街中凱旋へ。信号待ちの大勢の人達に満面笑顔で手を振る。楽しそうに応えてくれるお年寄りや子どもたち。恥ずかしそうに手を振り返してくれるカップルさん。車内から携帯で動画を撮る若者。ちょっぴり恥ずかしかったが手を振る人を見ると元気がでる。県庁前では、すでに走り終わったライダーからお疲れさんのサイン。一体感を感じた。私は仕事柄、福祉センターにも関わっていて虐待は身近。このような体験ができてとてもよかった。
 
大型バイク150台で市内中心街をパレード ←先頭のバイクが私
 
パレード参加者の集合写真
 
昭和区 はっとり歯科クリニック 服部哲雄
2019年12月23日付 中日新聞に載った記事↓(画像)
2019年12月23日付 中日新聞に載った記事の画像
 

2020年 愛歯月報2・3月合併号 エリアリポート 愛知県歯科医師会士誌
令和元年度 昭和区歯科医師会と公衆衛生委員会合同研修会
 

昭和区歯科医師会と公衆衛生委員会合同研修会の集合写真
 
 昨年の12月7日の土曜夕方、恒例の昭和区公衆衛生委員会が名古屋市児童福祉センター多目的室にて行われました。これは毎年、児童福祉センターで障害児検診に携わっている当番の先生がたを中心に昭和区の会員合同で行う研修会です。今までに、嚥下摂食、全身管理、救急医療、小児口腔機能、発達障害等、障害者医療に関わる様々な領域の先生に講演を依頼しています。昨年より講演に先立ち、私が開業医の立場から十数分のミニプレゼンをさせてもらっています。さて今年の講師は、千種区でご開業の糸山暁先生。演題は「障がいのある方を地域で診る・見守る(行動調整・コミュニケーションを考える)」でした。県歯でもおなじみの名古屋市歯科医師会常務理事(歯科医療センター副所長)糸山先生は、愛知だけでなく日本の障害者歯科医療を切り開いた故糸山昇先生のご子息で、親子ともども障害者医療のリーダーとしてご活躍されていることはよく知られています。私と糸山暁先生とは障害者医療や歯科麻酔講座出身とういう共通のバックグラウンドだけでなく、SNSを通してお互いの愛犬の話題でもつながっています。
 さて、講演は、障害者歯科は特殊性があるものの、ノーマライゼーションの進歩とともに障害者(児)のかかりつけ歯科医として、「地域で診る・見守る」姿勢が求められているとし、家庭・生活環境の特異性、母親との信頼関係などの理解なしではラポールがとれないこと、とくに障がい児を持つ親の心理変化は、ショックから始まって、立ちなおり、社会適応するまで時間がかかること、情動の常に揺れ動く家族の状況にも配慮した対応が必要であることなどのお話がありました。発達障害者支援では、自閉スペクトラム症との表現の仕方、行動調整法、コミュニケーション法、カウンセリング技法、そして言葉(言語)だけでは理解できないことに対してパターン化した表現(絵文字のような構造化したもの、絵カード、TEACCH法)で理解と安心と見通しを作っていくこと等、多くのことをかみ砕いてお話ししていただきました。
 糸山先生には、短い時間でたくさんの示唆に富んだお話をしていただき感謝すると共に、今回も参加した先生がたには、土曜の夜おそくまで熱心に聞いていただきありがとうございました。
昭和区歯科医師会 常務理事 公衆衛生委員  服部哲雄
 

フィリピン歯科医療ボランティアに参加しました


フィリピン歯科医療ボランティアに参加しました

式年遷宮に想う
                                                 昭和区歯科医師会会報 平成25年10月号 巻頭言
 残暑もようやく終わり、気持ちのよい秋となりました。
 今年は、伊勢神宮の20年に一度の式年遷宮です。この10月に、いよいよ本殿から御神体をお遷しする遷御(せんぎょ)があります。私は、外国人を案内したり、大学サークルの先輩や友人が相次いで亡くなったためOB会有志でお祓いツアーに行ったりと、久しぶりにお伊勢さんに参拝してきました。
パリの知人と伊勢神宮で
パリの知人と伊勢神宮で
 年齢のせいか、身体に不安が出てきたせいなのか、神社のパワーに魅力を感じ、また、今までに感謝これからに安泰を求める気持ちが強くなりました。そんな思いも後押しして、今年60年に一度の大遷宮 出雲大社までも行ってきたのでした。
OB会有志で「お祓いツアー」
OB会有志で「お祓いツアー」
 さて伊勢神宮の遷宮は、リフォームではなく、全く同じ材料、方法で1300年にもわたり移転、再生をしてきました。しかも65棟に1万3000本もの檜材を使うのです。ところで遷宮で生じた古材は、どうなるのでしょうか。実は、全国津々浦々縁ある神社に下賜(かし)されるのです。例えば、篠島の神明神社へ、さらにその神社の古材は、同じ篠島の八王子社の遷宮で再々利用するのです。また平成5年の遷宮時は、津波で被害を受けた奥尻島の神社の社殿再建に、阪神淡路大震災の時には生田神社の修繕に利用されたそうです。こうして3つの神社で20年ずつ、合計60年で役目を終えるそうです。
  もっとすごいことがあります。1925年(大正14年)から200年先を計画し植林を続けているのです。檜の生長には200年もかかり、神宮林の原木がいつかは枯渇するためです。
   日本人は、仏教や儒教の影響があるものの、古来より自然を崇拝し、共生調和を試みながら、生活、文化を発展させてきました。西洋文化は、自然に働きかけ、利用することで産業を発展させてきました。日本は、明治以降、西洋文化を取り入れ、西洋に追いつけ追い越せで、富国強兵、国力をあげつづけてきました。
 近年、森林、石油資源の減少、地球温暖化、将来は水資源枯渇の恐れと言われてきています。
出雲大社にて
出雲大社にて
  そして2011年には、未だ記憶に新しい東日本大震災がおこりました。 関東大震災、伊勢湾台風被害、阪神淡路大震災と違うのは、福島第1原発事故、つまり放射能汚染があることです。復興の見通しが立たたないばかりか、地球規模の被害があるのです。原発再稼働という論調も一部ありますが、原発ありきの社会構造や無駄な電力利用に触れず、海資源までも使うとまで言っているようです。放射能制御の軽視、情報のごまかしをしてまで2020年の東京オリンピック開催にこだわる本当の背景はなんでしょうか?
TPPでも日本の様々な分野が、外国資本に脅かされると言われています。
  フランスは食料自給率100%、ドイツでは、持続可能な社会システムを実践しつつあると言われています。日本人は、この島で生きていくためにも、古来2000年以上前から続いている伊勢神宮はじめ、多くの神社が行っている遷宮の想い、資源の再利用システムを、もっと知るべきではないでしょうか。
モンゴル歯科探検隊に参加して
                                                 【2012年10月 愛知保険医協会新聞】
 
モンゴル医療支援活動に行ってきました

モンゴル予防医療活動に2回目の参加

 今回、私は2008年以来4年ぶりの2度目歯科支援に行った。初めてのときは、様々な予防活動に加え、壮大な草原、碧天のもと、遊牧民の歯科検診とアウトドアトイレという想像以上の体験をしてきた。そんなまさかのモンゴル参加だった。大学生になった娘も行きたいと親子で参加した。
 さて、朝6時に名古屋を出て、関空集合。総勢10名でインチョン経由ウランバートルへ深夜到着。翌早朝、600km南へ下った南ゴビ県ダランザドガド市へ飛行機で向かった。初日は、満点の星空を見るべく観光用のゲル(遊牧民が居住する移動式テント)泊だ。
 ところが到着空港ではめずらしく大雨。ぬかるみの草原大地をロシア製の4駆車で走破。まるで3時間耐久レースだ。寒くて疲れて、暖をとって寝た。草原では貴重な雨。「雨をもたらす人は、よい人」と言われるらしいが…。3日目も大雨の中、早朝から草原を2時間走って町の幼稚園へ検診とフッ素塗布に。そこでは多くの園児が虫歯だらけだった。そのあと複数園からの代表保育士さんに虫歯予防講話と人形劇の指導。一緒に参加した日本の歯学生達も虫歯ダンスを披露して、大いに盛り上がった。地元のTV局が取材に来ていた。ここでの活動を無事終え、ウランバートルへもどった。天候は、さわやかな秋晴れ。今までのつらさがふっ飛ぶ。朝8時から小学校と幼稚園での検診、たくさんの保育士に対する予防指導とスケジュールいっぱいだ。ここでもTV局の取材あり。田舎に比べると虫歯が少ない子もいた。
 ウランバートルは、総人口250万人中100万人以上が暮らしている大都会だ。若い世代が圧倒的に多く、インフラや住宅事情も十分でないこの街でも、小学生が携帯電話を持っていた。資本主義化して20年ほど経つが、保健予防という地味な活動は十分ではない。
 この活動は、神戸医療生協歯科黒田耕平先生と岡山大学小児歯科岡崎好秀先生を中心に20年以上も続けている。ウランバートルのエネレル歯科診療所(歯科ユニット18台)が予防活動の拠点だ。今回は、地元私立医科大学で教えている診療所長のはからいで、日本人歯科医師の講義と歯科学生の交流をした。また私も診療所でセミナーを担当し、また歯学生は、特別にスタッフの家庭にホームステイという忘れがたい思い出をつくった。
 長期休診にすることが許されない私は、その後の障害者施設検診、アジア予防歯科学会、そして13世紀村観光には参加できず、深夜チンギス・ハーン国際空港をたった。
 今回もいろいろと世話をしていただいた所長で女性歯科医師のイチン先生、困難な交渉や通訳担当のトヤさん、サラさんをはじめ、エネレル歯科診療所のスタッフ皆さん、そして雨の草原の途中、自分達のゲルに休憩をとらせてくれた遊牧民の方がたにはこころから感謝いたします。
私たちに一休みさせてくれた親切な遊牧民家族
私たちに一休みさせてくれた親切な遊牧民家族
…アイスランド噴火… 
欧州取り残された邦人 7千900人 と 私
 
