優しくしないで2 前編
後ろ手に縛られた状態で、ミノがベッドに横たわっている。
目には目隠しのための布が巻かれていて、表情はよく分からないが、
頬には赤みが差し、期待の吐息を漏らす唇が半開きに開かれていた。
脱がされて露になった下半身の中心は、既に勃ち上がりかけている。
俺は、ミノの足から引き抜いた制服のズボンと下着を、
パサリと床に落として上に跨り、しばらくミノの全体を眺めた。
ミノが、放っておかれることに不安を感じたのか、
「カズ…」
心もとない様子で俺の名を呼び、俺が跨ったまま「ん」と返事をすると、
「お願い」
続けてそう呟いた。
焦らすなということらしい。
俺は笑って、言ってやる。
「どこから触ろうかな」
すると、ミノのモノがピクリと反応した。
目隠しをされているので、俺がどこを触ろうとしているのか、ミノには分からない。
それが余計にミノを興奮させているようだった。
俺は、ミノに顔を寄せて、ちょっと実験をするような気分で、
自分の唇をミノの唇に触れるか触れないかのところまで近づけた。
ミノが、空気や音や匂いから何かを感じ取ろうとするような表情をする。
間近でふっと息を吐いたら、なにかいいものを見つけたみたいな勢いで、
引き寄せられるように俺の唇に吸いついてくる。
合わさった唇をそのまま強く押し付けて塞ぎ、
ミノの舌を探して捕らえ、その舌を思いっきり吸ってやると、
「んっ」
気持ちよさそうな声をあげる。
「んっ、んっ」
その声を聞きつつ口腔を攻め続け、同時に、シャツのボタンに手をかけ、
それを一つずつ外していった。
全て外して前を全開にする。
胸の小さな飾りに手を伸ばし、摘まんでキュッとつねるように力を加える。
「あっ」
感じたのか、ミノが体をビクッと揺らした。
後ろ手に縛られているので元々胸が前に出ているような姿勢だったのが、
もっと前に突き出される格好になる。
それを見た俺は、今度は両方の乳首に軽く爪を立てるようにして、
転がしつつ押してやった。
「あっ、あっ」
ミノが体を突っ張るようにして仰け反り、声をあげる。
体の下敷きになった腕が痛いかも知れないなと思ったけれど、
ミノから痛がっている様子は窺えない。
俺は、それには構わないことにして、勃ち上がって雫を湛えているミノのモノを握った。
今の刺激で隆起した乳首を口に含みながら、扱き上げる。
「あっ、やっ、ああっ」
俺の動きが見えない分、握られるにしろ含まれるにしろいちいち感じるらしく、
一つ一つにビクビクとミノの体が震える。
「あ…ああっ!イくっ」
「いいよ。イって」
手の動きを止めることなく言うと、ミノはすぐに達して、吐精した。
腹に飛んだ精液をティッシュで拭ってやってから、ミノをひっくり返して、うつ伏せにする。
そうして、腰を掴んで尻を高く上げさせた。
今度は腕は大丈夫だが、顎と肩が痛そうだ。
でも、やはり嫌そうな顔はしていない。
どころか突っ込まれることを想像したのか、
イったばかりのミノのモノが、また硬さを持ち始める。
俺は、引き出しから新しく買った温感ローションとバイブを取り出した。
ローションは、塗るとその部分が熱くなるという代物だ。
バイブは、立派な大きさと長さの、二箇所にくびれが入って三つに分かれた、
ちょっと変わったタイプのものだった。
どちらも今日初めて使う。
俺はローションを手の平に出して指に馴染ませ、その手をミノの後ろに持っていった。
中指をソコに押し当てて、力を入れてミノの中へと沈める。
「あ、んっ」
ぐっと押し入れては引き抜き、指を増やし押し入れては、また引き抜く。
かなり広げないとバイブが入りそうにないし、傷つけないようにという思惑もあって、
丁寧に解していると、それだけでミノの先端から先走りがどんどん溢れてきて、中が震え始めた。
「は…っ、ああ」
もしかするとイくかも知れないと思いながら、
右手で抜き挿しを続けつつ左手でティッシュを取ったら、ほどなくして本当にイってしまって、
俺は速やかにミノの白濁をそれで受けた。
ミノが俺の指を締め付けるのを感じたが、
手を止めずにそのまま出し入れを繰り返し、また指を増やす。
「んっ、んぅ、カズ…、熱い」
