最近の収用事例

東山の森不動産・補償コンサルタント


最近の収用事例
(収用の現場からのレポート)



4 H31年5月23日
東京都収用委員会平成28年17号事件


3 H31年5月15日
沖縄県収用委員会平成28年1号事件


2 H31年4月15日
沖縄県収用委員会平成28年10号事件


1 H31年4月1日
三重県収用委員会平成30年1号事件





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最近の収用事例(収用の現場からのレポート)



(東海4県・東京都・沖縄県の最近の収用事例) 


 受験生の皆さんは、土地収用手続きについて、試験対策として勉強されているので、制度や手続についてはなんとなく理解できていると思います。しかし、いまひとつ具体的イメージが付きにくいのではありませんか。

 また、用地事務に実際に従事する自治体の職員の方も、理解が十分とは言い難いのではありませんか。

 ここでは、どんなときに、どんなふうに収用手続きが利用されているかを、平成29年度から平成30年度に実際の土地収用の現場で扱われた裁決事件について、東海4県(愛知県・岐阜県・三重県・静岡県)並びに収用事件が多い東京都及び沖縄県の事例の【概要とポイント】を基に順次紹介します。

 なお、裁決書の形式(ひな形)は、前節「土地収用法基礎講座(4 権利取得裁決・明渡裁決)」の愛知県S市の裁決書(抜粋)を参照してください。


≪以下の各事例について、詳細を知りたい方は、東山の森不動産・補償コンサルタントまでお尋ねください。≫

≪収用案件について、質問・相談等のある方も、東山の森不動産・補償コンサルタントまでご相談ください。≫


4 東京都収用委員会平成28年第17号事件の概要(借地部分の底地価格と借地権価格との配分割合に関する争点事案:平成28年7月28日収用裁決申請、平成29年3月24日明渡裁決申立て平成30年3月30日裁決)

(件名) 東京都市計画道路事業補助線街路第92号線のための土地収用事件

起 業 者  東京都知事 小池百合子

(裁決申請及び明渡裁決の申立てに至った経緯等概要)

 本事業に必要な後記の土地(以下「本件土地」という。)を取得するため、平成27年6月以降、土地所有者A、関係人B及び同Cと協議を開始したが、同人らの間で借地部分底地価格借地権価格との配分割合(以下「配分割合」という。)について、協議が調わなかった

 こうした中、平成28年7月22日にB及びCから土地収用法(以下「法」という。)39条2項により裁決申請請求がなされたので、起業者は、同月28日に法39条1項及び44条1項により裁決の申請を行い、平成29年3月24日に法44条2項により裁決申請書の添付書類の補充を行い、同時に法47条の2第3項により明渡裁決の申立てを行ったものである。


(本事例のポイント 借地部分の底地価格と借地権価格との配分割合について) 

(起業者の申立て要旨)

 AとB及びCとの間で協議が調わなかったため、木造建物の敷地のために賃貸借されている土地として不動産鑑定士3者に鑑定を委託したところ、その鑑定内容がいずれも合理性を有し、優劣をつけられなかったことから、これを相加平均し、底地価格の割合40%借地権価格の割合60%と認定した。

(土地所有者Aの申立ての要旨)

異議がある。

底地価格の割合を60%借地権価格の割合を40%とすべきである。

 本件は、年額地代が固定資産税額の4倍程度、相当地代の7.6%程度と極めて低廉である。しかも、権利金及び更新料の授受がなく、借地権設定の対価が全く支払われていない。国税庁が定める借地権割合は、適正な地代が支払われている借地権についての一般的な割合を定めたものであり、権利金の授受のない自然発生的なものについて適用される理由はない。Cは相続税を借地権割合70%で申告したと主張するが、これは、そのような相続財産であるとCが自認したにすぎず、補償における配分割合の判断とは別個にすべきである。