 
【2010年5月 愛知保険医協会新聞】
 
ITIインプラントワールドシンポジウムに参加
 
インプラント国際学会会場にて
インプラント国際学会会場にて
 4月16日早朝、「噴火の影響は大丈夫?」、日本からメールが届いた。私は、4月13日から1週間、 インプラントの国際学会にスイスジュネーブまで来ていた。ご存知のように15日、アイスランドで 噴火、ヨーロッパ大陸を灰が覆った。ほとんどの空港が閉鎖。私は何も知らず、お土産を買いに出ていた。  学会最終日、日本の先生達は、先の見えない不安を抱いてホテルに戻った。ある旅行会社は、フランク フルトへ夜行バスをチャーターし、担当の先生たちを深夜2時に脱出させた。ひとりの先生は「8時間以 上のドライブだが、飛行機が飛ぶ当てはない。ホテル代はどれくらい?」とパニックだった。 噴火のニュース
噴火のニュース
 私の便もすぐに再予約。いつ帰国できるかわからない中、一人で来た私はすべて自分でやらなければならない。 スイスなまりの英語を聞きながら、ホテル延泊交渉をした。その夜、当院のスタッフからメールが入った。 「私もイギリスに取り残されています。先生は大丈夫?」「えっ、君は休診を利用してそこに?」…仲間が増えた。
ジュネーブ中心にあるレマン湖にて
ジュネーブ中心にあるレマン湖にて

 翌日曜、あてもなくジュネーブの街にでた。街のどこも休み。繁華街も人通りが少ない。ここは、ゴミの少ないきれいな街だ。 歩行者も車のマナーも良い。どこのトイレもきれいで蛇口からお湯が出る。ただ、飲食店はすべて禁煙のせいか、 路上の歩きタバコが目についた。コルナヴァン中央駅で日本の先生たちに出会った。みんなは鉄道でパリへ移動し再開を待つそうだ。 私も誘われたが留まることにした。私の旅行会社から「アテネ、エジプト経由の便は手配できますが…」と日本からのメール。 絶対無理。私は三島山の噴火(1986年1ヶ月後島民帰島)を思い出した。「GWまでには帰りたい!」と祈った。

 滞在2日目。とにかくどこかで気分転換を、と鉄道で1時間ほどのモントルーを観光。モントルーは有名なジャズフェスティバルのリゾート地だ。 噴煙のかけらもない気持ちの良い青空の下、おしゃれな街やシヨン城を散策した。 とにかく脱出したいという気持ちは、欧州に残されたすべての人の思いである。私も妻や知人にアドバイスを求めた。 JICAの人、ジュネーブ近郊出身の患者さん、渡航豊富な友人たち、インターネットのFacebookで交流している他国の家族たち。 うれしかったのは、行きの機内で知り合ったパリ在住のフィンランド人夫婦だ。その人は、何度も日本を旅行していた。 早速メールをすると、パリから私のホテルに延泊交渉とアドバイスをしてくれたのだ。 シヨン城(モントルー)
シヨン城(モントルー)
 滞在3日目、ニュースがにわかに朗報を流し出した。3分の2の空港が再開したようだ。 朝6時、祈るようにしてジュネーブ空港にむかった。が、だめ。次の予約便は26日だった。 すぐさま隣の航空会社へ。ファーストクラスなら当日チケットあり、200万円なり。もうだめかと別の窓口へ。 「日本に帰りたい!」。なんと、当日パリ経由成田行チケットあり。美人の係員がほほえんだ。 フライトキャンセルの表示
フライトキャンセルの表示
 かくして3日遅れの深夜、名古屋に到着。私の誕生日に間に合った。イギリスからスタッフも翌日、元気に帰ったとメール。 パリの夫婦からは「遊びに来るときは連絡して!」と。  とんでもない天変地異に遭い、様々な思いで関わった多くの方々と深くつながり、また留守を守ってくれた家族、スタッフに感謝です。 えっ?学会はどうっだったか…? いつか、こっそりとお話をしますね。  Have a nice trip!
7ヶ月前の寒むぅ〜い冬、私は単身ニューヨークにいました
 
【2009年8月 昭和区歯科医師会会報 巻頭言】
   
7ヶ月前の寒むぅ〜い冬、私は単身ニューヨークにいました
 
Times Squareオバマ大統領就任式にて
Times Squareオバマ大統領就任式にて

 常勤スタッフの年末退職を機に、私は年明けの1月を「休業宣言!」しました。 休診中の居場所を、知人で大学教授の稲垣先生より紹介していただきました。 歯周病・インプラント専門医でニューヨーク開業のLouis Fujimoto先生です。
Dr ルイス藤本と
Dr ルイス藤本と

勇気を持って連絡をし、決めました。さらに同じ専門でNew York大学の斉藤先生、 Connecticut大学の祖父江先生にもお話が広がりました。こうして知人も留学の 経験もない私は、初対面の先生がたにお世話なりながらの一ヶ月間、単身、真冬 の不安いっぱいのニューヨーク滞在が決まりました。