切なげな声でミノが言って、尻を上げた。
まるで俺を誘惑してるみたいな動きだ。
「そういうローションなんだよ」
俺は、そう返して指を抜いた。
そろそろ入るだろうか。
ローションを手に出して、それを三つにくびれた極太バイブに塗りつける。
そして、眼前のミノの穴に先端を押し付けて、ぐっと押し入れた。
先端が入ると、
「や、なに?」
ミノが驚いたように後ろを振り返る。
入れられたのが、俺のモノでないことは、当然感覚で分かるだろう。
後ろを向いたところで、目隠しをされているので何も見えないのだが、
ミノはこちらに顔を向けて返事を待っている。
「バイブだよ。膨らみが三つあるやつ」
自分が咥え込んでいるものの正体を教えてやりながら、ゆっくりと押し進めると、
ミノの穴は、一つ目のくびれまで飲み込んだ。
「んん…っ」
割と簡単に入っていく。
「でかいけど、いけるよな」
さらに力を加えると、少しずつ進んで、二つ目のくびれまでも飲み込む。
くびれと膨らみを交互に受け入れながら、ミノはバイブを体内におさめていく。
「あと一つ」
俺は、調子よくもう一つ進めようと思ったが、
ここにきて押し返してくるような圧迫感が強くなった。
「ミノ、力を抜いて」
俺の言葉に、ミノは健気にもコクンと頷き、俺がもう一度力を込めると、
残りの一つもゆっくりと入っていった。
「カズ…」
ついにそれを全部飲み込んで、せつなそうに呟くミノに、前に回ってキスをする。
それから縛っていたネクタイを解いて手を自由にし、
ミノを四つん這いにさせて、顔を上向かせた。
「ミノ、咥えて」
ミノの口の前に俺の大きくなったモノを持っていくと、
ミノは口を開けて素直にそれを咥えた。
「んっ」
ミノの後ろに目をやると、ソコが極太バイブを咥えこんでいるのが見える。
上の口で俺のを、下の口でバイブを咥えているのだと思ったら、ものすごく感じてきた。
ミノの頭を掴んで、腰を前後に振る。
「んっ、ミノ、イく」
興奮したのとミノの温かく締め付ける口内の気持ちよさに、
快感が背筋を駆け抜け、俺は、白濁をミノの喉へと注いだ。
ミノが少し苦しそうな様子で口の中のものを飲み込む。
それから俺は、再びミノの後ろへ回り、バイブが入っているそこを眺めた。
外に出ている部分には、スイッチがついていて、
俺はそれに手を伸ばし、おもむろにスイッチを入れる。
バイブが怪しく動き始めて、
「あっ、あっ」
ミノが声をあげる。
緩やかに回転するような、うねるような動きだ。
バイブの底部に手の平を当てて、さらにグッと押し入れるようにしたら、
「ああっ」
ミノがガクガクと腰を震わせ、体に力が入らないのか、
また枕に顔を押し付ける体勢になってしまった。
そのままバイブをつまんで、中でねじるように回してみたり、
感じる箇所に押し付けたりしてみる。
「んっ」
ミノのチンポがどんどん復活して、またイきそうになっているのが分かった。
本当にイきやすい体質だ。
俺は、一度ゆっくりとバイブを引き抜いた。
抜ける寸前まで引き抜いてから、ぐっと最奥まで入れ直す。
大きく引き抜いては、突き入れ、を繰り返し、その動きを次第に速く激しくさせていったら、
摩擦でよくなってきたらしく、ミノは背中を仰け反らせて三度目の白濁を吐き出した。
ミノが少しぐったりして来て、そろそろ終わらせた方がいいと判断した俺は、
まだいやらしい動きを続けるバイブのスイッチを切って、ミノの中から取り出した。
「あっ」
ズルリと全部を引き抜かれる感覚に、ミノが体を震わせる。
大きなモノを飲み込んでいた穴は、中のモノが取り除かれるのと同時に、
すぼまってゆっくり閉じていった。
その様子に、俺はたまらず、ミノの目隠しを外し、
ミノをひっくり返してまた仰向けの状態にした。
元の形に閉じられたそこに、痛いほどビンビンに勃ちあがった自分のチンポを押し当てる。
正常位の体位で、ミノの顔を見ながら、腰を落とした。
すると、そこがもう一度広がって、俺のを受け入れていく。
体重をかけて一気に、でもゆっくりと根元まで突き挿した。
「ああっ」
中が俺のを包み込むようにして受け入れ、ミノが背を反らして声をあげる。