 また、借地の賃貸借契約は、木造建物の敷地として使用させる目的であるところ、物件調書添付の物件調査書によると、C居宅は構造部分が鉄骨造となっている。これは、賃貸人の承諾のないものであり、契約違反による契約解除事由の存在は、借地権の評価を減少させる要因となる。

(借地権準共有者Bの申立ての要旨)

異議がある。

国税庁の財産評価基準によると、本件土地は、底地割合30%借地権割合70%の地域にあるから、配分割合もこの割合になる。一般的に借地権譲渡の場合、土地所有者に譲渡承諾料を支払うこととなるが、今回は個人的な譲渡でなく、公共事業のための買収であるから、承諾料は発生しない以上、借地権価格の割合は70%になる。

(借地権準共有者Cの申立ての要旨)

異議がある。

相続の際、国税庁の相続税路線価の借地権割合70%により、納税手続を行っているので、配分割合としてこの割合を求める。借地権者が第三者に借地権を譲渡する場合、土地所有者に借地権割合の10%を支払う慣例があることは承知しているが、今回は、起業者に譲渡するものであるから、慣例に従う必要はない。


(収用委員会の裁決理由)

(1) 上記で認定した事実のほか、現地調査の結果、相続税路線価の借地権割合、審理、鑑定の内容等を総合的に考慮した結果、底地価格の割合35%借地権価格の割合65%をもって相当とする。

(2) なお、Aは、借地権の評価を減少させる要因として、B及びCとの土地賃貸借契約には契約解除事由が存在すると申し立てている。

 土地に対する補償金について、法71条は、事業の認定の告示の時(なお、都市計画事業においては、みなし告示の時。)を補償金の算定基準時とする旨定めていることから、収用する土地等の評価は専ら基準時である事業の認定の告示の時において行うことを要し、基準時以外の時点における事情を基にして評価することはできない(東京高裁平成16年11月25日判決参照)。

 本件の場合、みなし告示の時は平成28年3月15日であるが、Aは、契約解除事由の存在を、平成29年3月17日に作成された物件調書により明らかになったとして、当委員会に提出した意見書において主張しているにすぎず、当委員会に対し、みなし告示の時において、B及びCとの間の契約を解除していたなどと主張するものではなく、そのような事実をうかがわせる資料の提出もない。

 そのため、Aの申立ては認められない。

(3) また、B及びCは、国税庁の財産評価基準を基に、借地権価格の割合を70%とすべきと申し立てている。

 しかし、借地権は、土地所有者と借地権者との間の個別的な借地契約により設定されるものであり、契約の内容等により相当に個別性の強い権利であるから、借地権価格の割合の判断に当たっては、個々の借地権の個別的要因が考慮されなければならない。この点、国税庁の財産評価基準の借地権割合は、相続税の適正な課税のために課税実務上の便法として定められたものであり、個々の借地権の個別的要因が考慮されていない以上、個々の土地の底地価格及び借地権価格について正当な補償をすべき収用において、同基準の借地権割合を判断のための一参考資料とすることはできても、これをもって直ちに個別具体の借地権価格の割合として採用することはできない。

 そのため、B及びCの申立ては認められない。

 なお、収用は法に基づくものであり、私人間の借地権の取引ではないから、B及びCの申立てのとおり、配分割合の判断に当たって、譲渡承諾料が考慮されるものではない。



3 沖縄県収用委員会平成28年第1号事件の概要(損失補償における当事者主義及び使用期間の争点事案:平成28年2月10日申請、平成29年4月14日裁決)

(件名) 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法に基づく使用裁決申請等事件( 嘉手納飛行場その2 )

起 業 者  沖縄防衛局長 中嶋浩一郎

(裁決申請及び明渡裁決の申立てに至った経緯等概要)

1 裁決申請理由

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和35年条約第6号。以下「日米安全保障条約」という。)に基づく日米安保体制は、我が国の安全保障の基軸であり、また、日米安保体制を中核とする日米同盟は、我が国の外交の基軸であり、多国間の安全保障に関する対話・協力の推進や国連の諸活動への協力など、国際社会の平和と安定への我が国の積極的な取り組みに役立つものである。

