優しくしないで バレンタイン編


 「カズ、ごめんね」

 学校帰りにうちに寄ったミノが、開口一番、言った。

 「は?何のことだよ」

 俺は、わけが分からなくて尋ねたが、

 ミノは玄関先で申し訳なさそうな顔をして突っ立ったまま、黙っている。

 「何か謝らなきゃならないようなことでもしたのか?」

 俺は言葉を変えて聞いてみたが、やはり何も言わない。

 今日は、外は風が強く吹いていて寒く、玄関先で喋っていても、体が冷えてくる感じがするので、

 「とにかく、上がれよ」

 入ってくることを促したが、ミノは動かない。

 「どうしたんだよ」

 俺が笑って、顔を覗きこむようにしたら、ようやく、俺の顔を見て、意を決したように言った。

 「今年は、チョコないんだっ」

 言われたものの、どういうことか分からないことに変わりはなく、

 「え…っと…?」

 思わず眉を寄せる。

 チョコ…と言えば、バレンタイン。

 確かに、今日はバレンタインだけど…

 もうミノとつきあってるし、お互いに贈り合ったりしない俺たちだから、

 関係ないと思って、俺はミノを前にしても、それを意識してなかった。

 元々ないのに、今年は、チョコがない…って、どういうことだろう。

 首を捻った。が、やっぱり何も思い浮かばない。

 「ほら、僕、もらったチョコをカズにあげてたけど…」

 ミノが悪そうにしながら言って俺を上目遣いに見上げ、

 それを聞いて考えるうちに、ボンヤリと去年の記憶が蘇ってくる。

 そう言えば去年は、ミノがたくさんチョコをもらってるのが真実なのを知って、

 そんなにあるんならと、軽い気持ちで何個かもらって食った気がする。

 ミノも、深く考えてない感じで、チョコ好きの俺に渡してくれてたっけ。

 「今年は、一個もないんだ。だから…ごめん」

 すごく真剣な顔で謝って来るんだけど、なんでそこで俺に謝るのかがまた分からない。

 「なんで、謝るんだよ」

 思ったままを口にすると、今度はちょっと驚いた顔をした。

 「え。だって、チョコ食べたかったよね」

 ミノの言葉に、俺は苦笑する。

 「別に、俺、ミノがもらったチョコをまた食えるとか、

 そんな期待、してないから。全然、してないから」

 どうも思い違いをしているらしいミノに向かって、

 そこを強調しながら軽く手を振ると、意外そうにした。

 それから、ほっと安堵の溜息をつく。

 「そっか…。良かった」

 良かった…って、そんなことを気にしてたのか?

 「おいおい。俺を何だと思ってんだよ。なんか俺、すっげぇ卑しい奴みたいじゃん。

 そこまでしてチョコ食おうとか思ってねぇよ」

 確かに食うことは好きだけども。

 量だって、ミノの倍近くは食うけどさぁ。

 ミノが、また「ごめん」と謝りつつ、でもやっと笑顔になったので、

 「とにかく上がれって。上、行こう」

 俺は笑い返して、二階へとミノを誘った。

 

 

