最近の収用事例(収用の現場からのレポート)
(東海4県・東京都・沖縄県・長崎県の最近の収用事例)
2 沖縄県収用委員会平成28年10号事件の概要(補償金の支払請求に係る見積補償金の支払及び損失の補償額の争点事案:平成28年5月6日付け裁決申請、平成28年7月29日付け明渡裁決申立、平成29年6月8日裁決)
(※説明の便宜のため、事例及び裁決書の内容を少し変更してあります。正確な内容を知りたい方は、ホームページの連絡先にお問い合わせください。)
(件名) 県道浦添西原線改築事業裁決申請等事件その1(浦添市地内)及びこれに伴う市道付替工事に係る土地収用事件
起 業 者 沖縄県 知事 翁長雄志
(裁決申請に至った経緯等概要)
本件収用対象地(甲地、乙地、丙地)のうち、甲地及び乙地の土地所有者はA及びBで、丙地の土地所有者はAである。起業者は、平成19年7月から土地所有者と協議を開始しているが、土地単価に対する不満からAの合意を得られない状況であった。
このような状況の中、平成28年4月27日、Aから法第39条第2項に基づく裁決申請の請求がなされたため、起業者は、同年5月6日に法第39条第1項及び法第44条第1項に基づき、添付書類の一部を省略して裁決申請を行い、同年7月27日に法第44条第2項に基づく裁決申請書添付書類の補充及び同年7月29日に法第47条の2第3項に基づく明渡裁決申立てを行ったものである。
(本事例のポイント 1:見積補償金の支払について)
平成28年4月27日にAから、同年5月25日にBから法第46条の2第1項に基づく補償金の支払請求があったので、Aの単独所有である丙地に係る見積補償金については支払期限内である平成28年8月26日に、共有地である甲地及び乙地に係る見積補償金については支払期限内の同年28年9月15日に支払いを行った。
(本事例のポイント 2:損失の補償について)
1 収用対象地の評価額について
当収用委員会は、裁決申請書の添付書類、審理における当事者の申立て及び現地調査の結果並びに法第65条第1項第2号の規定に基づき鑑定を命じた不動産鑑定士による鑑定評価額等を総合的に検討した結果、事業認定告示日における本件収用対象地の評価額は1平方メートル当たりの価格は○○円もって相当と認める。よって、事業認定告示日時点における本件収用対象地の評価額は、1平方メートル当たりの価格にそれぞれの面積を乗じて得た額となり、下表(略)とおりとする。なお、甲地及び乙地は共有地であることから、各人別の補償については、それぞれの持分2分の1に応じて計算する。
(※ 本件は、起業者見積額<委員会の評価額<土地所有者の請求額、であり、 委員会の評価額で裁決した。)
2 残地に対する補償額について
当収用委員会は、裁決申請書の添付書類、審理における当事者の申立て及び現地調査の結果並びに法第65条第1項第2号の規定に基づき鑑定を命じた不動産鑑定士による鑑定評価額等を総合的に検討した結果、・・・
(※残地補償についても、起業者見積額<委員会の評価額<土地所有者の請求額、であり、委員会の評価額で裁決した。)
3 補償金の残額について
当収用委員会が認定した補償額と既払補償金との間に過不足があるときは、起業者が支払うべき補償金の残額及び土地所有者又は起業者が返還を受けることができる額を裁決することとなるが、上記のとおり、差額が生じるため、法第90条の3第1項第2号に規定する補償金の残額は、下表(略)のとおりとする。
4 加算金について
上記3により、起業者が支払う補償金の残額に対する法第90条の3第1項第3号に規定する加算金の額は、…支払期限の翌日から本裁決までの日数に対し、同条第2項の規定による利率を乗じた結果、下表(略)のとおりとなる。
(裁決書における補償額及び加算金の記載例)
1 損失の補償は、次のとおりとする。
(1)土地に対する損失の補償について
土地所有者Aに対し、 金 X円
既払補償金 金 Y円
補償金の残額 金 X-Y円
土地所有者Bに対し、 金 X´円
既払補償金 金 Y´円
補償金の残額 金 X´-Y´円
(2)土地に対する損失補償を除くその他の損失補償
なし
2 加算金は、次のとおりとする。
土地所有者Aに対し、 金 Z 円
土地所有者Bに対し、 金 Z´円