優しくしないで


 杉山ミノルは俺の幼馴染だ。

 幼稚園の頃からの友達で、もうずっとお互いの家を行き来しあっている。

 家は隣同士ではないけれど、近くて歩いて5分くらいだ。

 ミノ(と俺は呼んでる)は、人見知りが激しくて大人しい性格で、

 小さい頃はいつも俺の後ろに隠れるようにして、くっついて歩いていた。

 「ミノルくんって、かわいいね」

 女の子みたいな顔をしていたので、ミノを見た迎えのお母さんたちはみんなそう言っていた。

 目立ちたくないのに目立ってしまい、俺の後ろに逃げ込むミノを、俺は幼稚園児ながら、

 なんか可哀想だなーっとぼんやり思っていた。

 

 小学校に入ると、さすがに、くっついて歩くということはなかったが、

 帰ってからは一緒に遊んだり宿題をやったりした。

 ミノは俺の言う事を聞いてなんでもしてくれるし、頭がいいから宿題もあっと言う間に片付けてしまう。

 ミノが解いたプリントを、俺はいつも写させてもらって、すごく楽だった。

 

 中学に入ると部活が本格的に始まって、ミノとは違う部活だったし遊ぶ友達もなんとなく違うタイプで、

 学校では全くというくらい話すことも会うこともなくなった。

 それでも、部活のない木曜には、やっぱり帰ってからお互いの家に行って遊んでいた。

 なんていうか、馬が合うのだ。

 週一くらいの割合で会って顔を見ないと落ち着かないっていうか。

 ミノは相変わらず大人しくて、三年のとき、

 俺はちょっと荒っぽいグループの奴らに絡まれているところを助けたことがある。

 まあ、助けたっつうか、止めただけで大したことじゃないんだけど。

 

 高校に上がるとき、高校選びに悩んで、ミノと同じところを受けようと思ったら、

 ミノが選んだのは(つーか、先生に勧められて言われるまま決めたらしいが)、

 俺なんかとても受かりそうにないレベルの高い高校だったので、諦めた。

 それで、結局俺はミノの一つ年上の姉ちゃんの、みちると同じ高校に通っている。

 家から自転車で10分だ。ミノは、電車通学で40分。

 それでも、メールのやりとりをして、週一くらいの割合で、まだお互いの家を行き来しているのだから、

 大した腐れ縁だと我ながら思う。

 

 園児のころ「かわいいかわいい」と言われていたミノはすっかり成長し、今では同世代の女子から

 「きゃー、かっこいいっ」と言われている(らしい。みちる談)。

 バレンタインには紙袋いっぱいに、チョコレートをもらって帰って来た(らしい。みちる談)。

 偶然同じ電車の同じ車両に乗り合わせた女子が、ミノを見に、

 わざわざミノの家まで尾けて来たことがある(らしい。みちる談…)。

 なんでそんなモテ男になったのか知らないが、俺の中ではミノは、あの頃のままの、

 大人しくて、俺の言う事をきくミノだ。

 確かに顔は整っている。見た目だけなら、きっとかっこよく見えるのだろう。

 喋らなければそれなりに物静かでクールな奴に見えるのかも知れない。

 ま、女たちの見る目、というのは俺にはよく分からないけど。

 それはともかく。

 ミノはそんな感じで引く手あまたなのに、彼女は欲しくないと言っている。

 そして、ミノは、最近、ちょっとおかしい。

 