 俺の部屋に入り、いつものようにベッドに腰を降ろしたら、

 ミノが玄関先での話の続きで、チョコがない理由について喋り始めた。

 「今年は、僕、全部断ったんだ。机に入ってたのも、誰のか聞いて返して」

 「へぇ…そりゃ、大変だったな」

 モテる奴には、モテるなりの苦労があるんだな。

 と俺はちょっと感心したが、ミノが言いたかったことは、そういうことじゃなかったらしい。

 俺の顔を見つめながら、

 「だって、好きな人がいて付き合ってるのに、くれるからって、なんでももらうなんて駄目だよね」

 俺に同意を求めるように、真剣にそう口にする。

 俺が、「そうだなー」と考えてから、

 「駄目かどうか知らねぇけど…まぁ、そうして良かったんじゃね?」

 と言ったら、自分のしたことを評価してもらえたからか、ミノは嬉しそうにした。

 中には、受け取ってくれるだけでいいって女もいるだろうけど。渡したいだけと言う…

 その心理はよく分からないが。

 それにしても、そういうのも断ったとしたら、本当に、結構大変だっただろうなと思う。

 そうして、俺がミノの苦労を思い遣っていると、

 「チョコのないバレンタインなんて、初めてだけど、僕はカズがいればそれでいいし」

 幸せそうな色を浮かべた瞳で、ミノがまた健気なことを言い、

 そんなミノを見て、俺はあることを思い出した。

 そう言えば…

 俺は、近くにあった自分の鞄の中をごそごそと探り、中から平たい箱を取り出す。

 「俺、一個もらったんだった」

 それを見せながら言うと、ミノが驚いた顔をした。

 「えっ!だ、誰にっ!?」

 自分は全て断ったのに、俺がもらっているという事実を知って、ショックを受けたようで、大声をあげる。

 俺は、あまりの反応の良さに、思わず心の中でプッと噴いた。

 ちょっと泣きそうにもなっているらしく、眉が寄っている。

 面白いなー。もうちょっとからかってやろうかな。

 と思ったが、こじらせてややこしくなっても面倒なのでやめて、ニッと笑いつつ、

 「みちるからだよ」

 俺が贈り主の名を告げると、ミノの表情が固まった。そして、

 「…なんだ。姉ちゃんかぁ」

 脱力して、苦笑いを浮かべる。

 その見るからにホッとした様子を見て、俺も笑ったが、

 その後、これをもらった時の状況が笑いごとじゃなかったことを思い出した。

 その時の気持ちが、そのまま俺の中でフラッシュバックする。

 「その姉ちゃんなんだけどさぁ、どうにかならないかなぁ」

 俺がゲッソリしつつ言うと、

 「え。どうして」

 ミノが訝しげにする。

 その顔を眺めてから、溜息をついて、

 「実はさ…」

 俺は、二時限目と三時限目の間に起こった出来事について、ミノに向かって話し出した。

 

   

 それは学校で、俺がトイレから出て、教室へ戻ろうとしていた時のことだった。

 「和樹っ」

 廊下で名前を呼ばれ、足を止めて振り返ると、みちるが立っていた。

 彼女を見て驚いた俺が、思わずいつものように、

 「先輩、なんでこんなとこ来てんだよ」

 と言ったら、

 「先輩って呼ぶなって言ってるでしょっ」

 向こうも、いつもと変わらず眉間にしわを寄せ、

 腰に手を当てて、怒ったようなけんか腰の口調で返してくる。

 先輩って呼ぶなっつう割には、いつも上からな感じで偉そうなんだけど?

 と思ったが、それは口には出さずに、

 「なんでここにいんだよ。何の用だよ」

 俺はもう一度問いかけた。

 みちるは一つ上の学年で、彼女の教室はこの階じゃない。

 どうやら俺に用があって来たらしいが、放課に会いに来るなんて、今までになかったことだ。

 俺の言葉に、みちるはフッと笑って、でもなんか得意げな割には、

 ちょっと顔を赤くして視線を泳がせながら、聞いてきた。

 「あんたたち、上手くやってんの?」

 「は?」

 俺は、眉を顰める。

 あんたたちってのは、俺と…ミノのことだろうか。

 突然なんなんだよ、その質問。

 俺が、何と答えようかと迷っていると、みちるが答えを待たずに、

 「ミノルを泣かしたら、許さないからね」

 険しい表情で、俺の顔を指差してくる。

 人を指さすなっつうの。

 と思いつつ、でもそれにはすぐに返事をした。

 「大丈夫だって」

 ある意味泣かしてるので、泣かしてない、とは言わない。

 …それにしても。

 「それを聞きに、こんなとこまで来たのか?」

 そんなわけがないだろうと、みちるの本音を探るように彼女を見たら、

 「んー、ていうか、なかなかあんたと会う機会もないから…」

 と言って、何かをポケットから取り出し、俺に向かって差し出した。

 「義理だけど。ミノルが世話になってるからね」

 え。

 それは、綺麗な包装紙に包まれて、リボンのかけられた、どう見てもチョコレートだった。

 頭がまっ白になる。それから、信じられなくて目を瞬かせた。

 ちょっと待ったっ。なぜここで渡すっ!?