New York Times Square New York Times Square
Times Square 大晦日 Times Square 大晦日  Empire State Buildingの南に宿を確保し、年末年始は私の家族と娘が以前 お世話になったアメリカ人家族と一緒に過ごしました。Times Squareでの有名なカウントダウンは、とんでもない寒さのため途中で断念。イベントに最後まで参加するクレイジーなアメリカンを後に、ホテルに退散しました。
New York大学
New York大学
New York大学 研修
New York大学 研修
 初詣も年賀状もない新年を迎え、いよいよ1人に。New York大学とConnecticut 大学では、インプラント科の臨床見学をしました。New York大学は、そのブランド名に世界中からResidentが集まり2年間の研修を終えていきます。インプラン ト科は200Hours $12,700 annuallyで2年間。学費も高く、研修医も多く受け入れるせいか、40もある設備の行き届いた治療室はとてもきれいでした。早朝8時からの講義の後、担当の治療が始まります。インプラント手術だったり、歯周移植外科手術だったり…。それぞれがステップ毎にFaculty(講師)にチェックを受けながら進みます。私も研修医に混じって見学をしましたが、どの先生も“Sure! Come on Dr!”と、はじめて見る私に対してたいへんフレンドリーでした。
 Pennsylvania大学卒業のDr. Louis Fujimotoは、セレブの住むUpper East Sideで インプラント専門医として開業しています。New York大学ではFacultyをされ、 2007年には North Eastern Society of Periodontists, Inc.の会長なども務めた 実力者です。また幅の広い社交家で、ニューヨークで頑張る日本人を支援する情熱 家でもありました。ここでもSinus Liftなどのインプラント手術を見学。2人の秘書 と黒人と白人2人の歯科衛生士がてきぱきと働いていました。冬のCentral Parkは、 ニューヨークの風物詩。暖房のよく効いたDr.Fujimoto診療室から見るその眺めは、 まるで映画の中にいるようでした。
Connecticut Health Center 病院 Connecticut Health Center 病院  さてConnecticut大学Health Center は、Pennsylvania駅から鉄道Amtruckで約2時間、 州都Hartford から車で大雪の中、30分のところにありました。 ここの歯周病・イン プラント科は、公立のため学費が安く定員が少ないので、全米のみならずイスラエルや 中東アラブ、韓国からとても優秀なResidentが集まってきます。研修医の一人が、日本 のアニメは楽しいといってi-Phoneで動画を得意げに見せてくれました。ここでも朝8 時から、診療前の文献抄読会があり、朝7時30分には祖父江先生がホテルまで私を迎 えに来てくれました。早朝真冬のコネチカットは−20度。駐車場から病院入り口まで およそ100m。その間の移動は、歯を食いしばるほどの寒さでした。
Resident祖父江先生の受ける定期試験では400ほどの文献から試問され、また症例検討会では、「その部位で 切開する根拠は何?」「その手術術式の選択理由は?」「なぜそのインプラントが良い のか?」などと、あらゆる方面から厳しい質問が浴びせられるそうです。  外気は-20度前後の極寒でしたが、診療室では和気あいあいの中にも熱い研修がなされていました。
BLUE MAN GROUP BLUE MAN GROUP ニューヨークでのオフタイムは、やはりBroadway Musicalでしょう。TKTSというディスカウントのチケット売り場で、「MAMMA MIA!」「CICHAGO」を、$65でしかも特等席でみることができました。「BLUE MAN GROUP」「 STOMP」 などOff broadway musicalも英語がわからなくても楽しむことができました
 今回の極めつけは、なんと言っても1月20日 第44代オバマ大統領就任式にアメリカにいたということでしょう。 Times Squareには、あふれんばかりの熱狂的な人たちが、大型モニターに釘付け、演説が聞き取れない私は、ひたすら 寒さに耐えながらの歴史的1日でした。あれから 半年が経ちました。あのオバマさん、悪戦苦闘しております。私の 診療所も再スタートに悪戦苦闘中です。 日本の政局も、寒かったアメリカとは逆に、うだるような暑さの中、解散総 選挙が始まりました。果たしてアメリカのように劇的な変化が起こるのでしょうか?  私にとって、とても寒かったこの冬と、とても熱いこの夏は、生涯の思い出になりそうです。 第44代オバマ大統領就任式
第44代オバマ大統領就任式部
 50歳前後の先生がた、決して診療に余裕があるわけではありませんが、人生この時期に、思い切ってリフレッシュ、 リセットしてみてはいかがでしょうか。最後に、私の休診中にご迷惑をかけた患者様には、お詫びを申し上げますと同時 に、私を支えてくださいました昭和区理事をはじめ、近隣の先生がた、また救急対応をお引き受け下さいました聖霊病院 鶴迫歯科口腔外科部長には、この場をお借りいたしまして感謝のお礼を申し上げます。ありがとうございました。  このさぶ〜ぃ話で、今夏の暑さを忘れていただければ幸いです。
モンゴル健康づくり活動
「モンゴル歯科探検隊」に参加して
 
【2009年1月 愛知県歯科医師会月報1月号】
 
モンゴル医療支援活動に行ってきました

施設での歯磨き指導や遊牧民の健診

草原の道路
草原の道路

  2008年9月8日から13日まで、思い切って休診にし、モンゴルへ歯科医療支援活動に参加しました。ここが朝青龍も降り立ったチンギスハン空港かぁと、国家的英雄の名をつけた空港に1時間遅れの夜10時到着。現地では朝夕肌寒く、すでに紅葉の季節でした。

 私たちをお世話してくれた労働者生協「エネレル」歯科診療所は、診療チェアー18台、スタッフ30名ほどのモンゴルで最も大きな診療所です。1991年から開始したモンゴルでの歯科合同チームの活動から多くの人たちの援助、協力を得、様々な困難を乗り越えてできあがった保健予防の拠点です。1994年に幼稚園を間借りして始まったこの診療所は、モンゴル人自身の運営による自立を目指して2002年新築移転しました。

 さて、私たちの活動は、診療所のスタッフや学生にセミナーを行ったり、障害者施設の歯科検診や孤児院での日本の歯学生による人形劇、ブラッシング指導などでした。中でも標高1500mに位置する大草原での、歯科検診は、Amaizing!。ここは、ウランバートルから悪路70km、2〜3時間ほどのところ。歯科往診用に工夫され、寄付された日本の四輪駆動救急車を駆っての出張歯科健診。当地では、目的地まで「○○km」とは言うけれど「○○時に到着」とは言わないそうです。草原の中を走るので、到着時間が予測できないからです。まわりは見渡す限りの大草原。当然歯医医院なんてありません。

 ついでにトイレは青空の下。すべては蒼天のもと…アウトドアの健診や歯石取りは、大忙しでした。多くの人たちは、大きなむし歯や歯のないのところがあり、大量の歯石も着いていました。終わってからおばさんの一人が暖かいゲル(移動式住居)の中で、私たちに羊の肉や乳製品のクッキー、果実ジュース、馬乳酒をごちそうしてくれました。

 1990年の民主化以降モンゴルは、資本主義経済によって遊牧から定住、室内労働、車社会と生活スタイルは変わりました。遊牧という厳しい労働から伝統的な高脂肪、高塩分の食生活に加えて、食の欧米化や甘味飲食料が氾濫し、虫歯や不正咬合、生活習慣病が都市から地方に急増しています。

 1991年、日本モンゴル文化経済交流協会による「草の根」の交流がはじまり、歯科衛生士の資格を持つ現在大阪モンゴル名誉領事佐藤紀子会長の「どんな社会状況であれ、どんな理由であれ、治療より予防に力点を置くのが正しく…」の呼びかけに歯科関係者14人が応じたのが、歯科の活動の始まりです。この活動は当初から「日本人がやる活動」ではなく、「モンゴル人の健康は、モンゴル人自身で」と言うコンセプトで、自立の活動を目指しています。

 今回は、このような地道な活動を長年にわたって支えてきたエネレル歯科診療所所長で女医イチン・ホルロー先生とそのスタッフ、私たちをお世話してきた神戸医療生協歯科黒田耕平先生と活動を共にした先生や素敵な学生さんに感謝いたします。

エレネル診療所前にて
エレネル診療所前にて
遊牧民の検診風景
遊牧民の検診風景
ラクダ乗る
ラクダ乗る
遊牧民の検診風景
遊牧民の検診風景
孤児院・ブラッシング指導
孤児院・ブラッシング指導
診療所スタッフへセミナー風景
診療所スタッフへセミナー風景
セミナーの講師
セミナーの講師

ワンポイント診療
診療室の中の子ども待合い椅子
 
【2008年11月 愛知保険医協会新聞】
 
 

 ファミリーの多い歯科医院は、お母さんが小さい子どもさんを連れてくることがありますね。お母さんの治療になると大変です。子どもが親離れしていないと、治療中お母さんのおなかに乗ったり、離れたり。歯医者は、お口の中の細かい治療が、大変です。スタッフにあやしてもらえればいいですが、スタッフに余裕がなく、その子にかかりきりでは、診療業務にも差し支えます。お母さんも、医院に気兼ねをして、治療を控えたり、ご主人か、実家母に子どもを預けて治療にきます。大変ですね。

 当院では、下の写真にあるコンパクトな椅子を用意しています。診療ユニットのそばに置き、小さい子に座ってもらい、おもちゃなどで遊んでもらうとちょうどよい大きさの椅子です。みなさんも保育園で見たことがあるのではないでしょうか。この木で出来た椅子は、子どもの大きさに合わせて上下ひっくり返したり、大人が座る場合も縦長にして箱形で使うことができます。強度はばっちり、さわった感触もやわらかく、長く使えば、これまた味が出る木製の優れものです。大人のポーチなどを置くのにもちょうどいいですね。

 問い合わせは、近くの保育園に聞いてみてください。ちなみに、これは2007年の暑い夏、愛知で第39回全国保育団体合同研究集会に行ったとき、四国の業者から四万十川の木でできた椅子を見つけ、持ち帰ったものです。

 
子どもでも座れるコンパクトな椅子
子どもでも座れるコンパクトな椅子
子どもでも座れるコンパクトな椅子
カバンなどを置いても丁度いいね

情報化社会なのに本当のことは?
 
