最近の収用事例

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(収用の現場からのレポート)
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1 R元年4月1日
三重県収用委員会平成30年1号事件

最近の収用事例(収用の現場からのレポート)



(東海4県・東京都・沖縄県・長崎県の最近の収用事例)


1 三重県収用委員会平成30年1号事件の概要(用地交渉困難及び所有者及び持分等が不明の収用裁決事案:平成29年12月14日申請、平成30年5月14日裁決)

(※説明の便宜のため、事例及び裁決書の内容を少し変更してあります。正確な内容を知りたい方は、ホームページの連絡先にお問い合わせください。)


(件名) 一般国道23号改築工事(鈴鹿市地内から津市地内まで)及びこれに伴う市道付替工事に係る裁決申請及び明渡裁決申立事件

起 業 者  国土交通大臣 石井啓一

(裁決申請及び明渡裁決の申立てに至った経緯等概要)

 本件土地の登記名義人はAであるが、Aが平成22年4月27日に死亡したことにより相続が開始している。起業者は戸籍等の調査を行い、法定相続人をB及びCの2名と確認した。

 本件土地の取得にあたり、起業者は、平成21年1月より交渉窓口であるAの長男Cと用地交渉を開始し、土地単価について説明したが、理解を得られなかった。

 その後、平成21年2月及び平成22年1月に土地単価の算定根拠を説明するも、了解が得られなかった。その後、平成22年4月27日にAが死亡した。

 交渉窓口であるCとは、起業者の対応への不満行政に対する不信感を理由に平成27年5月6日を最後に面会ができない状況になっている。何度も電話、電子メール及び手紙により面会依頼を行ったが面会できず、その後、Cからは、自宅への訪問をしないよう申し出があり、協議の継続が困難となったことから、今後の任意交渉は進展しない状況にあった。

 同じくBについては、平成27年5月6日に、Cとの面会に同席している。その後、Cと面会できない状況になったため、何度も電話や手紙、面会にて交渉の継続をお願いするものの、「Cに任せているため、Cと国が話すときに同席により参加したい」と主張され、その後、平成29年9月7日に電話及び面談しないよう申し出があり、協議の継続が困難となったことから、今後の任意交渉は進展しない状況にあった。

 このため、今後協議を継続しても任意で解決を図ることは極めて困難であり、ひいては事業の完成が著しく遅延することから、事業の計画的な進捗を図るため、裁決申請及び明渡裁決の申立てに至ったものである。


(本事例のポイント:土地所有者について)

 委員会は審理において、Cに対し、法定相続人間における遺産分割協議の状況等について確認したものの土地所有者を確知するには至らなかった

 よって、土地所有者は「不明 ただし、亡A法定相続人のうちいずれか又は全員 持分不明」とする。


裁決書における土地所有者記載例

土地所有者  不明

ただし、亡Aの法定相続人のうちいずれか又は全員

持分不明  (住所略) B ・ (住所略) C


※ 本事例では、B及びCが委員会の審理に出席せず、遺産分割や相続分について意見書等での主張もなく、所有権の帰属や持分等について、終局的に明らかにならなかったので、やむを得ず上記記載例のように、「不明裁決」とされた。