 廊下には、結構人がいて、周りの奴らがみちるの手の物を見て、視線をこちらに向けるのを感じる。

 少しずつ視線が集まって、同じ学年の女達がひそひそ話す声が聞こえて来た。

 「井上君が杉山先輩から、チョコもらってる」

 「井上君が杉山先輩に…」

 テニス部の、みちるの後輩たちだ。

 みちるは活発で運動神経もいいし、明るい性格から後輩たちにも慕われている。

 「おい、いいのかよ。なんか誤解されてるぞ。つか、なんでこんな場所で渡すんだよっ」

 俺は、ものすごく焦った。

 みちるの後輩の女達だけでなく、男も女もみんな見始めてる気がする。

 だって、ここは俺の学年の教室がずらっと並ぶ廊下で、

 今は放課で、今日はバレンタインデーなのだ。

 みんなが想像する『バレンタインデーに見る光景』の見本みたいなシチュになってるし、

 普通に見るだろ、これ。

 「別にいいでしょ。義理チョコなんだから」

 みちるが、俺の慌てぶりに、ちょっと不思議そうにしながらあっけらかんと言い放つ。

 「そりゃ、俺たちは分かってるからいいけど、端から見たら、そんな判断…」

 周りを見回すと、一緒の部活の奴らと目が合った。

 ニヤニヤしながら、こっちを見ている。

 俺は、あー、と思いながら、がっくしと首を垂れた。

 …たまんねぇな。

 そして、二人の間で、小さいくせに存在を主張しているチョコを、サッと手にしてポケットに入れる。

 「分かった。これはもらっとくから、もう行けよ。用はこれだけなんだな?」

 「なによ、その言い方。…まあ、いいわ。じゃあ、それ、なるべく早めに食べなさいよ」

 分かった。分かったから。

 俺が大きく頷きつつ、心の底から戻ってくれることを願っていると、

 みちるはようやく背を向けて去っていった。

 「なーに年上の人からチョコもらってんだよ」

 「彼女もこんなところで、大胆だねぇ」

 みちるの姿が見えなくなると、男どもが寄ってきて、ヒューヒュー言って冷やかした。

 「うるせぇよっ。義理だよ、義理っ」

 畜生。なんで俺がこんな目にっ。

 空気読めないみちるのせいだ。

 俺は、ムッとしながら自分の席に行って、チョコを鞄にしまった。

 「ねぇ、井上君、杉山先輩と付き合うの?」

 それを見ていた女達も寄って来て質問し、俺はハァーツと溜息をつく。

 「付き合わねぇよ。義理ですから」

 なんかムッとした気持ちが言葉に出て、敬語で返したら、何を勘違いしたのかケラケラと笑われた。

 「井上君ったら、照れちゃってー」

 「……」

 勘弁して。

 野次馬が、みんなして、ひとしきりなんだかんだ言ったり聞いたりして来たが、

 始業のベルが鳴るとそれも止んで、それぞれに自分の席へとバラけて行った。

 

   