【2008年1月号 昭和区歯科医師会会報 巻頭言】
 
ツーリングをする服部先生
 

 昨年、11月長崎市にて第24回日本障害者歯科学会の特別講演を聴いた。演者は、TVなどでも知られている中村哲医師だ。氏はアフガニスタンで25年間も病院、診療所を運営し、感染症など200万人以上の患者を診てきた。当時、アフガニスタンでは、日本人は安全であった。理由は以下。日ロ戦争で、日本が列強に勝ったというアジアの英雄。二つめは、広島長崎に原爆投下、その後戦争放棄して復興を果たした大国。列強は戦争をして大国になるが、日本はそうでなかった。こういう話が語り継がれ、日本人というだけで信頼されていた。が、今は、180度転換している。お金のためならアメリカなど大国に荷担する国であると。現在は日本人というだけで危険らしい。

 
講演をする中村先生
講演をする中村先生
 

 さて、演題名は「アフガンで生命の水を求めて」。私は、マスメディアで報道されない現実が語られるのを期待した。
アフガニスタンは高い山が多くを占める国である。標高2500mあたりの高地に村が点在し、自給自足の生活をしている。1980年代、旧ソビエトに10年間も侵攻を受けたが、その混乱の末、タリバン政権ができた。

 アフガニスタンは今、大干ばつである。高い山々にある根雪が減り、水が足りないのだ。農業ができず、村が次々と消えていく。地球温暖化は空前のユーラシア大陸干ばつを引き起こしている。そこでは1つの診療所をつくるより、1本の井戸であり、100の診療所より1本の灌漑用水が、多くの命を救う。追いつめられたものが、過激派として、テロ攻撃をしたのだろうという。干ばつの危機をWHOは指摘したが、ブッシュ政権アメリカの報復攻撃を受け、ほとんどの国から人道支援が途絶えた。氏はブッシュ大統領と同じ宗派だが、聖書には「報復」という文字はないと怒っていた。中村氏グループは、空爆が続く中、命がけで支援活動をした。爆撃は、基地のピンポイント攻撃だけではない。報道されるのは、作られたニュースであり、空爆の先には、一般人がいるのである。医師でもありながら、ブルドーザーのハンドルを握り、2000年から現在までに1500本の井戸や30以上の地下水路を修復し、村を蘇らせている。タリバン政権では、秩序の回復がされイスラム国として平和だったが、政権が崩壊した現在では、欧米化の自由が入り、金儲けの自由、売春の自由、麻薬生産の拡大(アヘン大国。生活のための生産)と様変わりしている。

…やはり、ショッキングな話だった。

 日本では、どうか?消費税は、いるのか?防衛費の必要額は(小牧空港に事故で墜落したF2戦闘機は1機160億円也。戦車1台8億円也)?適正な本当の医療費は?高齢者の負担はいるのか?

 情報がどうあれ、憲法の恒久平和9条と生存権の25条は、今年も守り抜きたい。


オーストラリア筋機能改善と頭蓋顔面成長国際シンポジウムに参加
  オーストラリア筋機能改善と頭蓋顔面成長国際シンポジウムに参加


「ボストン紀行」に魅せられて
 
【2001年5月 愛知県保険医協会新聞】
 

 愛知学院大学歯周病学講座稲垣先生の連載記事「ボストン紀行(保険医協会の新聞)」に魅せられて、思い切ってゴールデンウイークに家族でボストンに行きました。稲垣先生とは、私が大学病院麻酔科在籍中、歯周病科から研修で来ていた時に知り合いました。先生は、ボストン大学で歯科と全身疾患にかかわる大変難しいテーマを熱心にリサーチされています。そんな忙しい研究の合間をぬって、私たち家族のボストン滞在を、コーディネートしてもらいました。

 紹介してもらった宿は、稲垣先生のアパートの近く、ボストン近郊の静かなたたずまいのブルックラインにありました。いわゆるB&B(朝食付き宿)ですが、名前をBertram Inn(http://www.bertraminn.com/index.html)といいます。これは1907年に建てられたボストンの貿易商の元住居で、アンティーク家具がこぎれいに配置され、手入れの行き届いたかわいい建物でした。

 
ボストンの足長おじさん
クインシーマッケトで大道芸人と
私は写真左端
 

 
さて、アメリカで最初といわれる地下鉄路線の一つブルーラインで20分ほど行くと、ダウンタウンの中心、にぎやかなクインシーマーケットに着きます。ここでは5月の気持ちの良い日差しの中、大道芸人の面白い大会が開かれていました(写真)。お昼は、休日に市民に解放される小学校の校庭でサンドイッチを楽しく食べました。新緑あふれる校庭では、草野球をする親子グループや芝生でひなたぼっこなどする人々などまるで公園のようでした。ボストンといえば、ロブスターですね。おいしかったので何度も食べましたが、カニのように食べにくかったです。夜は、全米最古のボストンコモンという広い公園に面したコロニアル劇場でミュージカル「レ・ミゼラブル」を観ました。我が子には、ここへ来る前にジャン・バルジャン物語を何度も読んで聴かせてきたので、言葉がわからないミュージカルでも楽しむことができました。

 
ボストンロブスター
ボストンロブスター
 

 次に、たった1日の大学病院見学でしたが、見て歩きの感想を書いてみます。Boston大学歯学部付属病院と稲垣先生の医局(健康政策・健康事業研究講座)、そしてHarvard大学歯学部付属病院とBrigham女性専門病院麻酔科手術室を見学してきました。Boston大学歯学部では、壁のあちこちに、学生や指導者の評価で賞を獲得した講師の名前が、年毎に刻まれていました。日本人講師の名前もありました。日本と違って講師は、絶えず評価を受けるのですね。治療室にはいると、歯石除去をしている歯科衛生士が、マスクの下でガムをかんでいたのには、「やっぱりアメリカなんだ〜」と驚いてしまいました。稲垣先生の医局は、4人がゆったりと研究できるスペースにしきられており、先生机の対面には、統計を専門とする歯科医師ではないプログラマーがいました。一つの研究には他分野の専門家が分担していると言うことだそうです。ここでも日本の医局との違いに驚きました。

 Brigham女性専門病院(http://www.brighamandwomens.org/)は、ハーバード大学医学部系列の病院で、全米でもトップ10の中に入るほどの有名な病院です。そこの日本人麻酔科レジデント河村先生のとりはからいで、手術室の見学をすることができました。麻酔科主任のFlanagan先生(写真左、筆者は中央)は、大変親切に我々を案内をしていただきました。手術室は40室あり、ナースコーナーには、その日の手術状況が、一目でわかるようにプロジェクターで壁に映し出されていました。

 
ボストンブリガム手術室 Dr Flanagan
ブリガム女性専門病院の手術室
写真左はDrフラナガンと中央は私
 


 日帰り手術(Day Surgery)を行う部屋も10室あり、その横には、回復室もありました。心臓手術でも、当日患者が来院し、朝7時から手術が開始されるそうで、驚きました。加入している保険にもよりますが,術前日に入院せず、近くのホテルに泊まる方が入院代少なくてすむそうです。従って退院も早いです。

 全身麻酔薬は、イソフルレンとセボフルレン、そして日本では、認可のないデスフルレンがありました。デスフルレンは、覚醒がとても早いということです。もちろん静脈麻酔薬プロポフォール(ディプリバン)も使用されているのは、日本と同じです。手術時間も治療費に加算されるアメリカ医療保険なので、河村先生曰く、「手術が終わると同時に、患者が覚醒していないと看護婦さんから厳しい視線でにらまれる」と苦笑いしていました。手術に立ち会うことはできませんでしたが、輸液剤は、日本では一般的に1単位500ccですが、1単位1000ccもの量がつり下げられ、また麻酔医の一人が、赤い柄のバンダナを手術帽にしていたのが印象的でした。いろいろな話がありましたが、英語で十分質問できず、悔やまれました。

 
ボストンHarvrd図書館前休憩
ハーバード大学図書館前でお昼休み
写真左端は稲垣先生と右端は私
 


 一緒に見学をした先生の中には、Harverd大学公衆衛生学部大学院生の林先生という方もいました。大学に公衆衛生というグローバルな概念で講座ではなくひとつの学部ができるのは、すばらしいと思いました。多民族が住むアメリカをみて目につくのは、日本人の比にならないほどの肥満です。彼ら食生活をみていると、やっぱり…こういう学部が生まれる背景があるのだなと感じました。

