
図1 スペースプレーン概念図
地球低軌道への輸送コストを低減するために今後開発が予想される再使用型ロケットのスペースプレーンの概念図を図1 に示す. 従来の使い捨てロケットの機体はピッチ面およびヨー面に対して対称な構造であり簡便な梁モデルを使った簡易振動解析が可能であった. しかしスペースプレーンの場合は, 図1に示すようにピッチ面に対してのみ対称な構造であり, 弾性軸が直線から外れる. このため対称形のロケットの振動解析で実績のある簡便な梁モデルを非対称形ロケットに適用した場合, 連成現象が考慮できないという問題が残る. したがって非対称性による連成振動が考慮できる簡便な梁モデルの開発は望ましい. この観点から, チモシェンコ梁理論を拡張した簡便な非対称梁モデルを開発し非対称形ロケットの胴体部の簡易振動解析法[1][2]を提案した.
ここに提案するスペープレーンの初期検討用簡易振動モデルは構造振動特性を簡便に解析することを目的にしている. このモデルは, 制御解析, 空力特性解析と組み合わせることによりスペースプレーンの初期設計段階において, 突風荷重やフラッタ特性を簡便に解析できる構造系の統合解析法に発展させる計画である. この簡易振動モデルは, スペースプレーン機体を①胴体, ②主翼, ③垂直尾翼の部分構造に分けてモデル化し, ①②③を結合する方法で作成する. 非対称性がある胴体構造には開発済の非対称梁モデル[1][2]を適用している. 主翼および垂直尾翼構造は平板によりモデル化し, Mindlin理論に基づくBatheの4節点板要素[3]を適用している.
以下に説明する内容は, スペースプレーン構造系の簡易統合解析を開発する第一段階として, 構造振動特性を簡便に解析するためのモデル化手法および解析結果について説明する.
(1) RLV実験機(構想図) 図2
(2) RLVの構造振動モデル化理論 表1
(3)RLVの簡易振動モデル 図3
(4) 固有振動モードの解析結果 図4

図2 RLV実験機(構想図)

図3 RLV実験機の構造振動モデル
表1 RLVの構造振動モデル化理論
| 構造部位 | モデル化理論 |
|---|---|
| 胴体 前部構造 | 対称/非対称梁モデル[1][2] |
| 胴体 中/後部構造 | |
| 主翼 (左舷/右舷対称) |
4節点Mindlin板曲げモデル[3] 4節点板面内伸縮モデル Craig-Bampton法[4] |
| 垂直尾翼 | |
| 推進薬タンク | バルクヘッドは含まない |
| (参考)装備品 | 胴体部に質量は考慮可能 |
図4 RLV実験機の固有振動モード
本件究の目的は、次世代の宇宙輸送システムの概念設計用に合理的で簡易な質量推算法を提供することである。
従来からある新規開発機体の質量推算は、開発済の機体緒元を基礎データとし内外挿によって新しい機体の質量を推算する方法が用いられている。この推算法には、荷重→強度検討→質量計算の手順は含まれていないため、推算精度に問題があることが懸念される。そこで、私たちは図1に示すような再使用型ロケットを対象にして簡易質量推算法を開発中である。
その一環として、開発済の簡易荷重解析法を概念設計用の荷重解析ツールとして整理し、ロケットの設計技術者にも利用できるようインプット、アウトプットを整備するとともに、使用説明書を作成する。また、荷重解析によって求めた荷重の値に基づき、強度検討を行って、必要板厚を求めて質量推算を行う構造解析の手順についてもツール化し、使用説明書を作成する。

図1 再使用型ロケットの概念図
概念設計段階で行う荷重解析の内容について検討し、荷重解析のインプット、アウトプットを設定した。特に、ノミナル条件から最大予測荷重を推算するための一つの手法を設定した。
荷重解析ツールは、現在開発中の解析コード(fortranプログラム)の現状版を用いて作成する。特に、インプット、アウトプットについては利用者にもわかりやすく整備し、合わせて使用説明書を作成した。
概念設計段階で考えられるレベルの質量推算法をツール化した。ツールにはエクセルによる表計算方式を採用した。ツールへのインプットについては、概念設計段階で設定可能な範囲で検討した。ロケットプレーン技術実験機へ応用
荷重解析ツール、構造解析ツールのインプットデータを作成する準備作業として、次に示す検討を行った。
(1)荷重解析
(2)構造解析

| H-II 第 2段タンク | 宇宙ステーション | カンビール | |
|---|---|---|---|
| 半径 (mm) | 約 2000 | 約 2100 | 約 33 |
| 半径/板厚 (薄さの比較) | 1300 (球殻部) 1200 (円筒部) | 660 (円筒部) | 300 |