 「俺、あの後帰るまでからかわれたし、マジで頭痛かったんだぞ」

 説明が終わり、怒りをぶちまけるようにして言うと、ミノが申し訳なさそうにした。

 「ご…ごめん」

 悪そうに謝ってくるその顔を見て、

 「べ、別にミノが悪いわけじゃないんだけどさ」

 俺は手を振って、苦笑しながら言ったけど、ミノは責任を感じたみたいで、

 しゅんとしてしまって、その場の雰囲気が、ちょっと沈んだ感じになりかける。

 ヤバいと思った俺が、それを阻もうと、

 「ミノ、これ、一緒に食おうか」

 空気を切り替えるように、ミノに向かって明るくそう口にしたら、

 「う、うん」

 それを聞いたミノは、気を取り直した様子で、顔を上げて頷いた。

 ミノの分をせしめてまで食おうとは思わないが、チョコはかなり好きなので、

 どんなチョコだろうと楽しみに、包装紙とリボンを取り去る。

 そして、その薄くて四角い小箱の蓋を開けたら、一面のチョコが現れた。

 敷き詰められたチョコに、一口で食べられるように切れ目が入っていて、

 スティックが添えられている。

 これで食えってことだろうか。

 「美味そうだな」

 スティックを取って、ココアのかかったチョコに突き刺すと、容易く刺さる。

 「軟らかい」

 「こういうの、生チョコって言うんだよ」

 それを知らなかった俺は、ミノに教えられて、

 「へぇ、そうなんだ」

 と相槌を打った。

 俺は、こういうタイプのチョコを食うのは初めてだ。

 持ち上げて口に運ぼうとしたら、ミノと目が合い、

 俺は気が向いて、チョコをそのままミノの口の前に持って行った。

 「ほら、口開けろ」

 「え」

 口に入れてやろうとすると、慌てて手を振る。

 「い、いいよ。カズがもらったんだから、先に食べて」

 恥ずかしそうにしている様子に、尚更食べさせてやりたくなる。

 「ミノが食ったら、俺も食うよ」

 と言ったら、戸惑いつつも口を開けた。

 チョコを入れてやると、溶けるのを待つようにしてじっくりと味わった後、

 うんうんと頷いて「おいしい」と呟く。

 俺にも食うようにと目で促すミノに、俺はスッと体を寄せた。

 「え」と驚いた表情をするミノの唇に自分の唇を合わせる。

 始めビックリしたように目を開けていたミノだったが、

 俺が舌を差し入れてミノのそれと絡めると、やがて目を閉じて応えてきた。

 「んっ…んっ」

 ミノの舌を吸い、甘い口の中を舐めまわす。

 柔らかい唇も舐めたり吸ったりして、チュッと音をさせて離れてから、

 「ほんとだ。生チョコ、美味いな」

 ミノを見て言うと、ミノは頬を染めて、少し潤んだ瞳で恥ずかしそうに俺を見返した。

 「もっと食うか?」

 と聞いたら、頷いて、

 「今度は、カズが食べて」

 と言うので、俺はもう一度スティックでチョコを刺し、それを自分の口に入れる。

 それからまた唇を合わせ、

 「んっ」

 舌を絡めたら、絡め合う二人の舌の間で、チョコが蕩けていき、そのうちなくなった。

 なくなっても唇を離さずに貪り続けていると、ミノが俺の服の腕の辺りをギュッと掴んで来る。

 俺は、その仕草になんだかキュンと来て、唇を離して、残りのチョコをそばの机の上に置いた。

 ミノが濡れた瞳で、そして、強く吸われたせいで赤みを増した唇で、

 じっと見てくるので、思わず手を伸ばして抱きしめる。

 「ミノ…俺、やっぱミノが好きだ」

 思ったままを口に出し、抱きしめる腕に力を込めた。

 それから体を離してミノを見ると、ミノが笑って、

 「僕もカズが好き」

 と言った後、泣きそうにする。

 その表情を見て、

 「泣くなよ。みちるに泣かすなって言われてんだから」

 と言ったら、笑った。

 その笑顔にまたキュンと来て、俺は、ミノをゆっくりとベッドに押し倒す。

 「カズ…まだチョコ残ってる」

 チョコに目をやって言うミノの上に乗って、

 「いいんだよ。俺、今チョコよりミノ食いたい」

 ミノの頬を両手で挟み、顔を寄せた。もう一度唇を塞ぐ。

 自分の舌で、ミノの舌を探して、押したり滑らせたりしつつ、

 俺は、ミノの頬に置いていた手を、下へと移動させた。

 制服のボタンを、上から順に外す。

 全て外してから、唇を離して顔を上げ、中のスクールシャツのボタンも外し、前を開いた。