 「今日、ミノんち行ってもいい?」

 昼の休みにメールを打ったら、「いいよ」と返ってきたが、その後すぐ、

 「やっぱり僕がそっちに行ってもいい?」

 と聞いてきた。俺は構わなかったので、

 「OK。待ってる」

 と返した。

 以前は、半々くらいの割合で両家を行ったり来たりしていたのに、

 この一ヶ月くらいずっとうちで会っている。

 「だって、カズんちだったら、カズしかいないから静かだろ」

 ミノのうちは、お母さんが専業主婦でだいたい家にいるし、

 みちるがいつ部屋をノックしないとも限らないので、落ち着かないと言えば落ち着かないけど、

 今までそんなこと気にしていないようだった。

 それが、急にそんなことを言い出したりする。

 で、会ってるときに、ふと視線を感じることが多くなって、顔を上げるといつもミノが俺を見ているのだ。

 「何?」

 と聞くと、「ううん」って言うんだけど、何か言いたげなんだよな。

 絶対見てたはずなのに、「ううん」ってなんだよ、「ううん」って。

 言いたいことがあるなら、言えばいいのに。

 何度かそういうことがあって、でもミノは決してその何かを打ち明けなかった。

 そして、今日に至る。

 

 俺が家に帰って部屋で待っていると、呼び鈴が鳴った。

 二階から降りて行って玄関のドアを開けると、ミノが立っている。

 学校帰りに直接寄っているので、制服姿だ。

 ほっそりとして、姿勢が良く、色白。

 俺を見て、その優しい性格を滲み出させるような柔らかな笑顔を浮かべる。

 それから、俺たちは俺の部屋でいつものように、話をしたり、ゲームをしたり、

 菓子を食いながらDVDを見たりした。

 で、DVDを見てる最中、また視線を感じたのでミノの方を見ると、目が合った。

 俺は、思い切って聞いてみた。

 「なぁ、ミノ今見てただろ?」

 ミノは思いっきり首を横に振る。

 「う、ううんっ」

 俺は苦笑した。

 「ごまかすなよ。ちょっと前からそうだったろ。何か悩んでんのか?相談ごとがあるなら言ってみ」

 聞くと、なぜか恥ずかしそうに黙り込んで、でも辛抱強く待っていたら、

 小さな声で目を逸らしてポソっと言った。

 「だって、こんなこと…」

 やっぱり何かあるんじゃんか。

 だけど、こんなことってどんなことだよ。

 「どんなおかしなことでも笑わない。誰にも言わないし。言ってみろって、俺たちの仲だろ」

 俺がせっつくと、ミノは渋々という感じながらも、ついに重い口を開けた。

 「カズって、オナニーしたことある?」

 思ってもみなかった質問に、

 「はぁ…!?」

 俺は、素っ頓狂な声をあげてしまった。

 でもすぐにハッとして、真面目な顔で「あるけど」と答える。

 ここで茶化すと、ミノはきっと貝のように口を閉じてしまい、

 二度と同じ話題について話してくれなくなる。

 ミノはオナニーという言葉を言えたことで勢いがついたのか、さらに続けた。

 「じゃあ、…セックスは?」

 俺はちょっと呆気に取られたが、表情には極力出さないようにした。

 なんだなんだ。目覚めちゃったのか?

 ミノからそんな話を振ってくるなんて、超珍しい。

 前は下ネタ、嫌いって言ってたのに。

 「あるよ」

 答えると、ミノの肩がピクリと震える。

 「なに、好きな子でも出来た?」

 俺の問いに、ミノがかあっと顔を赤らめる。

 ほんとに出来たらしい。

 「僕、変なんだ。その人のこと考えると、すごく熱くなって…」

 「それ、全然変じゃないと思うけど。普通だ」

 至極当然のことに思えてそう言ったら、ミノは安心したような顔をした。

 「そ、そうかな」

 好きな人のこと考えたら、盛り上がるだろ、普通。

 そう思っていると、困ったような笑みを浮かべる。

 「でも、やり方分からなくて」

 「やり方って、セックスの?」

 ミノが首を横に振る。

 「え、まさか、オナニーの?」

 ミノが首を縦に振った。

 …嘘だろ。そんなの本能で…あ、いや、俺と一緒にすんなって話か…

 「した事ないんだ?一度も?」

 聞くと、ミノはまた顔をかあっと赤らめた。

 この年までオナニーしたことないのか?