俺は、腰を前後させて、トロトロになっているソコの感触をじっくりと味わった。
温感ローションのせいか、いつもより熱くて、俺のに絡みつくようにして締め付けてくる。
「あ、あ、熱い…」
はあはあと荒い息遣いが聞こえて、
「気持ちいいだろ?」
ミノを見ると、顔が上気して赤くなり、額が汗ばんでいる。
「俺のとバイブ、どっちがいい?」
聞きながら、いいところを擦り上げるようにして奥を突くと、
「ああっ、んっ、カズ、のっ…」
喘ぎながら答える。
「本当かぁ?だって、あんなにデカいんだぜ?」
「でも、僕、カズのの方が、…いいっ」
恥ずかしそうに、涙目でそれを口にするミノを見て、俺は抽挿のスピードを早めた。
言わせてるんだけどさ、やっぱ悪い気はしないよな。
腰の動きを激しくしつつ、かわいいことを言うミノの乳首を口に含んで、軽く歯をたててやる。
「あっ、やっ、ああっ」
イきそうになっているのが分かって、俺はさらに奥を穿つように強く腰を打ちつけた。
次の瞬間、ミノが達して中が締まり、それを感じた俺もミノの中に熱い迸りを注いで、
性交はフィニッシュを迎えた。
全部出し切って、俺が自分のモノを引き抜いて横になると、ミノが潤んだ目で俺を見てきて、
「カズ…好き」
終わるといつも口にする言葉を、今日も口にしてくる。
そして俺も、やはりいつもと同じ
「ん」とも「ああ」ともつかない小さく曖昧な音をもごもごと発してごまかす。
雰囲気で返してやってもいいのかも知れないが、
好きとかなんとかってなんか抵抗があって、俺はちゃんと答えてやったことがない。
『別に言わなくても、今のままでいいんじゃないか』とも思うし、
ミノも特別不満そうにはしていない(ように見える)。
「ちょっとトイレ借りるね」
横になっていたミノが立ち上がってトイレに行き、
俺はその間に、使ったものの後処理をして片付けた。
戻ってきたミノが、服を身につけながら言う。
「僕、今日はもう帰るよ」
それを聞いて、顔を上げてミノを見る。
「なんか用事あるのか?」
いつもはもっとゆっくりしていくのに、と訝しく思って聞いたのだが、ミノは、
「うん。ちょっと…」
とハッキリしない返事を寄越して鞄を手にすると、そのまま部屋を出て階段を降り始めた。
「じゃあ、またな。メールする」
後ろから声をかけると、ミノは笑顔で振り返って頷き、玄関から出て行った。
「お、先輩、ちぃーっス」
学校の一階の渡り廊下で、ミノの姉ちゃんのみちるに会った。
髪がショートで、ミノの姉ちゃんだけあって、割とかわいい顔をしている。
でも性格はミノと正反対で、活発、というと聞こえはいいが、がさつで強暴だ。
俺が挨拶をすると、みちるは、こっちを見た。
「先輩って呼ぶの、やめろって言ってるでしょっ」
もうムッとしている。
俺に対する態度は、いつもこんなだ。
言葉がけんか腰で、つっぱってる感じ。
もうずっと前からなので、慣れてるから気にしないけど。
「だって先輩だろ」
俺が続けて言うと、みちるの隣の人がクスッと笑った。
髪が長くて、眼鏡をかけた、みちるの友達だ。
その人が頭を下げてくるので、彼女にも小さく「ちぃース」と言って、俺も頭を下げ返す。
よっぽど仲がいいのか、いつ見ても、二人セットで連れ立って歩いている。
親友というやつだろうか。
確か、名前は美由紀とか言ったはずだ。
それから、俺が視線を戻してみちるを見ると、ムッとした表情のまま聞いてきた。
「ところで、あんた、うちのミノル、苛めてない?」
いきなりの質問に、思わずドキッとする。
「い、苛めてねーよ」
苛めてるっちゃあ苛めてるが、そんなこと言えるわけない。
が、なんか必要以上にムキになって言ってしまって、
不自然で気づかれてしまうんじゃないかと一瞬ヒヤッとした。
こっちになまじ後ろめたい気持ちがあるから…
しょうがないよなぁ。
それにしても、みちるにそんな質問をされるとは。
まさかミノの奴、俺たちのこと言ったりしてないだろうな。
そう思ってから、みちるに、
「なんでだよ」
と聞くと、
「ん。最近、あの子元気ないときがあるから」
自身も元気の感じられない笑みを浮かべた。
俺は顔を顰めた。
ミノが?