 すると、もう一枚、中にシャツを着ていたので、それも捲り上げてミノの胸を露わにする。

 そのままそこを攻めようかと思ったけれど、思い直して、

 俺は続けてミノのズボンに手を伸ばし、それと、下着も一緒に脱がした。

 ミノはイきやすい体質だし、すぐに濡れてきてしまうので、汚す前に脱がしておく。

 そうしてから、自分も脱いで、改めてミノの上に跨った。

 上から見下ろし、両の手の平を、ミノの左右の胸を覆うように、貼り付けるようにして乗せ、

 親指の腹で乳首に触れて、指先で転がす。

 「んっ」

 すると、気持ちいいのか、ミノが背中を反らし、すぐに乳首が立ち上がってきた。

 指に力を加え、転がす速さを上げたら、完全に硬くなり、

 指先にコリコリとしこった感覚を伝えてくる。

 それでも執拗に転がし続けると、ミノが次第に息遣いを荒くして、

 「あっ、あっ」

 体を仰け反らせて身悶えた。

 「ミノ、すっげぇ尖ってる。気持ちいい?」

 聞いても返事はないが、ミノのチンポを見ると、すでに勃ち上がって、先端には先走りが滲んでいる。

 感じていることは明らかで、俺は、転がしていた手の動きを止めて、胸に顔を寄せる。

 隆起した乳首を口に含んで、軽く噛んだ。

 「ああっ」

 ミノが体をビクビクと震わせる。

 俺は咥えていない方の乳首を指で摘まんで、

 ちょっと痛いだろうと思うくらいにギュッとつねった。

 「いっ、あ…っ」

 つねる指の力を強くしながら、咥えている方も歯にキュッと力を込めたら、

 「ん、ああっ!」

 跳ねるように身を捩らせて、それに合わせてチンポが揺れるのが目に入る。

 俺は、手を乳首から薄い腹へと滑らせ、腰骨のラインをなぞり、そっとソレに触れた。

 ミノがビクッとし、俺が、硬くなった自分のモノをミノのソレに押し付けると、

 「あっ」

 感じたのか、声をあげて、眉根を寄せる。

 股間を押し付けたまま、腰を前後させ擦り合わせれば、

 「んっ、んっ」

 ミノのチンポから、どんどん先走りが溢れてきて、ヌルヌルと滑り、気持ち良さが募ってきた。

 「カズ…、カズっ、僕、もうっ」

 「ああ。イっていいよ」

 俺が、胸の尖りから顔を上げ、そう口にして咥えなおし、それをキツめに吸い上げたら、

 「ああっ」

 ミノが背筋を反らして、白濁を吐き出した。

 ミノは乳首がそうとう感じるらしく、しかも痛いのがいいと言うから、

 俺はかなり強く力を込めるようになっているけれど、これ、ミノ以外にやったら引かれるんだろうなぁ。

 …やらないけども。ミノ以外、っていないし。

 俺は、ティッシュでミノの腹を拭うと、ミノの体をひっくり返して腰を持ち上げ、四つん這いにさせた。

 ミノはイったが、俺のはまだビンビンだ。

 俺は、ローションを持ってきて、中身を手に出すと、指を入れてミノの穴を解した。

 頃合いを見計らって、自分のモノをそこへと押し当て、グッと力を入れる。

 すると、ゆっくりとだがスムーズに飲み込んでいく。

 ほとんどが入ったところで、

 「ミノ、舐めて」

 俺は、後ろから手を伸ばして、言いながらミノの口に指を入れた。

 「んっ、ふっ」

 口の中に触れると、ミノが指に舌を絡め、舐めたり、キュウっと吸ったりしてくる。

 そうされるうちに、だんだん感じて来て、俺のモノは、ミノの中で硬さと質量を増した。

 俺は上の口と下の口を同時に攻めていると思うと、興奮が高まってくるのだけど、

 それを知っているミノのモノも、俺のが大きくなったのを感じて反応したのか、

 イったばかりなのに、また硬さを持ち始める。

 俺が腰を動かすと、

 「んっ、あっ」

 ミノが口から指を離した。

 離された手でミノの腰を掴み、ゆっくりと出し入れを始める。

 「あっ、あっ」

 繋がった部分が滑り始めると、快感がゾクゾクと背筋を駆け上がった。

 俺は次第に抽挿を激しくしていったが、もっと欲しいのか、突き入れるその動きに合わせて、

 ミノが尻を俺のほうへと突き出してくる。

 俺は、望まれるままに、もうこれ以上深くは突けないというくらいの強さと勢いで、

 できるだけ奥まで届くよう穿った。

 「あっ、ああっ!」

 ミノが背筋を反らして、気持ちいいのかと思えば、横から見たら、

 苦しさに苛まれているかのような表情をしている。

