最近の収用事例

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最近の収用事例


1 H31年4月1日
三重県収用委員会平成30年1号事件


2 H31年4月15日
沖縄県収用委員会平成28年10号事件







過去問の分野別解説テキスト【H20年度〜H28年度】
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最近の収用事例



(東海4県・東京都・沖縄県の最近の収用事例) 


 受験生の皆さんは、土地収用手続きについて、試験対策として勉強されているので、制度や手続についてはなんとなく理解できていると思います。しかし、いまひとつ具体的イメージが付きにくいのではありませんか。

 また、用地事務に実際に従事する自治体の職員の方も、理解が十分とは言い難いのではありませんか。

 ここでは、どんなときに、どんなふうに収用手続きが利用されているかを、平成29年度から平成30年度に実際の現場で扱われた裁決事件について、東海4県(愛知県・岐阜県・三重県・静岡県)並びに収用事件が多い東京都及び沖縄県の事例の【概要とポイント】を基に順次紹介します。

 なお、裁決書の形式(ひな形)は、前節「土地収用法基礎講座(4 権利取得裁決・明渡裁決)」の愛知県S市の裁決書(抜粋)を参照してください。


1 三重県収用委員会平成30年1号事件の概要(用地交渉困難及び所有者及び持分等が不明の収用裁決事案:平成29年12月14日申請、平成30年5月14日裁決)


(件名) 一般国道23号改築工事(鈴鹿市地内から津市地内まで)及びこれに伴う市道付替工事に係る裁決申請及び明渡裁決申立事件


(裁決申請及び明渡裁決の申立てに至った経緯等概要)

 本件土地の登記名義人はAであるが、Aが平成22年4月27日に死亡したことにより相続が開始している。起業者は戸籍等の調査を行い、法定相続人をB及びCの2名と確認した。

 本件土地の取得にあたり、起業者は、平成21年1月より交渉窓口であるAの長男Cと用地交渉を開始し、土地単価について説明したが、理解を得られなかった。

 その後、平成21年2月及び平成22年1月に土地単価の算定根拠を説明するも、了解が得られなかった。その後、平成22年4月27日にAが死亡した。

 交渉窓口であるAとは、起業者の対応への不満行政に対する不信感を理由に平成27年5月6日を最後に面会ができない状況になっている。何度も電話、電子メール及び手紙により面会依頼を行ったが面会できず、その後、Aからは、自宅への訪問をしないよう申し出があり、協議の継続が困難となったことから、今後の任意交渉は進展しない状況にあった。

 同じくBについては、平成27年5月6日に、Cとの面会に同席している。その後、Cと面会できない状況になったため、何度も電話や手紙、面会にて交渉の継続をお願いするものの、「Cに任せているため、Cと国が話すときに同席により参加したい」と主張され、その後、平成29年9月7日に電話及び面談しないよう申し出があり、協議の継続が困難となったことから、今後の任意交渉は進展しない状況にあった。

 このため、今後協議を継続しても任意で解決を図ることは極めて困難であり、ひいては事業の完成が著しく遅延することから、事業の計画的な進捗を図るため、裁決申請及び明渡裁決の申立てに至ったものである。


(本事例のポイント:土地所有者について)

 委員会は審理において、Cに対し、法定相続人間における遺産分割協議の状況等について確認したものの土地所有者を確知するには至らなかった

 よって、土地所有者は「不明 ただし、亡A法定相続人のうちいずれか又は全員 持分不明」とする。


裁決書における土地所有者記載例

土地所有者  不明

ただし、亡Aの法定相続人のうちいずれか又は全員

持分不明  (住所略) B ・ (住所略) C


※ 本事例では、B及びCが委員会の審理に出席せず、遺産分割や相続分について意見書等での主張もなく、所有権の帰属や持分等について、終局的に明らかにならなかったので、やむを得ず上記記載例のように、「不明裁決」とされた。