 そりゃ勉強のし過ぎだ。

 俺なんか小学校の……やめとこ。

 好きな子のこと考えながら、抜かないって、そりゃ溜まるわ。俺には考えられない。

 「やり方教えてやろうか?」

 「え、いいよっ」

 「じゃあ見ててやるから、やってみ。掴んで上下に動かすだけ」

 「い、いいって」

 「だって、やり方分からなくて悩んでんだろ?何もしないんじゃ分かんないままじゃん」

 俺の言葉に、ミノが黙り込む。

 俺はしばらく真剣に考えて、顔を上げ、聞いた。

 「俺が抜いてやろうか?」

 「え…だけど」

 不思議なことに、それにはあからさまに拒絶する様子を見せなかった。

 別にいいのか?

 ま、考え方によっちゃあ、自慰をじっと見られる方が恥ずかしいかも知れないな。

 「いいんだったら、やるけど」

 意外な態度に驚きつつもそう言うと、

 「え…でも」

 といつまでも煮え切らない。

 元々二人ともベッドに座っていたので、

 「いいから、遠慮すんなって」

 俺は冗談っぽくミノを押して横にしたが、大して抵抗することもなかった。

 大丈夫そうだったので、そのままベルトを外し始める。

 幼馴染が困ってんだから、一肌脱ぐのが友情ってもんだ。

 ボタンも外してファスナーを下げ、下着をずらすとミノのモノが顔を出した。

 「……」

 そこにあったのは、俺のより、かなり小さなチンポだった。

 ミノはぎゅっと目を瞑っている。

 「ミノの、かわいいな」

 思わず言うと、目を閉じたまま顔を真っ赤にした。

 いくら昔から知った仲でも、まじまじとそこを見るのは初めてで、

 こんなサイズだったなんて知らなかった。

 コンプレックスを抱いているようなので、

 「でも、悪くないよ」

 無意識のうちになんかフォローしていた。

 って、あれ。

 「ひょっとして、このせいで自信が持てなくて、彼女欲しくないとか言ってんのか?」

 「えっ、違…」

 ミノは俺の問いに、目を見開いて首を横にふるふると振った。

 「じゃ、なんでそんなこと言うんだよ。好きな子、いるんだろ」

 「好きな人はいる」

 「同じ学校の子?」

 俺は、聞いたが、ミノは何も言わず黙っている。言いたくないらしい。

 「ま、言いたくないなら、それはそれでいいけどさ」

 苦笑して気を取り直した俺は、

 「とりあえず抜いてやるよ」

 ミノの服に目をやった。

 「制服汚すとヤバいから、脱がすよ」

 そう断ってから、ミノのズボンと、ついでに下着も足から抜いて脱がす。

 それから、手を伸ばしてミノのモノを握る。

 自分以外の男のチンポなんて、初めて触った。

 ミノはまた目を瞑り、俺がそれを緩く握って手を上下させると、

 「あっ、あっ」

 艶かしい声をあげた。だんだん息遣いが荒くなってくる。

 擦っているうちに、ミノのモノは硬くなり、あっと言う間にガチガチになった。

 早…と密かに思っていると、ミノのモノがピクピクし始めて、イきそうになっているのが分かった。

 「カズ、あっ、あっ」

 「出るのか?出していいぞ」

 俺は、左手でミノのモノを緩急をつけて擦り上げながら、右手でティッシュを取った。

 「ん、出るっ」

 ミノの体がビクッと震えて、先端から白濁が飛んだ。

 溜まっていたからか、量が多い。

 俺はティッシュで受け止めたそれを、クシャッと丸めて、ゴミ箱に捨てた。

 「良かったか?」

 聞くと、小さく頷く。

 よく見ると涙目になっていて、それを見たら、ズクッと腰に疼きが走った。

 もっと泣かせたい。