「あんた、心当たり、ない?」
「ねぇよ」
即答する。
今度は早すぎてバレるんじゃないかと不安になった。
が、今度もバレた気配はなく、真剣な顔をしたみちるが続ける。
「なんか成績も下がって来てるみたいだし、あんた友達なんだから、
なんか悩みがないか、それとなく聞いてみてくれない?
最近あの子、私と喋りたくないみたいで聞いても返事もしてくれないのよ」
俺は、意外な言葉に、思わず「へぇ」と声をあげた。
ミノがみちるにそんな態度を取っているなんて、ちょっと想像できなかった。
昔からミノは、みちるに従順だったのに。…反抗期か?
「そうなんだ」
言いながら、俺といるときの最近のミノの様子を思い浮かべる。
俺に対する態度は、別に、変わったところはない気がするけど。
「…分かった。それとなく聞いてみるよ」
俺が請合うと、みちるは、
「じゃ、頼むわね」
と言って、離れていった。
なんだかんだ言って、弟を溺愛してる姉ちゃんだからな。
自慢の弟が沈んでたら、心配にもなるんだろう。
みちるの後ろ姿を見ながら、そんなことを思った後、歩き出す。
それにしても、ミノの奴また何を悩んでるんだ?
次の日曜日、ミノと一緒にショッピングセンターに遊びに行った。
映画館やレストラン街やゲーセンもある大きな施設だ。
もうすぐバレンタインだからか、
いたるところにそれを意識したピンクや赤やチョコレート色のディスプレイがあって、目を引く。
「すげぇ力入ってるな」
ちょっと呆れ気味にミノに言ってみると、
「そうだね」
苦笑して返す。
それから、みちるに言われたことを思い出し、店を見たり遊んでいる間、
なにげにミノを観察していたら、確かに憂い顔で溜息をついているときがあって、
俺は昼を食べている時、思い切って聞いてみた。
「なぁ、最近、なんか悩んでることとか、あるのか?」
俺の言葉に、スパゲッティをフォークに巻きつけていたミノの手が止まる。
そして、一瞬の間の後、首を横に振った。
「別に、ないよ」
それを見て、俺は確信した。
これは、あるな。と。
以前、俺の顔ばかり見ては「ううん」と首を振っていたあの時と、
同じ雰囲気を今のミノは醸している。
「もし、なんかあるなら、遠慮せずに言えよ。俺とミノの仲だろ」
「うん。ありがとう」
俺の言葉に、ミノは笑って答えたがそれ以上は何も言わず、
俺はこれからもちょっと気をつけて様子を窺っていようと心に決めた。
帰る頃合いになり、ショッピングセンターを出て、
自転車でミノの家まで一緒に帰り、家の前に自転車を止めて、少し喋った。
それから、
「上がってく?」
とミノに聞かれて、どうしようか迷ったが、今日は日曜でお互いに両親が在宅だし、
長く一緒に過ごしたし、帰ることにする。
「今日はもう帰るわ」
と言うとミノは「そう」と淋しげに微笑んで、俺は苦笑した。
なんでそんな表情するんだよ。
「なぁ、やっぱりなんか悩みがあるんじゃないか?」
ミノがそういうことをなかなか打ち明けない性格なのは知っているので、
俺は帰る前に、もう一度聞いてみた。
すると、ミノは俯いて、でもそれから真剣な表情で顔を上げ、
「カズ。カズは僕のこと、好き?」
思い切ったように質問をぶつけてきた。
「え」
俺は、いきなりの核心を突くその問いに、固まった。
悩んでいたのは、それだったのか?
ミノが答えを待つその表情は、ちょっと悲しそうにも見える。
ミノにしてみれば、二人の関係をハッキリさせたいと思うのは、当然のことなんだろう。
でも俺は、これまでと変わらずどう答えていいか分からず、
黙っていると、ミノがいきなり抱きついてきた。
少しふらつくのと同時に、唇にミノの唇が重なるのを感じる。
ビックリしてされるがままになった後、ふと視線を感じたので、顔を上げたら、
みちるが二階の窓から見下ろしているのが目に入って、ギョッとした。
驚いた顔で口をポカンと開けている。
俺は、慌ててミノから離れたが、もう遅く、見られてしまったのは明らかだった。
2011.02.08