 日米安全保障条約に基づき日本国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊(以下「駐留軍」という。)は、日米安全保障体制の中核をなすものであり、駐留軍の活動の基盤となる施設及び区域を円滑かつ安定的に提供することは、我が国の条約上の義務である。

 沖縄県に所在する駐留軍用に供するため土地所有者と賃貸借契約を締結して使用していた本件裁決申請対象土地(以下「本件土地」という。)については、施設及び区域の運用上他の土地と有機的に一体として機能しており、必要欠くべからざるものであることから、契約期間満了後も引き続き駐留軍の用に供する必要があるが、本件土地の所有者との合意により使用権限取得する見込みがないことから、やむを得ず、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(昭和27年法律第140号。以下「駐留軍用地特措法」という。)に基づき使用権原取得することとして、駐留軍用地特措法第14条の規定により適用される土地収用法(昭和26年法律第219号。以下、駐留軍用地特措法第14条の規定により適用される土地収用法について、単に「土地収用法」という。)第39条第1項の規定により、平成28年2月10日、沖縄県収用委員会に使用の裁決の申請及び明渡裁決の申立て(以下「本件裁決申請」という。)を行ったものである。


2 使用の必要性

 現在、日米両政府とも日米安全保障条約を終了させることは考えておらず、駐留軍の駐留は、今後相当長期間にわたるものと考えられ、その活動基盤である施設及び区域も、今後、長期間にわたり使用されるものと考えられる。

 本件土地のある嘉手納飛行場は、沖縄市、嘉手納町及び北谷町に所在し、米空軍第18航空団管理の下、第18運用群、第18任務支援群、在沖米海軍艦隊活動司令部等の部隊が使用している施設である。本件土地は、施設及び区域として他の土地と有機的に一体として機能しており、必要欠くべからざる土地として、引き続き駐留軍の用に供する必要のあるものである。


(本事例のポイント 1 損失補償について) (※当事者主義を採用)

 本件土地の使用に対する損失補償について、当収用委員会は、土地収用法第65条による鑑定をさせた上、当該鑑定人の評価額(地代単価)と起業者の損失補償見積における地代単価を比較検討した。その結果、価格形成上の諸要因をより合理的に考慮し算定しているのは鑑定人の評価額であると認める。しかし、本件においては、起業者見積における地代単価当該評価額を上回るため土地収用法第48条第3項に基づき起業者見積における地代単価採用する。

 よって、採用した地代単価に面積及び使用期間を乗じて得た額を土地収用法第72条の規定により準用する土地収用法第71条における「相当な価格」と認定した上で、当該額に修正率を乗じて得た額をもって、本件土地の使用に対する損失補償額として相当と判断する。ただし、修正率が1未満の数値であり、修正率を乗じて得た額起業者見積額を下回る場合は、土地収用法第48条第3項の規定の趣旨から、修正率は考慮しないものとする。

 中間利息の控除率については、従前の使用裁決における控除率、近時の基準割引率・貸付率、銀行預金利率、土地その他の金融資産の利回り及び現在から近い将来にかけての経済情勢の客観的情勢等を総合的に勘案し、年0.25パーセントを相当と判断する。

 また、本件土地の暫定使用に対する損失補償については、駐留軍用地特措法第16条による暫定使用の時期の価格を、本件土地の使用に対する損失補償に係る前記算定方法と同様に算定した。


(本事例のポイント 2 使用期間について) (※起業者は、10年を申立て)

 本件土地の使用期間については、起業者の前記申立てに係る事情に加え、土地所有者が受ける不利益考慮して判断する必要がある。

 本件土地の使用に対する損失補償については、使用認定の告示の時における価格に固定される(土地収用法第72条)。また、土地の損失補償金の支払いは、権利取得裁決において定められた権利取得の時期までに一括して支払いをしなければならず(土地収用法第95条第1項)、使用期間中は土地価格の改定がなされることもない。