 頭のどこかでそう思い、慌ててその思いを振り払う。

 な、何考えてんだ俺。

 そうして立ち上がろうとしたら、ミノが俺の首に腕をまわして、かじりつくようにして抱きついて来た。

 「ミノ?」

 驚いた俺の唇に、ミノの唇が触れる。

 柔らかなそれが押し付けられる感触に、動けずにいると、ミノが離れた。

 「…女の子じゃない」

 「え…?」

 「僕は前からカズのことが好きで…」

 「……」

 「ただ友達として好きだと思ってたんだけど、最近…」

 「最近?」

 「なんかカズといると、ドキドキして、カズに触れたくて、体、熱くなって」

 ミノの目が潤んで、大きな瞳に涙が溢れてきた。

 「僕、おかしいんだ」

 ミノが恥ずかしそうに目を閉じると、溜まっていた涙が頬を転がり落ちる。

 長い睫毛がそこに影を落とす。

 俺は、ミノから目が離せなくなった。

 驚いた。

 驚いたけど、なんかむっちゃかわいくて、好きなんて言われたりして、

 どうにかしたい気持ちが湧いてくる。

 今、俺に彼女はいない。

 「いいの?抱いても」

 見つめながら聞いたら、ミノが「えっ」という顔をした。

 「カズは、いいの?」

 俺は男とは初めてだけど、さっきも言った通りセックスの経験はある。

 でも、「和樹くんって、エッチなしならいいんだけど」とかって言われて振られるという、

 ある意味サイテーでショッキングな思い出もある。その子は、

 「すごくイヤだった!!」

 と叫んで走り去った。

 傷つくよなぁ。俺にだってプライドってもんがあるんだぞ。

 とムカつかないでもなかったが、どうも俺にも悪いところがあるらしいので、

 仕方ないと怒りを飲み込んだ。

 どこが嫌だったのか、なにが嫌だったのか彼女に詳しく聞きたいとこだったが、

 なんかしつこい気がするし、未練たっぷりに思われてしまいそうでやめた。

 もし、俺のセックスに欠陥があるとしたら、俺はミノにも嫌われてしまうのかも知れない。

 幼稚園のころから築いてきたこの関係が、

 あっという間にガラガラと崩れ去る音なんて聞きたくないと思う。

 でも、ミノは俺とヤりたがっているし、俺もヤりたくなっている。

 なにより、今、目の前にいるミノは、色っぽくて、その辺の女よりずっとそそる。

 「お前がいいなら、抱くけど」

 ミノの気持ちを探るように言うと、ミノは小さくこくりと頷いた。

 じゃあ、と俺が右手を差し出して、

 「舐めて」

 と言うと、ミノは素直に俺の手を取って、口に入れた。

 舌を上手に使って、指の先や指の間にまで唾液を塗していく。

 なんだ。うまいじゃん。何も分からない、みたいにウブな感じだったくせに…

 「んっ…んっ」

 俺も感じてちょっとくすぐったかったが、ミノは俺よりずっと興奮しているようで、

 指を咥えたり赤い舌を這わせたりしながら艶かしい声を漏らした。

 おいおい、なんだよむちゃくちゃ色っぽいな。

 顔は綺麗だし、声は高いし、抱きたい気持ちとあそこが瞬時に膨らむ。

 俺は、指を口に入れたまま、もう片方の手で、ミノの乳首をスクールシャツの上からつまんだ。

 「あっ」

 ミノが小さく叫んで、眉根を寄せ、俺は我慢できなくなった。

 襲う。

 俺は濡れた指を口から抜いて、ミノの足を広げた。

 指を後ろの穴にあてがい、力を込めて、ぐっと押し入れる。

 いきなりはキツいかと思ったら、意外にも指はすんなりとミノの中へと入っていく。

 「ンッ」

 ミノがぎゅっと目を瞑る。

 一生懸命耐えている感じが、健気でまたいい。

