東山の森不動産・補償コンサルタント

マンション管理・


 相談事例等










































マンション管理・相談事例等





マンション管理・相談事例等




4 協力金について


@Q マンションの管理規約において、マンションに居住
していない組合員だけから協力金を徴収することを定め
ることができるか?


@A マンションに居住していない区分所有者(不在組合
員)だけに金銭的な負担を課することは、その必要性があ
り、かつ、合理的な範囲内であれば可能である。



AQ マンション管理の基本法である区分所有法には、
「規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権
利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なけ
ればならない」と定められている(31条1項後段)。@の協
力金の規定は、この条項の適用があるか?


AA 最高裁は、協力金の負担は「特別の影響」に当たら
ないと判断している(最高裁平成22年1月26日判決)。



BQ 役員(理事)の辞退は可能か?

(管理組合の役員(理事等)選任方法について輪番制をと
っている場合、自分の順番が回ってきたとき、役員の辞退
をすることができるか?)


BA 管理組合と役員との法律関係は、委任契約であり
(区分所有法28条)、管理組合員が総会の決議によって
選任し、その候補者が承諾することによって成立する(役
員の地位を得る)こととなる。

 そのため、総会で選任しても役員候補者が承諾しなけ
れば委任契約が成立しない。従って、法律的には辞退が
可能である。



CQ 次に、役員選任の辞退はできないとする(就任を強
制する)規約は可能か?


CA 管理規約のなかに「役員の選任を辞退できない」旨
の条項があっても、直ちに無効とまではいいきれない任
意条項と考えられる。よって、委任契約が有効に成立する
ためには、候補者の承諾が必要である。従って、このよう
な規約条項や総会決議があるからといって承諾がなされ
たものとみなすことはできない。



DQ さらに、候補者の辞退への対抗手段として、規約で
役員辞退者に協力金(辞退金)を課すことは可能か?


DA 住民間の公平性確保や安易な辞退を許さないため
に、辞退者に協力金(辞退金)を徴収する規約がある管
理組合において、このような協力金規定は、協力金額が
過大でなければ可能であると考えらる。ただし、協力金が
どの程度までならば過大でないといえるかは個別に判断
され、明確な基準はない。ただ、辞退した役員任期中に限
って、月額500〜2,000円程度の負担金を支払わせるので
あれば過大とはいえないと考えられる。




 3 民泊について



(1) 民泊に関する法律(住宅宿泊事業法)は、3月15日から事業希望
者による届出が始まり、6月15日に施行(スタート)となります。



(2) まだ受け入れの可否が決まっていないマンションでは、以下の対
応が必要です。



@ 3月14日までに、理事会で民泊を受け入れるか否かを決議してくださ
い。



※この決議は、管理組合の総意ではありませんので、次回総会までの
期間を決議の有効期間とされると良いです。国交省より、届出必要資料
として「マンションの民泊受け入れに関する理事会又は総会決議」が求
められていますので、これに備えるためのものです。



;※民泊の実施を希望される区分所有者は、届出前後から準備(届け出
手続きや室内改装等)を開始されます。これを止める意味もあります。



A 次回総会でマンションとして民泊を受け入れるか否かを決議してくだ
さい。なお、規約改訂も必要となりますので、特別決議となります。




※改訂条文案は、国交省のホームページ記載例に倣われると良いと思
いますので、そちらでご確認ください。



※マンション内への周知に加え、しばらくの間、可否決議について外部
者にも目につきやすい場所にポスター等を作成・掲示しておくと良いと思
います。



B 禁止の場合はここまでです。受け入れる場合は、どの形(下記)を受
け入れ可能とするかを決めてください。



 a)家主同居型 → 「ホームステイ]です。




 b)家主居住型 → マンションに二つ以上の居室を所有し、非居住の居
室を民泊に供する形です。



 c)家主不在型 → 区分所有者がマンション外に住んでいる場合です。



C 受け入れる場合は実施者と詳細を協議しつつ進め、内容をまとめ、
次々回総会で「民泊運営細則」を決議してください。



※実施者にとっては事業になります。慎重に進めてください。



※実施詳細が決まっていないことがあります。国・担当自治体からの通
達等に留意してください。また、仲介事業者(エアビーアンドビー社・途家
等)の意向も確認してください。