 この状況を、契約により駐留軍に土地を提供している土地所有者の使用料1年ごと改訂され、1年ごとに支払いを受けていることと比較した場合、裁決申請対象土地の所有者は不利益な状態に置かれていると認められる。

 したがって、不相当に長期にわたる使用期間を認めることは、憲法第29条第3項及び土地収用法の趣旨に照らして妥当でない

 以上の事情に加え、著しく変動する国際情勢等その他諸般の事情を総合的に考慮し、主文のとおり判断する。


裁決書における土地の使用方法使用期間の記載例

土地の使用方法  日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊が使用する嘉手納飛行場の家族住宅敷地及び道路敷地として使用する。

土地の使用期間  権利取得の時期から平成34年5月31日まで

権利取得の時期  平成29年6月1日

明渡しの期限    平成29年6月1日



2 沖縄県収用委員会平成28年10号事件の概要(補償金の支払請求に係る見積補償金の支払及び損失の補償額の争点事案:平成28年5月6日付け裁決申請、平成28年7月29日付け明渡裁決申立、平成29年6月8日裁決)

(件名) 県道浦添西原線改築事業裁決申請等事件その1(浦添市地内)及びこれに伴う市道付替工事に係る土地収用事件

起 業 者  沖縄県 知事 翁長雄志

(裁決申請に至った経緯等概要)

 本件収用対象地(甲地、乙地、丙地)のうち、甲地及び乙地の土地所有者はA及びBで、丙地の土地所有者はAである。起業者は、平成19年7月から土地所有者と協議を開始しているが、土地単価に対する不満からAの合意を得られない状況であった。

 このような状況の中、平成28年4月27日、Aから法第39条第2項に基づく裁決申請請求がなされたため、起業者は、同年5月6日に法第39条第1項及び法第44条第1項に基づき、添付書類の一部を省略して裁決申請を行い、同年7月27日に法第44条第2項に基づく裁決申請書添付書類の補充及び同年7月29日に法第47条の2第3項に基づく明渡裁決申立てを行ったものである。


本事例のポイント 1見積補償金の支払について)

平成28年4月27日にAから、同年5月25日にBから法第46条の2第1項に基づく補償金支払請求があったので、Aの単独所有である丙地に係る見積補償金については支払期限内である平成28年8月26日に、共有地である甲地及び乙地に係る見積補償金については支払期限内の同年28年9月15日に支払いを行った。


本事例のポイント 2:損失の補償について)

1 収用対象地の評価額について

 当収用委員会は、裁決申請書の添付書類、審理における当事者の申立て及び現地調査の結果並びに法第65条第1項第2号の規定に基づき鑑定を命じた不動産鑑定士による鑑定評価額等を総合的に検討した結果、事業認定告示日における本件収用対象地の評価額は1平方メートル当たりの価格は○○円もって相当と認める。よって、事業認定告示日時点における本件収用対象地の評価額は、1平方メートル当たりの価格にそれぞれの面積を乗じて得た額となり、下表(略)とおりとする。なお、甲地及び乙地は共有地であることから、各人別の補償については、それぞれの持分2分の1に応じて計算する。

(※ 本件は、起業者見積額<委員会の評価額<土地所有者の請求額、であり、 委員会の評価額で裁決した。)


2 残地に対する補償額について

 当収用委員会は、裁決申請書の添付書類、審理における当事者の申立て及び現地調査の結果並びに法第65条第1項第2号の規定に基づき鑑定を命じた不動産鑑定士による鑑定評価額等を総合的に検討した結果、・・・

(※残地補償についても、起業者見積額<委員会の評価額<土地所有者の請求額、であり、委員会の評価額で裁決した。)