 指が飲み込まれていくのと同時に、ミノのモノが立ち上がってくる。

 ほんと小さいな。でも、ちゃんと機能は果たすし、入れるのは俺だから、無問題。

 ミノの中はぐにぐにとして柔らかく、温かい。

 中で指を動かしてみる。

 「んっあっ」

 ミノの体が震えた。

 「感じるのか?」

 聞くと、恥ずかしそうに首を横に振って、目を閉じる。

 違うと言っているようでも、感じているのは確かだった。

 俺が指を出したり入れたりすると、ミノの足に、ビクビクと力が入る。

 出し入れを続けると、だんだん足が開いていって、思いっきりM字開脚になって、

 なんだかもっと入れて欲しいと言っているような姿勢になった。

 やらしい格好。

 「もっと欲しい?」

 聞いても、恥ずかしいのか返事をしない。

 恥ずかしがってる割には、あられもない姿なんだけど。

 俺は、指をもう一本増やした。

 「んんっ」

 中が俺の指を締め付けてくる。

 この強さで俺のも締められたら、どんだけ気持ちいいだろうかと思ったら勃ってきた。

 そう言えば、女のGスポットみたいのが男にもあるって聞いたことがある。

 そこ攻められると、めっちゃ気持ちいいっていう話。

 確かこの辺…

 俺は、ここかと思う場所を指先で攻めてみた。

 「あっ、や、そこ」

 ミノが慌てたような声をあげたので、俺はもう一度そこを突いてみる。

 「ああ、ンッ」

 場所のことはうろ覚えだったが、上手く見つけられたようだ。

 ミノが体を捩じらせて、不安と焦りが混じったような表情を浮かべる。

 「何?ここがどうした?いいの?」

 俺は、しつこくそこを突いたり擦ったりした。

 「んっ、ああっ、や、はぁ、あっ」

 全体もかき回してやると、はあはあと荒い息遣いになって、ミノの目に涙が浮かぶ。

 入れたときに比べたら、ミノの穴は随分解れたような気がする。

 熱を帯びて柔らかく、ヌプヌプと俺の指に絡みついてくる。

 俺は、指を一度引き抜いてから、もう一度奥までぐっと入れ直した。

 「んんっ」

 ミノが仰け反って、チンポの先端からピュッと透明な汁が溢れ出る。

 そんなにいいのか?

 少しスピードを速めて、引き抜いては奥まで入れる、を繰り返すと、

 どんどん先走りが出てきてサオを伝い落ちる。

 後ろからグチュグチュといやらしい音がし始めて、

 「あっ、あっ、カズ、もう」

 後ろの穴が指をきゅっと締め付けたと思ったら、ミノの前から精液が飛んで、腹を汚した。

 「またイったのか?」

 「だって、気持ちい…」

 頬を染めて恥ずかしげにするミノを、俺は離れて眺めた。

 白くて細くて、ほんとそそる。ミノって、こんなだったっけ?

 それから、ティッシュでミノの腹の精液を拭く。

 「カズ…好き」

 ミノは俺を見つめてそう言ったけど、俺は自分の中に、

 そういう意味での好きという感情があるのかどうか分からなくて、何も返さなかった。

 ただ、潤んだ瞳で見つめてくるその仕草にはムラムラ来た。

 もっともっと苛めてやりたくなる。

 イったばかりで柔らかくなっているミノのモノを掴んでしごくと、ミノが思い切り身悶えて、

 「ふあっ、あっ」

 目からまた涙が零れ落ちた。

 「誰もいないから、どんだけ声出してもいいからな」

 ミノの声なんて、ずっと聞いてきたけど、今聞いている声は、今まで聞いたことのない特別な声だ。

 「ん、んっ」

 ミノが泣きながら頷いて、また立ち上がってきたモノをピクピクさせている。

 まさか、またイっちまうんじゃないだろうな?

