徒然なるままに・・・・GWの最中、ふとライトの旅を思い出した。
2000.5.20~5.28の“フランク・ロイド・ライトのルーツを探る旅”の事が脳裏を掠め、久々にペンを執る事にした。
24年前の回想ではあるが、なぜか鮮明にその一瞬、一瞬が蘇ってくる。
昨年、豊田市美術館にて巡回展の際も訪れましたが、旅の記憶は昨日の様に蘇ってきます。
それ程長きに渡り印象に残る旅は滅多にない。
シカゴ、オークパークの住宅に始まりウィスコンシンのタリアセン・イースト、ピッツバーグの落水荘、アリゾナのタリアセン・ウエスト、そしてサンフランシスコと一人の建築家作品を、このスケジュールで巡る大変貴重な体験であった。
以下、ツアーの感想を付け加えたく思う。


イーストでは、まず、その広大さに圧倒されてしまう。600エーカーの世界は、緩やかな地形の中、集会所、スタジオ、住居、風車塔、教会などがリズミカルに点在している。ライトのルーツとなるこの地は、一家が英国ウェールズより移住し、農場を経営していた父母より芸術・文化の大切さを教わってきた事、特に叔父の援助により、幼き頃からその風景を見て育ったこと、後にランドスケープとしての風景へと変貌していくのに大切な素養の場となった事は間違いない。
自邸のリビングルームのピクチャーウィンドウから見る風景は視覚的効果と光・風も巧みに計算され、訪れた人に共有の景色を提供している。
外部に目を向けると、その周りは緩やかな牧草風景と小高い森・道筋も田園風景と建物を様々な角度から眺められるように、ビスタポイントを設けている。
張り出した空中デッキからは、その全容を望むことができる。
当時あった樹木は整理し、小川を堰止め、大池を造りだしている。
それらの視覚的要素を重視した間取りは、私の五感を大いに刺激してくれた。

そしてランドスケープとして、色彩感の中における「アーストーン」(自然の中における生命の礼賛とでも言える)を中心とした配色を好んで使用していること、それは住空間にとどまらず、外部空間にも息づいている。
たとえば樹木・牧草などの緑一色ではなく、農作物の植付けに至る色彩にまで取り入れていることを見ても、ライトが建築とランドスケープを一体のものとして見続けてきたことが、容易に感じ取れるのである。

スプリンググリーンからピッツバーグ、そして一気に空路、西部のアリゾナ州(ウエスト)に移動する。ライト70歳の時、弟子たちとキャラバンを組み、このスコッツデールの荒野に冬のアトリエとして建設する。案内をしてくれたホートン氏の説明によると、建物を砂漠という海に見立てていたそうだ。
入り口付近に置いてあった石に描かれた幾何学的模様が、自然と人を、そして、人と人とを結びつける「鍵のように見えたのは、ライトのインスピレーションの鋭さだろう。何といっても圧巻なのは、現地で取り出した石による独特のフォルムに表現されている建物が、まさに、大地に根差すランドスケープと一体の思想が、ここウェストに見事に開花していることである。



ARCHITECT 2000.8.13

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