土地収用法基礎講座 (5 事業認定の告示後の周知措置)
(5 事業認定の告示後の周知措置)
今回は、事業認定の告示後の「補償等についての周知措置」について扱います。
事業認定の告示があれば、土地所有者、関係人は、強い権利制限を受ける反面、損失補償金の支払請求等をすることができます。しかし、土地所有者等は請求の方法についてわからないので、その内容や手続等を知らせる必要があります。それが周知措置です。通常はパンフレットや現地の看板が周知措置の一般的手段です。以下はその記載例です。これにより、収用委員会の裁決手続きに移行していきます。
土地収用法に基づく補償等についてのお知らせ
起業者○○市が皆様のご協力により進めております市道○○号線改築工事(○○バイパス:○○県○○市○○町○○地内)について、平成○○年○○月○○日付け○○県告示第○○○号をもって土地収用法による事業認定(手続開始)の告示がありましたので、土地所有者及び関係人の皆様に、土地収用法第28条の2の規定により、次の事項についてお知らせします。
記
1事業認定(手続開始)の告示があった土地
○○県○○市○○町○○地内
(注)この土地を表示する図面は、○○市役所○○部○○課でご覧ください。※図面の長期縦覧
2土地価格の固定について
前記1の土地については、事業認定(手続開始)の告示があった日をもって土地価格が固定されることになります。※(物件の補償は、明渡裁決時になります。)
3関係人の範囲の制限について
事業認定(手続開始)の告示があった日以後に、新たな権利を取得した方は、既存の権利を承継した方を除き関係人に含まれないこととなります。
4損失補償の制限
事業認定(手続開始)の告示があった日以後に、土地の形質を変更し、工作物を新築し又は増改築等をするときは、あらかじめ○○県知事の承認を得なければ、これに関する損失の補償は受けられません。
5裁決申請の請求について
裁決申請は、起業者が行いますが、土地所有者及び土地に関する所有権以外の権利をもっている関係人は、自分が権利をもっている土地について裁決の申請をはやく行うよう起業者に対し請求することができます。
6補償金の支払請求について
土地所有者及び土地に関する所有権以外の権利をもっている関係人は、土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の支払いを起業者に対して請求することができます。この補償金の支払請求は、裁決申請の請求とあわせてしなければなりません。
7明渡裁決の申立てについて
明渡裁決の申立ては、土地所有者及び関係人が早期に移転を希望されるときなどは、直接○○県収用委員会あてにすることができます。
8 パンフレットの配布について
補償等に関する詳しい内容については、パンフレット「補償等についてのお知らせ」に記載されていますので、必要な方は○○市役所○○部○○課においで下されば配付いたします。
9 その他不明な点については、○○市役所○○部○○課(電話○○○−○○○−○○○○内線○○○)に照会願います。※周知措置は起業者が行う
平成○○年○○月○○日
○市役所 市長○○
(過去問)
H27-9-2.(×)都道府県知事は、起業者からの依頼があった場合、速やかに土地所有者及び関係人が受けることのできる補償等について周知させるための必要な措置を講じなければならない。※(周知措置は、起業者が講じなければならない。法第28条の2 補償等について周知させるための措置)
H26-8-1.(○) 起業者は、事業の認定の告示があったときは、直ちに土地所有者、関係人に対して土地所有者、関係人が受けることができる補償の内容、支払い請求の方法等について周知する措置を講じなければならない。※(法28条の2、規則13条、13条の2)
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