 俺は、手の動きを止めて、顔を上げて部屋を見回した。

 壁にディスプレイとして飾るようにかけてあったスニーカー用のヒモが目に留まって、

 俺はベッドを降りて、それを取りにいった。

 こんなことをする為に買ったわけじゃないけど、いいか。

 「な、何?」

 そのヒモを使って、ミノのペニスの根元をくくってやった。

 俺はちょっと不感症っぽいので、なかなかイかない。

 イってばかりで、一人で気持ち良くなっているミノに制限を強いたくなる。

 その状態で後ろを向かせ、引き出しにしまってあったローションを取り出した。

 指はすんなり入ったけど、さすがに俺のはローションをつけないと痛いだろう。

 俺は、それを手にとって穴を指で広げるようにして馴染ませてから、自分のモノを押し付けた。

 「んっ」

 そのまま力を込めて挿入すると、ゆっくりと飲み込んでいく。

 指で慣らしたし、何度か抜いてるし、ローションを使ったせいだろうか、意外とすんなり入った。

 全部入ったところで、少し引き抜き、またぐっと押し入れた。

 それをきっかけにして欲望の赴くままに、ミノの尻に腰を打ちつける。

 穴の締まり具合は最高で、ものすごく気持ちよかった。

 ふと思いついて角度を変え、ミノのいいところを突くようにして出し入れしてみた。

 「あっ、ああっ」

 ミノの喘ぎ声が大きくなり、途中から悲鳴に近い声をあげながら、

 吐精は出来ないようにしてあるので出さないものの、背中を仰け反らせて何度もイっていた。

 そのたびに中が締まって、俺を気持ちよくする。

 ミノのそこと声と姿態は、少なからず俺を煽って感じさせ、

 時間はかかったけれど俺もミノの中に入れたまま達した。

 ミノは、ぐったりした様子で、言葉もない感じだったが、俺が顔を寄せ、

 唇を合わせてキスをすると、自分からおずおずと舌を差し入れてきた。

 後ろから抜かないまま、ヒモを外してミノのチンポを扱いてやると、

 「あっ」

 あっと言う間に、白い体液を吐き出しながら、今日何度目かの射精をしてミノが俺を締め付けた。

 

 

 