 初めての家族でのアメリカ滞在でした。日常診療に埋没している自分にとって、このような機会を得ることができ、見聞がちょっぴり広がったことはとても新鮮で良かったです。

 最後に、我が子の誕生パーティをした時の稲垣先生の奥様の手作りごはんはとってもおいしかったです。
稲垣先生、ありがとうございました。

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にっぱち会 歯育て 子育て 生活リズム
 
【2000年12月 東海高校 第28回生同窓会ホームページ投稿】
 

はじめに
 2000年11月4日東海高校第28期生同窓会(にっぱち会)がありました。大変楽しいひとときを4年ぶりに味わうことができました。その後しばらくして、電子メールで岡田耕氏より「にっぱち会のホームページ」開設の連絡が入ってきました。
私は、気軽に(メールの良さでもあり、欠点でもあるが)「何かあればお手伝いしましょうか?」と送信したところ、わざわざ東京から、運営担当の長尾数馬氏が、直接当診療所に訪れて、にっぱち会Web運営について熱く語られ、その情熱に動かされ、私のようなものが原稿を書くことになりました。

高校時代の私
高校時代の私


2.私の紹介

 さて、前置きが長くなりました。まず私の紹介をいたします。高校時代のことは、卒業アルバムを見ていただくとして、1984年愛知学院大学歯学部を卒業。総合病院に勤務する傍ら、同大学麻酔学講座入局、1988年日本歯科麻酔学会認定医取得。その後1993年、地元名古屋市昭和区で開業しております。
 大学時代は、先輩の影響もあって障害者の歯科医療や予防歯科、社会医療問題などに関心を持ち、歯科医療サークルでフィールドワークをしていました。また数年でしたが軽音ジャズのクラブにも所属しておりました。

3.歯育て、子育て、生活リズム
 病院時代の話しではなく、現在の私の思っていることを書こうと思っています。へたくそな文章、最後までおつきあいください。
ご存じのように昭和区は、歯科開業医飽和状態の地区ですが、お陰様で開業7年目が過ぎようとしています。私の開業のコンセプトは、地域に根付いた患者さんの立場に立つ医療とその情報発信基地となろうと言うことでした。(今では、情報を得に来るところと思っています。)
情報化社会と言われ続け、インターネットの急速な普及や最近ではIT革命なることばも飛び交っています。しかし、情報が溢れんばかりに、しかも簡単に手にはいるというのに、多くの人のお口の状況は、なかなか良くなっていないことに驚いたのです。私は歯科のことしかわかりませんが、以前勤めていた田舎の病院の状況だけと思っていたら、地元昭和区でもそんなに変わっていませんでした。
たまたま、地域の子育てグループや共同保育所から歯の話の依頼があり、もう6年続いていますが、テーマは「歯育て、子育て、生活リズム 〜 情報化社会と言われるけれど、本物の情報は伝わっているか…」というタイトルで話してきました。
私は、「歯磨きをしましょう」とか「甘いものは止めましょう…」などという話をあまりしません。そんなことは誰でも知っているからです。「わかっているけどできない」なら、まだ「まし」なのですが、「知らされていないためにできていない」が問題なのです。

クリスマスの飾り付けスタッフ
クリスマスの飾り付けスタッフ


 病気は、ストレスとアレルギーがすべての原因と言っても過言ではありません。
お口の病気(主には、虫歯と歯周病、最近顎関節症など)も、同じです。 ある例ですが、年子の男の兄弟2人を子育てしているお母さん、定期歯科検診にはちゃんと来院される。しかししばらくするとお母さんに虫歯が現れる。よくよく聴いてみると、男の子2人ともわんぱくで、家の中をすぐちらかしてしまう、言うことは聞かない…などなど。子育てで一番大変な時期にかなりのストレスを感じているという。ついつい甘いコーヒーを毎日に何杯も飲んで、自分を癒やしていると。煙草を止めた中年の男性、ついつい口元が寂しくガムやアメをお口に入れてしまう。その結果、何度治療しても暫くすると、新しく虫歯をつくってしまう。こんな事例はよくあることです。確かにストレスには、甘いものは薬だと思います。しかし歯はもちろん、体にとっても取りすぎはよくありません。ストレスの全くない生活はありません。むしろ適度なストレスは、程良く人を成長させてくれます。料理のスパイスと同じで辛すぎても、少なすぎてもいけません。
時々、お口の中はきれいじゃないけれど、虫歯や歯周病のほどんどない患者さんに出会います。子どもですと、特別歯磨きを一生懸命やっているわけではないし、成人でも定期的に歯科検診しているわけでもない。いずれも共通することは、目が輝いている、なにか生き甲斐を持っている、生活リズムがある。ご飯を中心とした和食が好きで、海産物をよく摂る…などの傾向があります。食生活は、やはり健康の一つのバロメータです。やはり日本民族は、土地、社会にあった食をちゃんと摂れれば、歯科疾患にかかわらず、病気からすこしでも遠ざかることができるようです。
同級生の歯科管理をしていますが、30代の時は、全く歯周病でなかった人でも、40代になるときちっと定期検診にきていても、歯ぐきを掃除すると出血します。年齢的に免疫が下がってくる時期とストレスがかかってくる責任ある世代かなぁと思っています。
最近、なるべく削らない治療に心がけています。もちろん削らざるを得ない歯の方が多いのですが、最近の論文などでは、初期の虫歯は、溶けたり(脱灰)、また硬くなったり(再石灰化)して、歯が強くなる傾向があるそうです。つまり自然治癒力が唾液の力でおこるというのです。もちろん唾液が砂糖漬けであったり、ストレスで粘調で洗浄力のない場合がありますが、これは別。
ですから、いきなりレントゲンで虫歯があったから削るというスタンスはとっていません。逆に患者さんを説得して、むしろ定期的に検診をしてどうして虫歯になったのかの原因を見つけるよう努力します。食生活なのか、噛み合わせなのか、職場や家庭におかれている環境が原因なのかです。もちろん積極的に予防はします。歯周病は、古来からの病気で、軟食傾向や24時間お口の中を汚染している生活環境、簡単に歯科に受診できない社会事情が、それを加速しています。  
近年、生活習慣病という言葉が、つくられましたが、私は、個人では防ぎようにない病気、つまり医療制度、社会体制病とした方が当たっているのではないかと思います。
最初に書きましたが、デジタル社会、情報化社会などと叫ばれ、それについていけないデジタルデバイドにならない焦りがあるようですが、所詮人間は、アナログです。
何万年とかけて遺伝子が伝えられ、大袈裟に言えば宇宙のリズムを体内に刻み込まれている生物は、簡単には変わりません。0と1では割り切れない中に、病気が発生します。

4.おわりに
最近は「癒やし」という言葉が医療の現場で、特にターミナルな疾患の現場で使われています。なかでも「笑い」が体のなかの治癒力を高めるのです。ユーモアのある笑いが少なくなっている中で、「心地よい笑い」「エンゼルスマイル」を提供できる医療現場は、すばらしいと思います。現代社会では、様々な制約を受け、世紀末のなかで自らの存在を見失いやすい状況で疾病に罹ります。
「従病口入、禍従口出」「口禍之門」(お口から禍は出ていくところ)などといいます。そんな大切なお口を「健康の入り口」にできるように「歯を磨く」ことより「笑いのセンスを磨く」ことで患者さんと向きあいたいと願っています。

5.最後に
このような原稿を書く機会を与えてくださいました「にっぱち会web」運営担当者に感謝いたします。
ありがとうございました。


歯育て 子育て 宇宙のリズム?
 