 あげる声も、また苦しそうに聞こえた。

 「キツい?」

 後ろから聞くと、大きく首を横に振る。

 「ううん…。いい…っ、いいからっ…ああっ」

 その言葉に、俺は安堵して、また腰を振った。

 仰け反り、うっすらと汗ばんだようになっているミノの首筋が、眩暈がしそうにエロい。

 「はっ…は…っ、んっ、あっ」

 ミノの中が、俺のモノに絡みつくように締め付けてくるのを感じながら突き続け、

 上半身を倒し、その首筋に自分の頬を押し付けた。

 ミノのうなじから汗の匂いが漂ってきて、それを嗅いだら、どんどん感じてくる。

 「俺も…すっげぇ気持ちいい」

 吐息を漏らして囁くと、ミノの中がさらにキュウっと締まった。

 手を伸ばして胸に触れ、

 「ああっ」

 突起を指先で転がす。

 「もう…イく、イくっ」

 ミノが泣き声のような声をあげ、俺を締め付けていた中が震えた。

 そこで俺が、腰をグッと強く一突きすると、

 「ああっ!」

 ミノが大声を上げてイった。

 中がきつく締まり、それを感じた俺も、イきそうになったが、なんとかこらえる。

 ミノは二度イって、荒い息遣いで、ちょっとぐったりした感じになっていたけれど、

 俺は、ミノの後ろから自分のモノを引き抜いて、ミノを仰向けにした。

 そうしてミノを抱き起こし、ミノを抱きしめてベッドの上に座る。

 「ミノ、俺のもう一回挿れて」

 耳元で囁くと、ミノはイった後の気怠さを残した動きと表情で、

 ゆっくりと俺の腰を跨いで立て膝をし、まだ猛ったままの俺のモノに手を添え、

 それを後ろの入口にあてがった。

 「んっ」

 体重をかけ、飲み込んでいく。

 対面座位の形で、俺は貫くようにして、ミノの中を開いて押し進み、

 ミノは腰を落とし、足を大きく開いて、自分から押し付けるようにして、深く受け入れていく。

 「んんっ」

 やがて根元まで入ると、二人の腹の間で、ミノのチンポがまた立ち上がっていた。

 勃ちっぱなしの俺のモノも、ミノの中でじんじんと痺れるほどに硬く張っている。

 ミノの胸に触れて、親指の腹で突起をスイッと擦ったら、

 「あっ」

 ミノの体が、ビクッと震えて背中が反り、中が締まった。

 「ああ。もう俺、限界。…出すよ」

 中の熱さと柔らかさと、強い締め付けを感じながら、下から揺するように何度か突き上げたら、

 俺はすぐに絶頂に達して、ミノの奥に向かって勢いよく射精した。

 俺が白濁を注ぐのと同時に、ミノも立ち上がって揺れていたソレから液を噴き上げる。

 眉根を寄せて、はあはあと疲れ切ったような息遣いのミノを見て、思わず苦笑する。

 三回目だもんな。

 俺は、なんだかミノがすごくかわいく思えて、力の入っていないミノの体を抱き寄せた。

 すると、ミノが耳元で、

 「カズ…」

 いつものように、いつもの言葉を口にしようとしたので、俺は、

 「ストップ」

 待ったをかける。

 「俺が言う」

 と前置いてから、ミノを離してその顔を見つめ、

 「ミノ…好きだ」

 と言ったら、ミノの顔が歪んで、その目に涙が浮かんだ。

 だから、泣くなよーと思いながら、泣き顔を見つめていたら、なんでか興奮して来た。

 入ったままの俺のモノが中で復活してきて、

 「あっ」

 感じたらしいミノが、声を上げて、俺にしがみつく。

 「ミノ…その、疲れてるかも知れないけどさ」

 俺が、ミノの顔を覗きこみ、ちょっと申し訳ない気分で、

 「もう1ラウンド、行けるか?」

 探るように聞いたら、もう結構キてるに違いないのに、

 ミノは驚いたように顔を上げた後、嬉しそうにして、「うん」と頷いた。

 

 

                               了

                                   

 

 

                               

 

2012.02.17

                                   優しくしないで クリスマス編前編へ

 

                                    

 

 

  BACK     web拍手です 押してくださると励みになります

  HOME     NOVELS