2 沖縄県収用委員会平成28年10号事件の概要(補償金の支払請求に係る見積補償金の支払及び損失の補償額の争点事案:平成28年5月6日付け裁決申請、平成28年7月29日付け明渡裁決申立、平成29年6月8日裁決)


(件名) 県道浦添西原線改築事業裁決申請等事件その1(浦添市地内)及びこれに伴う市道付替工事に係る土地収用事件


(裁決申請に至った経緯等概要)

本件収用対象地(甲地、乙地、丙地)のうち、甲地及び乙地の土地所有者はA及びBで、丙地の土地所有者はAである。起業者は、平成19年7月から土地所有者と協議を開始しているが、土地単価に対する不満からAの合意を得られない状況であった。

このような状況の中、平成28年4月27日、Aから法第39条第2項に基づく裁決申請請求がなされたため、起業者は、同年5月6日に法第39条第1項及び法第44条第1項に基づき、添付書類の一部を省略して裁決申請を行い、同年7月27日に法第44条第2項に基づく裁決申請書添付書類の補充及び同年7月29日に法第47条の2第3項に基づく明渡裁決申立てを行ったものである。


(本事例のポイント 1:見積補償金の支払について)

平成28年4月27日にAから、同年5月25日にBから法第46条の2第1項に基づく補償金支払請求があったので、Aの単独所有である丙地に係る見積補償金については支払期限内である平成28年8月26日に、共有地である甲地及び乙地に係る見積補償金については支払期限内の同年28年9月15日に支払いを行った。


(本事例のポイント 2:損失の補償について)

1 収用対象地の評価額について

  当収用委員会は、裁決申請書の添付書類、審理における当事者の申立て及び現地調査の結果並びに法第65条第1項第2号の規定に基づき鑑定を命じた不動産鑑定士による鑑定評価額等を総合的に検討した結果、事業認定告示日における本件収用対象地の評価額は1平方メートル当たりの価格は○○円もって相当と認める。よって、事業認定告示日時点における本件収用対象地の評価額は、1平方メートル当たりの価格にそれぞれの面積を乗じて得た額となり、下表(略)とおりとする。なお、甲地及び乙地は共有地であることから、各人別の補償については、それぞれの持分2分の1に応じて計算する。

(※ 本件は、起業者見積額<委員会の評価額<土地所有者の請求額、であり、 委員会の評価額で裁決した。)


2 残地に対する補償額について

  当収用委員会は、裁決申請書の添付書類、審理における当事者の申立て及び現地調査の結果並びに法第65条第1項第2号の規定に基づき鑑定を命じた不動産鑑定士による鑑定評価額等を総合的に検討した結果、・・・

(※残地補償についても、起業者見積額<委員会の評価額<土地所有者の請求額、であり、委員会の評価額で裁決した。)


3 補償金残額について

  当収用委員会が認定した補償額と既払補償金との間に過不足があるときは、起業者が支払うべき補償金の残額及び土地所有者又は起業者が返還を受けることができる額を裁決することとなるが、上記のとおり、差額が生じるため、法第90条の3第1項第2号に規定する補償金の残額は、下表(略)のとおりとする。


4 加算金について

 上記3により、起業者が支払う補償金の残額に対する法第90条の3第1項第3号に規定する加算金の額は、…支払期限の翌日から本裁決までの日数に対し、同条第2項の規定による利率を乗じた結果、下表(略)のとおりとなる。


裁決書における補償額及び加算金記載例


1 損失の補償は、次のとおりとする。

(1)土地に対する損失の補償について

土地所有者Aに対し、        金    X円

 既払補償金              金    Y円

 補償金の残額            金  X-Y円

土地所有者Bに対し、         金    X´円

 既払補償金              金    Y´円

 補償金の残額            金 X´-Y´円


(2)土地に対する損失補償を除くその他の損失補償

なし


2 加算金は、次のとおりとする。

  土地所有者Aに対し、           金     Z 円

  土地所有者Bに対し、           金     Z´円