D ご留意ください。今回の決議は住宅宿泊事業法に関するものです。
旅館業法に属する事業や、他の居住(借地借家法による賃貸借・社宅
等)の場合は効果を及ぼすものではありません。また、戦略特区による
民泊も大阪府等で実施されていますが、実施されることになった場合に
(確率は極めて低いと思われます)検討されれば良いと考えます。






 2 個人保護法について



 個人情報保護法が改訂され(2017年5月30日施行)、個人情報


を取り扱う事業者だけでなく、個人情報を取り扱う者すべて(マンシ


ョンの管理組合も含まれます)がこの法律の対象となりました。



1. マンション管理に利用している帳票(組合員名簿や専有部分修


繕工事申請書類等)はほとんどが個人情報に該当します。



2. 個人情報を取り扱う場合、以下内容を遵守する必要性がありま


す。



 (1)取得時は、利用する目的やタイミングを本人に通知し同意を


得、廃棄の方法や時期についても告知して取得してください。



 (2)管理を徹底してください。


 @鍵のかかる場所で保管する。 


 Aパソコンはパスワードやウイルス対応ソフトを設け、流失を防


ぐ。 



 B個人情報保護法に則り、必要かつ適切な指導を従業員等(役


員・住民・従業員)に行わなければなりません。



 (3)個人情報取り扱いを委託する場合、委託先に対して適切な監


督を行わなければなりません。



☆個人情報流失被害がたびたび報道されています。流失元になら


ないよう、マンション内で管理の在り方を協議、徹底してください。






 1 最高裁判決(高圧一括受電)について



2019.5.18


3/5 最高裁判決(高圧一括受電)について




 4月の.勉強会では、「高圧一括受電方式を巡る最高裁判決(2019/3/
5)」について判決の主文及び理由の読み合わせ、根拠となる法律や規
約の確認、新聞各紙の読み合わせを行い、@裁判の経過、A判決の法
的意味、B管理組合の取り組み姿勢、Cマンション管理士の関わり方等
について話し合いを行いました。



「マンションの電気設備のおさらい」から始まり「高圧一括受電のメリット・
デメリットの確認」も行い、3/28に開催されたマンション管理センター主
催のマンション管理シンポジウムでの学識経験者の意見も紹介され、内
容の濃い勉強会となりました。



1時間余りの意見交流のまとめとして


@専有部分に係る事案は、慎重に対応すること。


A様々な事案の質的違いを分析し、射程を考えることが必要であるこ
と。


が確認されました。



【以下は当日話し合われた概要です】



〈前提〉一審・二審と最終審(最高裁)とで原告と被告が入れ替わってい
るので、以下「管理組合側」と「組合員側」とする。



(1)最高裁判決についての当会の見解


@ 法令(区分所有法)条文の解釈について…共用部分の管理に関す
る条文を、個人財産である専有部分の管理に転用しようとした管理組合
側の主張には無理があり、管理組合側の敗訴とした判決は妥当なもの
と考える。



A 今回のテーマである高圧一括受電導入について…管理組合側の取
り組みには不足点や不明瞭な個所があり、管理組合側の主張を退けた
判決は妥当なものと考える。



(2)管理組合側の勝訴となった事例(最高裁判決 2018年9月14日:共
用部分と専有部分の一体工事について)もあるので、管理組合が組合
員の財産に関与することは全面的に否定されるというものではない。



 両判決を比べてみると、管理組合側の取り組みのあり方に差があるよ
うに思われる。



 課題への理解度、取組姿勢、組合員への対応のあり方等管理組合側
の十二分の対処があってはじめて組合員側や裁判官を説得でき、賛同
が得られるのだと思われる。こう考えると、管理組合側のハードルは結
構高い。



 なお、組合員どうしの裁判は、訴訟前や期間中はマンション全体に緊
張感が漂う。また、結審後も尾を引くことになりがちである。



 さらに、管理組合側・組合員側ともに、心身や生活上また経済的に大
きな負担を負うことになる。



(3)マンション管理士の役割について


@ 管理組合、特に理事会が課題を正確に理解できるよう支援する。


A 一般的にも言えるが、マンション内での訴訟はマイナス要素がより大
きくなる。訴訟が避けられるよう、マンション内の融和に尽力する。



※今回は、判決文とマンション管理新聞第1099号記事等間接的情報を
教材として検討しました。


 直接取材したわけではありませんので、誤った解釈があるもしれませ
ん。