【1998年 はっとり歯科クリニック】
 

 ここは、2020年宇宙ステーションの中。宇宙飛行士の若い夫婦が、宇宙船の中で、出産した。そしてその子どももすでに6ケ月の赤ちゃんに成長。

宇宙ステーション
宇宙ステーション

 母「この子もう歯が生えてきたわ。」
父「ほんとだ。」
「そろそろ歯ブラシしなきゃいけないわ。」 「まだ、早いだろう。こんな小さい子に。」
「でも地球にいた頃、母が少しずつ歯ブラシに慣らせていくといいって言ってたわ。」
「でもここ宇宙ステーションの中は、すべて抗菌仕様になっているから、虫歯菌もいないんじやないか。」
「この子のおロの中には、まだ虫歯菌は少ないわ。でも私たちのおロの中には、地球の両親から農薬付け食品や添加物だらけの食ぺ物はないし、スナック葉子や砂糖付けの飲み物ばかりじやないから、地球にいる頃より安全だけど…」
「そうだな。でも我々も任務が終わったらこの子といずれ地球に帰らなきゃいけないしな。そう思うと今の環境のまま地球に戻るとたちまち虫歯やアレルギーになってしまう。どうしよう?」
「大丈夫。そういえば、私の住んでいた昭和区のはっとり歯科さんが言ってたわ。」
「なんて?」
「何でも、私たちの体は良くできていて、長い長い進化の中で、体内リズムを持っている。ちょっと難しいけど、遺伝子の中に宇宙のリズムが刻み込まれていて、早寝早起き、つまり朝お日さまがでる頃に目を覚まし、日が沈む頃寝るようにすれば、体の中の細胞が一番元気になる。だからちょっとぐらいのストレスでも負けないんだって。」
「ふ−ん。そういえば我々も、宇宙に行く時は、生活リズムを整え、気圧の影響で虫歯や歯周病が悪化しないように歯医者できちっと治したっけ。それにおロや体そして精神力も整えておかないと宇宙飛行士に選ばれなかったからな。」
「今の地球は、どうなっているのかしら。私たちの頃の地球は、24時間何でも食べたり、手に入れることができるお店や自動販売機だらけで、よく友達が受験勉強の夜食を買いに行ってたわ。抗菌グッズが増え始め、やたら抵抗力が落ちて、小さな子はよく食中毒を起こしてた。食べ物も流し込むことができるくらい柔らか指向になって食べ易くなってたわ。」
「でも和食が見直されていたぞ。本来我々は、お米や、果実、魚貝類そんなもんがいいと聞いていたな。ここの宇宙ステーションでは、いろいろな国の人達が生活していて、それぞれの地域や風土にあわせた料理がでていた。でも今では、和食っぽいものが主流だ。きっとこれが本来ヒトの食性に一番近いんだろうな。宇宙で病気をしていたら大変だ。あっと言う間に感染して研究どころじやなくなるからな。」
「食ぺ物だけじゃないわよ。ここ宇宙は、無重力だから、必ず運動をして、体に力を入れている。でも、日光に当たらないとビタミンDが活性化しない、そして体に力を入れないとカルシウムをとっても骨が強くならない。やっぱり人間は動物、つまり動く生き物なんだから、動かないと役に立たなくなるね。」
「宇宙船のような造られた時空にいると、余分なことをいろいろ考えなきゃいけないな。」「地球も人間が、変に造りかえてしまって、子育て中のお母さんは、考える事ばかり。」
スペースシャトルで宇宙
「まあ、そんなに悲観するな。陽気に笑えば、ナチュラルキラー細胞といって癌や毒を殺してしまう細胞が体を守ってくれる。ヒト本来の生き方を考えればいいのさ。」
「あなたって、気楽ね。きっと長生きするわよ。」 

…あの地球に帰還する日は近い… つづく???



昭和区子育てマップ版 歯育て 子育て 生活リズム
 
【1998年版掲載】
 

 以前からずーっと子どもの治療をしていて思うことがあります。それは診療室での子どもとの出会いを、「虫歯ができてからあわてて治療するという形にしたくないなぁ。」ということです。歯医者ですから、虫歯を治すのが大事な仕事のひとつなのですが、こわごわお母さんに連れられてきて、泣きながら、あるいは目に涙を浮かべながらもがんばって治療を受ける子どもの姿は、何度みてもイヤなものです。
毎日、できれば1本でも削りたくな〜い!抜きたくな〜い!と思っていても、現実は、そうはいきません。たいていのお母さんは「歯磨きサボっていたから…すいません。」と私にあやまるようにして帰っていきます。「違うんですよー」と大きな声で言いたいっ!。またお母さんの多くは、「この子はジュースが大好きで…」って言うんですが、子どもを見るととても自分でジュースを買える年齢には見えない。子どもにそーっと…「ジュース、誰がくれるの?」って聞くと「お母さんだよ!」とうれしそうに返事が返ってくる。「ああ、これだな。虫歯の原因は。」と。

甘いものばかり食べていると虫歯になるよ〜
甘いものばかり食べていると虫歯になるよ〜
 私は常々、虫歯予防は、歯磨きさえすればいいとは思っていません。むしろ生活習慣病ですがら、本来の原因は日常生活にあるのです。歯磨きも大切ですが、毎日磨いて虫歯予防をすることは、難しいと思っています。時々小学生で、虫歯が1本もない子に出会います。ワクワクして、そういう子に「どうして?」ってそのヒミツを聞くと、「歯磨きいっぱいやっているよ」という返事より、ジュースやアメも食べるけど、おやつは1日1〜2回で、お茶が好きで生活リズムのある毎日を過ごしているという子です。虫歯の原因の多くは、お風呂上がりや夜寝る前にジュースや健康ドリンクを飲む習慣や1日3回以上のおやつタイム、しかもジャンクフードといわれるスナック菓子をよく食べることなど。子どもは大人の倍以上の水分が1日に必要です。しかしそのために必要なものは、ジュースではありません。
しかし今時の「子ども社会」もストレスがいっぱい。そんな時、保育園や学校から帰ってきたら、甘いものでもだして、いっぱい子どもの話を聞いてあげることかも…と思います。甘いものの摂りすぎは、体に毒ですが、心にとっては薬です。要は、いつ、どう摂るか…なのですね。

 情報化社会といわれている今、本当の情報はあるのでしょうか?売り手の情報ばかりで、買い手である私たちの本当に知りたい情報は、とても見つけにくくなっています。
"歯医者さん"は、虫歯を治すところだけではなくて、どうしたら虫歯や歯周病にならないようにするかを患者さんの立場で情報提供できるところだと思います。お口に関することだけ取り上げても、子どもと社会環境の問題がいっぱい見えてきます。24時間いつでもどこでもお口を汚染する環境。そんな中で、歯の管理が十分できない時の援助や応援をするところだと思っています。"歯医者さん"は、虫歯じゃないといけないところではなく、気軽に入っていって、歯の点検と虫歯予防のお話を聞けるところだと思っています。
最近の子育ては、歯科を通して診ていると、難しくなっているような印象を受けます。情報は、いっぱいあって、それに振り回されているようにみえます。少しでも子育てが楽しくなるよう私は、歯科を通して応援していきたいと思っています。



会員趣味 過去そして最近の私の趣味事情
浅く広く深まらず
 
【1997年9月 昭和区歯科医師会会報・投稿】
 
ライダーツーリングで楽しむ
 

 
最近、君の趣味は?と聞かれると「あ?え?」返答に困ってしまう。今は、仕事と子育て(子育ち?)その他雑用で毎日が過ぎているからだ。今のところそれなりに充実してはいるが…。振り返ってみると、マニアというほどの趣味がない。

 趣味とは、「道楽」だと思う。つまり仕事や家庭または家計とは関わりなく、時間或いはお金を全く別な価値観で費やすことと思うからだ。中にはとっても物知りでセミプロというような人もいる。そう考えると私にはそれがない。ただ何でも興味を示し、移り気ながら手を出す傾向がある。

 小学校の頃の「旅のペナント集め」に始まり、ラジコン、サイクリング、ペンパル(アメリカ人と文通もしたことあったな)、カメラやビデオ撮影・編集、歌舞伎鑑賞、演劇・音楽鑑賞、バンド演奏、F−1観戦、バイクツーリング、ドライブ、一人旅、スキー、テニス、ダイビング。取得しただけの免許は4級小型船舶操縦士、アマチュア無線、スノーモービル。大型自動二輪(限定解除)は、大学授業の合間をぬって免許とったっけな。ゴルフは、周りのおじさん方に勧められて1年間練習したが、今ではパソコン・パソ通に興味と時間がとられ断念。

 結婚してからは、子ども達と家族行動を楽しむようになり、高校同級生家族グループの小さい子どもたちとアウトドアバーベキューやクリスマスパーティーをよくしている。
さて一応の趣味として続いているものといえば、音楽と旅。そして、ペットを飼うのも続いている。音楽といえば、ジャズ。病院勤務時代、医師バンドを組んで病院のクリスマスパーティーや大学医局コンサートをよくやった。開業してからは、もっぱら鑑賞のみ。クラッシックからロックまでなんでも聞く。ジャズは、部活でピアノトリオをやっていたので、ビッグバンドよりコンボが好き。

 1987年に初めての海外旅行で1人アメリカへ行った時の話。ニューヨークの有名なジャズハウス「ヴィレジバンガード」でトミーフラナガントリオのライヴを目の前で聞き、サインまでもらった感動的な思い出がある。いつかは子どもと一緒に演奏したり、ライブハウスをまわってみたい。