 そんなエッチをしたと言うのに、ミノは俺のそばから離れていくこともなく、

 メールを送ると、またノコノコとうちにやって来る。

 ほんと、この間が初めてとは思えないくらい積極的だ。素質があるのかな。

 俺は、最初から飛ばして悪かったかなとちょっとだけ思っていたのだけど、

 ミノは目覚めちゃったのか、ヤりたいばかりという感じでいる。

 俺も人のことは言えないけど、あのミノがそんな風になる日が来るなんて、

 全然思ってなかったからビックリだ。

 「今日は何して欲しい?」

 「…カズがしたいことなら…なんでも」

 蚊のなくような声で、頬を紅潮させて言う。

 それで、俺はとりあえずミノをベッドに押し倒してシャツを捲り上げ、

 乳首に指をあてて、押しつぶすようにしてみた。

 「んっ」

 感じるのか、小さな突起はまるで反発するかのように、すぐに硬く立ち上がって来る。

 「ここ、いいのか?」

 聞くと、コクンと頷いた。

 それから、不思議そうな顔で言う。

 「僕、今日どうしてもしたくなって、自分で乳首とかさわってみたんだけど、

 全然良くなかった…どうしてかな」

 乳首とか、って、一人で何してんだよ。

 「ばかだな。自分でやってむちゃくちゃ良かったら、セックスする必要ないじゃん」

 俺は乳首をクリクリと弄びながら言った。

 「あっ、あっ」

 ミノが胸を突き出すようにして体をよじり、感じまくっているのが分かる。

 「んっ」

 色っぽい声をあげ、その声が腰に来た。

 「オナニーなんかするなよ。したくなったら、俺んとこ来ればいいだろ」

 「だって、いつもいつも会えるわけじゃないし…」

 それを聞いて、俺はニヤッと笑って言ってやった。

 「それは、いつもいつもしたいってこと?」

 すると、ミノは顔を真っ赤にする。

 「なんだよ、なんだよ。ミノ君発情期?常にこれが欲しいんだ?」

 俺は、ミノの股間に自分の股間を押し付けてやった。

 「あっ」

 それだけで、すごく感じるらしく、目をぎゅっと瞑って快感を耐えている表情をする。

 仮に、真面目に常にこれが欲しいと言われても、生活しなきゃならないわけで、

 ずっとくっついているわけにもいかない。

 ローターでも突っ込んで、いいと言うまで抜くなと命令してやろうかなと、

 一瞬、サドっぽいことを考えてしまった。

 バイブでもいいけど。

 …極太。

 今度買ってみようか。

 「俺、ミノのことすごく苛めたいんだけど、いい?」

 苛めたいと言われて、了承するやつなんているのかと、自分で聞いといて思ったが、ミノは、

 「僕、カズのすることなら、何されても嫌じゃないよ」

 と頷いた。

 俺は笑って、ミノのズボンに手をかけ、下着もろとも足から抜きとって脱がすと、

 また乳首をいじってやった。

 「あっ、ンッ」

 ミノの腰がガクガクと揺れる。

 今度は乳首を噛んでやると、

 「はっ、…いっ!」

 痛かったのか、目をきつく閉じた。その顔も、なんとも言えずゾクゾクくる。

 でも、痛がってるなら噛むのはやめようかなと思って、口づけをしたり吸ったりしていたら、

 「もっと…噛んで」

 潤んだ目でミノが言って、俺は驚いて一瞬動きを止めた。

 その言葉が、俺の加虐心に火を点けた。

 ようし、噛んでやる。噛んでやろうじゃないか。

 俺は、乳首を口に含んで、さっきより強めに噛んだ。

 「いっ…、ああっ!」

 ミノが仰け反って、悶える。

 硬くなっている乳首は噛み応えがあって、俺は何度もそこに歯を立てつつ、

 その合間に先端を舌で舐めたりしてみた。

 絶え間ない喘ぎ声が部屋に響き渡り、ビンビンになっているミノのモノが視界の隅に入る。

 噛みながら、ミノの口に指を入れて、

 「あ、んぅ、んっ」

 口の中を触りまくって指を濡らし、その指を後ろの穴にツプリと挿し込んでやった。

 奥まで入れると、ミノはそれだけで

 「ああっ!イくっ」

 と叫んで射精した。

 乳首だけで、相当感じたらしい。

 後ろから指を抜いて、ハアハアと荒い呼吸をしているミノの手を引っ張って起こす。

 ぐったりしている感じのミノを上向かせて口を開けさせ、そこにペニスを突っ込む。

 ミノの頭を手で掴んで、腰を前後に動かした。

 「んっ、んっ」

 ミノがつらそうに眉根を寄せるのを見て、ものすごく感じる。

 俺はどうしちゃったんだろう。ミノを陵辱したくてたまらない。

 俺って、変態だったのか?

 衝動を止められないままに腰を動かし、いつもはイくのにもっと時間がかかるところを、

 「ミノ、飲んで」

 割と短時間で絶頂を迎えた。

 ミノの頭を股間に押し付けて、喉の奥へと迸りを注ぐ。

 「ん…ぐっ」

 ミノが苦しそうな声をあげて、俺のを飲み込んだ。

 射精し終えると、途端に、後悔のようなものが湧いてくる。

 俺、何してるんだ…?

 「ミノ…ごめん…俺」

 俺が謝ると、ミノが涙をポロポロこぼしながら、首を振る。

 「いいから…僕、また」

 「え」

 言われて、ミノのモノに目をやると、イったばかりのペニスがまた大きくなっていた。

 無理矢理咥えさせられて、感じたのか…?

