土地収用法基礎講座(3 事業認定の告示)
(3 事業認定の告示)
前回説明した「2 土地収用の手続の流れ」の中では、事業の公益性を認定するF事業認定の告示と補償額を決めるO権利取得裁決・P明渡裁決が重要です。
ここでは、Fの具体例を紹介します。
Fについて 民主党政権時代につぶれかけた八ッ場ダムの事業認定の告示書の抜粋を紹介します。内容は以下のとおりです。特に第4の「事業の認定をした理由」の土地収用法第20条の各号の要件は絶対に覚えてください。「補償関連」の口述では、かなりの頻度で、第20条各号の要件を説明するよう求められます。
国土交通省告示第六百八十五号
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号。以下「法」という。)第二十条の規定に基づき事業の認定をしたので、法第二十六条第一項の規定に基づき次のとおり告示する。
なお、起業地の一部について収用又は使用の手続が保留されるので、法第三十三条の規定に基づきその旨をあわせて告示する。
平成二十八年四月二十二日
国土交通大臣 石井啓一
第1 起業者の名称 国土交通大臣
第2 事業の種類 一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事
第3 起業地
1 収用の部分 群馬県吾妻郡長野原町大字川原畑字八ッ場地内(以下略)
2 使用の部分なし
第4 事業の認定をした理由
申請に係る事業は、以下のとおり、法第20条各号の要件を全て充足すると判断されるため、事業の認定をしたものである。
1 第20条第1号の要件への適合性
本件事業は、河川法(昭和39年法律第167号)第3条第1項に規定する河川のうち、一級河川に関する事業であり、法第3条第2号に掲げる河川法が適用される河川に関する事業に該当する。したがって、本件事業は、法第20条第1号の要件を充足すると判断される。
2 法第20条第2号の要件への適合性
起業者は、本件事業を遂行する充分な意思と能力を有すると認められる。
(略) したがって、本件事業は、法第20条第2号の要件を充足すると判断される。
3 法第20条第3号の要件への適合性
(略) したがって、本件事業は、土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものと認められるため、法第20条第3号の要件を充足すると判断される。
4 法第20条第4号の要件への適合性
(略) したがって、本件事業は、土地を収用し、又は使用する公益上の必要があると認められるため、法第20条第4号の要件を充足すると判断される。
5結論
以上のとおり、本件事業は、法第20条各号の要件を全て充足すると判断される。
第5 法第26条の2第2項の規定による図面の縦覧場所 群馬県吾妻郡長野原町役場
第6 収用又は使用の手続が保留される起業地 群馬県吾妻郡長野原町大字川原畑字久森地内
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