 つぎに、旅。学生時代は、医療研究サークルにも所属していて、全国の医歯薬看護学生研究集会に参加したついでに、あっちこっち回ったことが、始まり。高校時代、サイクリング同好会でツーリングにはまった…わけではないが、バイク免許を取得してからは、日本中を回った。250ccでは、信州・木曽路、北陸はもちろんのこと四国、紀伊半島や北海道ツーリングを、750cc時代では東北、総房半島、山陽地方、九州、沖縄と距離をのばした。10人ぐらいのグループツーリングから1人旅までいろいろ。中には反核ライダーというメンバーになって、核廃絶の署名ツーリングもしたことがあったっけ。バイクの良さは、車と違い、その地方の風土を肌で感じることができていい。確かに雨や寒さなどつらいこともある。そんなとき、バイクのタンクをなでながら「一緒によく走ってくれたね」とマシンを思いやる。バイクはまさに鉄の馬なのだ。またバイクの旅の良さは、小回りがきく。「あっ、いい風情だな…」と思ったら狭い路地裏を走ることも、停止して気軽に道を尋ねることもしやすい。その地方の方言で、穴場スポットを知ることができる。バイクに限らず1人旅は、かえって1人ではなく、いろんな人と関わり合うので、また楽しい。岩手、秋田での一人旅は、レンタサイクルで回ったりやヒッチハイクを経験した。逆に友人と紀伊半島ドライブでは、ヒッチハイクの若者を乗せたこともある。このときの野宿ハイカーの臭いには、まいった。日本全国ひととおりの旅はした。最近は、もっぱら家族ドライブだが、いつか子どもが大きくなりバイクに乗れるようになったら、家族でへツーリングをしてみたい。

 さて「好きにやってきたこと」を書いたが、特にマニアックでもなく、うんちくがある話でもないですね。 最近は、10年来さわってきたパソコンをもう少しわかるようにしたいと思っている。パソ通をする相手も増えてきた(主に研修会メンバーやスタディーグループ間)。パソコン使っての画像編集もしたいなぁと思っている。親父の遺品の貴重な一眼レフカメラで、いろいろなものや自然、人物そして社会を撮影してみたいとも思っている。どうやら旅と映像と音楽とパソコン編集とが趣味の延長線で繋がりそうだ。
あとはどうやって予算と時間をつくるか!?だぁ

 
病院勤務時代のドクターズバンド 1985年
左側ドラムスの私
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子育てミニコミ誌Kid'sぱあくインタビュー
 
【1997年10月号 子育てミニコミ誌Kid s'ぱあくの取材より】
 

 はっとり歯科クリニックの服部哲雄先生に子どもの歯について伺いました。

Q1.子どもの虫歯をどう思われますか?赤ちゃん
同じ虫歯でも大人と子どもでは、大きく違います。大人は甘いものを食べたり、歯をきちんと磨かなかったりしたら、虫歯になるとわかっていて虫歯になりますが、子ども(特に乳幼児)は、本人の意志とは別に虫歯になってしまうので問題です。これだけ歯磨きが励行されていても、虫歯が減らないのは、他に原因があると思います。つまり糖分の摂りすぎだけでなく、食生活、生活リズムの乱れも原因と考えられます。
子どもを取りまく食生活の環境を考える必要があります。私はその子どもをまるごとみて、虫歯の要因をとらえます。生活環境、ライフスタイルをみて虫歯を作ってしまう原因を考えます。 また虫歯の程度は環境の変化伴うストレスや、身体の抵抗力の強弱によっても大きく左右します。

広場での歯の話 風景
広場での歯の話 風景

  一方いくら親が気をつけていても、巷には自動販売機やコンビニエンスストアなど、いつでもどこでも、気軽に安価におやつが手に入る条件があります。そのため自由に行動でき、自由に飲み食いができるようになる中高生からの虫歯の急増が最近話題となっています。「虫歯は親の責任だ」とよく言われますが、いくら親が自分の子どもに一生懸命になっても自分たちの暮らす環境を変えていかないと、限界はあるでしょう。

Q2.子どものおやつについてどう思われますか?
楽しみとしての甘いお菓子をとりあげたのでは、子どもにもストレスがたまります。子どもが食べたがるお菓子をむやみに止めさせるのではなく、いかにその方向を変えるかがポイントです。お菓子=だめというという発想ではなく、いかにトータルに体にいいものを子どもたちに与えようと、という発想を常にしていれば、自然と虫歯予防につながるはずです。
例えば、アイスクリームを少し与えたあとは氷をなめさせてみる、顎の力をつけるためにガムを与えるのであれば、それを昆布やスルメに変えてみる、野菜スティックを持たせてみる…など調理方法を工夫したり発想を転換させることが虫歯予防、ひいては健康な身体をつくる第一歩となると思います。

Q3.お母さんたちへのメッセージ
母親は子どもの歯については非常に熱心ですが、自分の歯については、妊娠、出産、育児期間中を通して、気を使えないことが多いと思います。子どもの虫歯を見つけたときに、「自分のせいだ」と責める前に、母親自身が生活スタイルを見直してみてください。自分自身がだらだらとお菓子を食べる生活をしていたり、歯の汚れを気にしなかったりしませんか?自分自身の歯に対する健康観から身体を管理する姿勢、生活リズムを持つことが、ひいては子どもの虫歯予防につながると考えます。

お母さんと一緒に子どもの歯について考えています。
お母さんと一緒に子どもの歯について考えています。

 ところで親は子どもが3〜4歳ごろまでは「健康」について意識が高く向く時期で、それ以上の年齢になるとどうしても「教育」という分野の比重が大きくなると思います。ですからそれまでに親は、健康についてしっかり見つめて考えていくべきです。それがおそらくずっと健康スタイルの基本になると思います。
さて、今まで言ってきたように母親自身が、自分の歯に関心を持ったり、疑問を持ったり、大切にする心を育むことは大切ですが、簡単なことではありませんね。そこで、かかりつけ歯科医を見つけることと、子どもと一緒に定期検診に行くことで、すこしづつ歯に対する思いができていくと思います。「歯」に関しての予防の話ですが、基本的にはすべての病気の予防につながると信じています。

キーワード:歯育て=子育て=生活リズム

編者より
特集に「歯」を取り上げるにあたり、はっとり歯科クリニックの服部哲雄先生にたくさんの資料のご提供とアドバイスをいただきました。服部先生は大人の治療の他、地域のお母さん方に歯の話をされたり、地域の子どもたちの様子や子育ての状況を見て歯の治療、虫歯予防の指導に当たっておられる先生です。この場をかりてお礼を申し上げます。



次女と保育園と喫茶店の話
 
【1997年3月13日 保育園の卒園文集の原稿】
 

 昨年、お姉ちゃんが小学校に上がると登校時間が早いので、我が家もそれに合わせて早起きをするようになった。次女もその影響で、早起きをせざるを得なくなった。それはそれで良いことだった。朝、お姉ちゃんを見送り、次女を保育園まで連れて行った後、診療所を開けるまで少し時間が取れるようになった。夏頃から診療所の周辺の喫茶店で洋書文献を辞書片手に30分ほど読むようになった。

 さてこの周辺の喫茶店事情を少しばかり
まず始めに行った"喫茶店D"。雰囲気は、一番良いと思う。結構、マスターにこだわりがあるようで、蝶ネクタイに黒のベストとズボンというちょっとダンディな感じ。客層もビジネスマン&ウーマン風で、みんなもの静かだ。交通量の多い通りに面している割には木造の落ち着いたレトロな雰囲気。ただ少し店が狭いので相席になり、また煙草を吸っている人がいると、本を読むどころではなくなる。モーニングセットは、ジャムが付いて¥300也。

 さて次は、"MD"。ここはフランチャイズ店らしく、女の子は、決まり切った愛想で迎えられる。コーヒーはアメリカン。ただ薄いだけか?¥250也。モーニングはクロワッサンが1個つく。店内は広いので人数が少なければ煙草の臭いもさほど気にならず。若者ばかりが来るところかと思っていたが、結構年輩の客もいる。朝は割と人が少ないのと、コーヒーが一番安いので良く利用する店の一つだ(ただし、朝のみ)。

 安いコーヒーと言えば、今年になってつぶれた?"M"という店。ここもホットというとアメリカンで、モーニングはクロワッサンがついて¥180。リーズナブルな値段の割に、朝の客は、意外に少なかった。区役所の常連がいて、出勤前のサロンという感じだった。人数が少ないのと大きなテーブルを独り占めにすることができたので、本は読みやすかった。"MD"と"M"は、比較的若い客層なので、私にとっては居ごごちが良かった。この店は、最近リニューアルし、朝10時開店なので今は利用せず。