 「…お願い…欲しい」

 目の縁を赤く染めながら言うミノに、

 「ミノ…」

 今、イったばかりで、しかもひどくしたのを後悔したはずなのに、また俺のモノも上を向いてくる。

 「入れて…」

 ミノが四つん這いになって、尻をこちらに向け、俺はゴクリと唾を飲んだ。

 その誘惑に、俺のモノがどんどん復活する。

 俺はローションを手に取って、それを馴染ませた指を目の前の穴に入れて、かき回した。

 「んぅっ」

 ミノの先端から、先走りが溢れ落ちてシーツに染みをつくる。

 ろくに解す行為もしてないのに、そこはすぐにトロトロに蕩けたようになり、

 俺は指を抜くと、すぐに自分のモノを押し入れた。

 「ああっ」

 中は、ヒクヒクと痙攣するように動いていて、俺が突き始めると、グイグイ締めつけてくる。

 「すげ…いい具合」

 俺が呟くと、ミノがそれに応えるみたいにして喘ぎ声をあげて、

 俺の突きに合わせるように腰を動かす。

 「あっ、あっ、いいっ、…ンッ」

 俺のサドっぽい行為も、ミノには気持ちいいばかりのようで、

 どうやら後悔する必要も遠慮する必要もないらしい。

 それが分かってからは、思いっきり攻めさせてもらった。

 突きながら、後ろから手を回し、さっきさんざん噛んだせいで赤くなっている乳首をつねる。

 「あっ、ひっ」

 ミノが背中を仰け反らせ、上気した細いうなじが目の前に迫る。

 「ミノ、たまんないよ」

 耳元でそう囁いてから、うなじに噛み付いてしゃぶるようにすると、

 「あああっ」

 ミノは大声を上げながら達して、吐精した。

 「カズ、カズ、僕もう」

 手に力が入らないらしく、ミノが枕に顔を埋めるようにして布団の上に突っ伏す。

 でも、俺はまだイってない。

 俺は、ミノの尻を上げさせたまま、さらに腰を激しく前後に動かした。

 前も擦ってやると、ミノのそれは徐々にまた勃ち上がって、突き続けるうちにもう一回射精した。

 「あ…ああ」

 でも、もう限界だったようで思い切り攻めていたら、

 ズブズブと挿出する穴から力が抜けて、ミノが気を失ったのが分かった。

 意識のないミノをそのまま犯し続けて中に出したあと、俺はゆっくりと自分のモノを引き抜いた。

 

 「ごめん。俺、無理したよな」

 意識を取り戻したミノに謝ると、ミノは首を振って、

 「ううん。僕、ひどくされると興奮するし感じるんだ。こんなの変かな」

 不安そうに俺に聞いた。

 俺は心の中で苦笑する。

 それをマゾっつうんだよ、ミノ君。

 「別にいいんじゃねえの。人それぞれだし」

 それに、俺にはその方が都合がいいし。

 苛めるようにして攻めると興奮する俺。ひどくされると興奮するミノ。

 こんな近くに、こんな相手がいたなんて。

 

 俺は、まだヤり足りない気がして、

 「じゃ、第3ラウンド、行くか」

 体を起こしてそう言うと、ミノを押し倒してのしかかっていった。

 どんだけヤるんだっつー話。

 俺は上に乗って、本当の本当は嫌がってるんじゃないかとミノの表情を窺ったけれど、

 ミノの顔にそんな色はまったく見えず、それどころか応える気満々で、嬉しそうにしている。

 ふと床に落ちている制服のネクタイが俺の視界の隅に入って、

 それで縛りたくなって拾い上げ、ミノの両手を頭の上で縛った。

 それから、いつも部活で使っているスポーツタオルで目隠しをする。

 それだけでもう感じているらしく、ミノのペニスは硬く勃ちあがってきた。

 俺のも同じだ。

 

 こんなに相性いいんじゃ、もう止まらないよ?

 

 

                               了

 

2010.04.26

 

ほどほどにねー

…あんまりSな攻めって感じになってませんね。トホ

 

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