3 補償金残額について

 当収用委員会が認定した補償額と既払補償金との間に過不足があるときは、起業者が支払うべき補償金の残額及び土地所有者又は起業者が返還を受けることができる額を裁決することとなるが、上記のとおり、差額が生じるため、法第90条の3第1項第2号に規定する補償金の残額は、下表(略)のとおりとする。


4 加算金について

 上記3により、起業者が支払う補償金の残額に対する法第90条の3第1項第3号に規定する加算金の額は、…支払期限の翌日から本裁決までの日数に対し、同条第2項の規定による利率を乗じた結果、下表(略)のとおりとなる。


裁決書における補償額及び加算金記載例

1 損失の補償は、次のとおりとする。

(1)土地に対する損失の補償について

土地所有者Aに対し、        金    X円

 既払補償金              金    Y円

 補償金の残額            金  X-Y円

土地所有者Bに対し、         金    X´円

 既払補償金              金    Y´円

 補償金の残額            金 X´-Y´円

(2)土地に対する損失補償を除くその他の損失補償

なし


2 加算金は、次のとおりとする。

  土地所有者Aに対し、           金     Z 円

 土地所有者Bに対し、           金     Z´円



1 三重県収用委員会平成30年1号事件の概要(用地交渉困難及び所有者及び持分等が不明の収用裁決事案:平成29年12月14日申請、平成30年5月14日裁決)

(件名) 一般国道23号改築工事(鈴鹿市地内から津市地内まで)及びこれに伴う市道付替工事に係る裁決申請及び明渡裁決申立事件

起 業 者  国土交通大臣 石井啓一

(裁決申請及び明渡裁決の申立てに至った経緯等概要)

 本件土地の登記名義人はAであるが、Aが平成22年4月27日に死亡したことにより相続が開始している。起業者は戸籍等の調査を行い、法定相続人をB及びCの2名と確認した。

 本件土地の取得にあたり、起業者は、平成21年1月より交渉窓口であるAの長男Cと用地交渉を開始し、土地単価について説明したが、理解を得られなかった。

 その後、平成21年2月及び平成22年1月に土地単価の算定根拠を説明するも、了解が得られなかった。その後、平成22年4月27日にAが死亡した。

 交渉窓口であるCとは、起業者の対応への不満行政に対する不信感を理由に平成27年5月6日を最後に面会ができない状況になっている。何度も電話、電子メール及び手紙により面会依頼を行ったが面会できず、その後、Cからは、自宅への訪問をしないよう申し出があり、協議の継続が困難となったことから、今後の任意交渉は進展しない状況にあった。

 同じくBについては、平成27年5月6日に、Cとの面会に同席している。その後、Cと面会できない状況になったため、何度も電話や手紙、面会にて交渉の継続をお願いするものの、「Cに任せているため、Cと国が話すときに同席により参加したい」と主張され、その後、平成29年9月7日に電話及び面談しないよう申し出があり、協議の継続が困難となったことから、今後の任意交渉は進展しない状況にあった。

 このため、今後協議を継続しても任意で解決を図ることは極めて困難であり、ひいては事業の完成が著しく遅延することから、事業の計画的な進捗を図るため、裁決申請及び明渡裁決の申立てに至ったものである。


(本事例のポイント:土地所有者について)

 委員会は審理において、Cに対し、法定相続人間における遺産分割協議の状況等について確認したものの土地所有者を確知するには至らなかった

 よって、土地所有者は「不明 ただし、亡A法定相続人のうちいずれか又は全員 持分不明」とする。


裁決書における土地所有者記載例

土地所有者  不明

ただし、亡Aの法定相続人のうちいずれか又は全員

持分不明  (住所略) B ・ (住所略) C


※ 本事例では、B及びCが委員会の審理に出席せず、遺産分割や相続分について意見書等での主張もなく、所有権の帰属や持分等について、終局的に明らかにならなかったので、やむを得ず上記記載例のように、「不明裁決」とされた。