 さて以下のお店は、地域密着型である。"G"は、保育園に行く途中にあるのだが、テーブルが一つ確保できるので、ここも本が読みやすい。店も広めで、常連のおじちゃんおばちゃんがお喋りをしていても、あまり気にならない。店の奥さんが、常連客に会計が終わると「行ってらっしゃ〜い」と声をかけるのがいい。私は、黙っているので声をかけられない。一度財布を持ち忘れてしまった時、常連客で私の患者さんに立て替えてもらったこともあった。バター付きパンのモーニングで¥280也。

 次は"K"。ここは、朝、工務店の人達が現場に行く前の一息入れる場所のようだ。いつも同じ車が店の前に止まっている。朝はその人達しかいないので、大きな声で身内話や仕事の打ち合わせをしてから出発する。その後はとても静かだ。1〜2人になってしまうので、これで経営が成り立つのかなと思うが、趣味で喫茶をやっているようにみえるのは、私だけであろうか。ホットは¥280也。

 今度は"A"。ここは狭い喫茶店であるため、時間によっては入れないときもある。というより相席になるし煙草が気になるので、そういうときは、入らない。ここは入って2回目で、ママさんに「お勉強ですか?」といわれびっくり。「まあね」と苦笑したところだ。モーニングはバター付きパン2枚がでて¥250也。ただし消費税5%になるためか4月から値上がりする張り紙がしてあった。

 "K"も"M"もBGMのかわりにTVをつけているので、本を読む私は、気が散ってしまう。
少し離れて"KOのコーヒー"。中部地区では多くのフランチャイズ店で店の造りは統一されている。昔はここのコーヒーは高めだった。今では、普通の値段に近くなってしまった。駐車場が広いせいか、割と朝から客が入っている。長時間1人でテーブルを独占していると、悪いような気がしてくる。ホット¥350也。

 最後に、最近気がついた店"S"。意外と診療所に近いが、保育園に行く経路にはないので気がつかなかった。割と広くゆったりとしていてまずまず本の読める空間である。ホットが確か¥250〜300也。
以上、今までに私の入った喫茶店でした。

次女ももう卒園、保育園には「子育ち」を通していろいろ教えていただきありがとうございました。例えば「食事と生活リズムが子どもを健やかに育てる」ということ、「子どもの良さを引き出す保育実践」を感じたこと、また子どもの保育を通して父母が「社会を学べる」こと等々。これからも「歯の話」等お役に立つことがありましたらお声をかけて下さい。

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歯育て、子育て、生活リズム
 
【1995年1月 全国小児歯科開業医会(JSPP)ニュースレター新入会員紹介コーナー】
 
子どもまつりでの歯の相談
子どもまつりでの歯の相談
 


 一昨年の4月に、地元、名古屋市昭和区で開業して、まもなく2年目を迎える。勤務医と違い、診療所に来院するすべての年代層の患者さんに関る。子どもからお母さん、そしてお父さんとつながっていく。少しずつだがやっとホームドクターとしての関りがでてきた。保育園や小児科が近所にあるため、子どもの受診が比較的多く、それに伴ってファミリー、学生と若い世代の受診比率が高い。

 さて、歯科に関わる問題は、情報化社会のストレス疾患のひとつと言われている。そういう視点で診療していると、虫歯や歯周疾患が、生活スタイルや労働環境からできあがる病気だということを実感する。つまり、歯磨き習慣やおやつの内容だけでは、虫歯のできる原因を説明できないのだ。

 あるお母さんの例だが、歯磨きは大変熱心で、子どもばかりでなく、自分も気を付けているのに、全体的に隣接面カリエス(歯と歯の間の虫歯)があるのだ。よくよく尋ねてみると…2人の男の子がいる。友達を連れて来ては、部屋を散らかす、なかなか言うこときかない、などで、毎日の子育てが大変ということだ。このお母さんは子育てのストレスをひとりで抱え込んでいるようで、そのストレスを癒そうとするためか、よくコーヒーを飲んでホッとするのだという。ブラックで飲むの?と聞くと、砂糖を入れて1日何杯も飲むらしい。ついには隣接面カリエス発生ということになる。砂糖は、体には毒だが、心には安定剤であり楽しみのひとつでもある。このようなタイプのお母さんは、決してめずらしくはない。成人の歯周病も、プラークコントロールだけでは説明できない時は、その背景にあるストレス状況を探し出すと、虫歯と似たような傾向を見つけることができる。

 今度は逆の話。私が開業したということで受診をしてくれた患者さんの中に、今まで歯医者にいったことがない小学生や中年のおじさんがいる。さて口腔内は、さぞかし虫歯や歯周病でいっぱい治療が必要だろう、と診てみると、期待?はずれであったりする。歯磨きは一応やっていて、ひどい間食習慣はない。しかし、歯科習慣は優良かというと、虫歯や歯周病で受診する人とそんなに変わりない。

 心理学的に検討したわけではないが、共通してみられるのは、子どもの場合、くよくよしていなくて、友達も多く、塾や習い事をしているけれど性格は明るい。成人の場合も同様で、仕事に積極的な感じで、声にははりがあり、何か前向きで、なにかしら生きがいを持っているふうだ。おそらく、社会のストレスは他の人と同様に受けていると思われるのだが、ストレスをうまくかわすことができる体力や生き方を持っている人なのだろう。

 このように歯科疾患をあまり持ってない患者さんに出会うと、なぜそうなのかを聞き出したり、どのような家族的傾向があるのかを見いだし、指導に役立てるようにしている。

 虫歯予防についての私の考えは、過剰なストレスをもたない、またはストレスを受けてもそれに打ち勝つ免疫力ある体力づくりをすることだと思っている。多くの保育園では、その目標に「規則正しい生活リズム」をかかげている。朝は、ちゃんとご飯を食べて、夜は8時前後には寝ましょうと。保育園児に限らずどんな人でも、正しい生活リズムを持つことが、自律神経を鍛えることになる。さらに、ストレスに負けない体をもつためには、自らストレスを上手にコントロールできる行動がとれるかだと思う。つまり健康管理の自立である。その結果、歯を守る習慣が出来上る。

 最近は、虫歯を診て、親子関係やその子育て環境に視点を置いて口腔衛生指導を心掛けているが、私のへたなブラッシング指導よりも、納得してもらえるのでおもしろい。

 
昭和区子どもまつり
昭和区子どもまつり
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ある歯科医の夢(自由空間原稿)
 
【1993年 冬号 自由空間(建築関係の機関誌)投稿記事】
 

 私は、常々お口をとおして、からだの健康づくりをしたいと考えている。一般的に歯科医院は、「歯を磨きなさい」「甘いものを食べると虫歯ができるよ」などという説教…?いやいや「指導」なるものを聞かされるところという認識があると思う。指導というものは、その人の生活習慣やスタイルのなかからアドバイスしないと継続しない。歯医者に通っている間しかやらないということになってしまう。


自由空間 第4号の表紙


 ある時子どもに「どうして歯を磨けないの?」と尋ねると「洗面所が寒いの」という返事。なるほど!と思える節がある。「わざわざ歯を磨きにいく…」では続かないだろう。「お風呂で磨いたら?」というアドバイスもするが、もし新しく家づくりを考える人がいたら、ぜひ家族が集まる空間の片隅に小さくていいから洗面所をレイアウトしてみてほしい。必ず健康に結びつくと思う。
さて、患者さんにとって歯の治療に行くとき、歯医者の人柄の次に気になるのは「待合室」と私は思っている。つまりその雰囲気である。例えば古い壁に年季の入った待合い椅子がこぎれいに並べてあると、おそらく年配の先生が頑固に自分の治療をしているような感じがするだろう。また洒落たレイアウトに深々とした腰掛けを配置した明るい雰囲気の医院は、髭でもはやした比較的若い先生がいるのだろう、などと想像してしまう。
待合室には、その医院の一つの表情があると思う。私は、どんな小さな待合室でも開放的であるべきだと思う。またお年寄りや赤ちゃんのためにスロープや畳の間もあるといい。アメリカでは1階が駐車場、2階の診療室へは階段というのは開業が許可されないという州があると聞く。つまり車椅子や足の不自由な人の利用ができないからである。歯科医院は誰でも気軽相談できる場としたい。痛くなってから嫌な処置をされるだけのところではなくて、健康管理のひとつの拠り所みたいなそんな場にしたい。待合室にはいろんな本があり、自由に借りていけたり、あいている日には何か小さなイベントができたり…。その地域のコミュニティースペースであったり、お口の健康の小さな情報発信基地でありたい。


※服部哲雄:歯を通じて、からだ全体、心の健康までを考えようとする、ニュータイプの歯医者さん。
みなみ生協病院勤務(自由空間編集部)


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