東山の森不動産・補償コンサルタント


マンション管理講座

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1 成年後見制度について)


2 民法(債権法)改正によるマンション管理への影響について


3 民法(相続法)改正について


4 民法(成年年齢関係)改正について


5 民法改正(配偶者居住権)につい


6 マンションの管理 1(管理費等滞納に係る法的手続きについて)


7 マンションの管理 2(内容証明郵便の作成方法)


8 マンションの管理 3(管理費等の滞納に係る取立ての手続について)


9 マンションの管理 4(管理費等の滞納の場合の「内容証明郵便」の作成方法)


10 マンションの管理 5 マンションの火災保険(共用部分と専有部分の保険について)


11 マンションの管理 6≪団地総会と棟総会の違いについて≫


12 マンションの管理 7(管理計画認定制度について)


13 マンションの管理 8(調停申立書について)


14 マンションの管理 9(住民票調査について)


15 マンションの管理 10(相続人調査)


2 民法(債権法)改正によるマンション管理への影響について

1896年(明治29年)に制定された民法が、制定以来120年ぶりに債権部分を中心に抜本的に改正され(2017年6月2日公布)、来年(2020年4月1日)から施行されることになりましたが、マンションの管理については、改正による大きな変化はありません。

 マンションの管理については、管理費等の滞納の関係で、以下の2点―「時効」と「法定利率」―について若干の影響があります。

@ マンションの管理費等の滞納と「時効」について

 時効に関しては、今回、法第169条「定期給付債権の5年の短期消滅時効制度」が廃止されたました。従来、マンションの管理費等の消滅時効については、法第169条の「定期給付債権短期消滅時効」として、債権者が権利を行使することができる時から5年間行使しないと、時効によって消滅するされていました。(注)

(注) マンション管理組合が組合員である区分所有者に対して有する管理費及び特別修繕費に係る債権は、基本権たる定期金債権から派生する支分権であり、5年間の短期消滅時効を定める民法第169条の定期給付債権に当る。(最高裁判例・平成16年4月23日)

 改正民法では,債権の原則的な消滅時効期間について、「権利を行使することができることを知った時」から5年又は「権利を行使できる時」から10年と定めました(法第166条第1項)。 これは、定期給付債権を含む短期消滅時効等について、特別扱いをやめ、一般の債権と同様の扱いとなりました。

 従って、マンションの管理費等の消滅時効期間は、改正によっても、期間的には5年間に変わりはありません。その結果、管理費等についても「権利を行使することができることを知った時」から5年又は「権利を行使できる時」から10年で時効が完成します。

 なお、管理費等について,債権者(管理組合)が「権利を行使することができることを知った時」は、通常、債権の発生した時点と合致しますから、改正前の「権利を行使できる時」から5年という規律と、大きな変化はありません。

 ただし、現行法では、毎月発生する管理費ではなく、修繕一時金などの一時的な費用に関しては、従来10年間の消滅時効期間が適用されていましたが、改正法によると、そのような一時金も5年間の消滅時効期間が適用されることになります。


A マンションの管理費等の滞納と法定利率について

 法第404条法定利率が年5%から年3%に変更されることもマンションの管理費等の滞納問題に影響があります(改正後は、法定利率の変動制度も設けられています。)。

 管理規約で遅延損害金の利率を定めているマンションであれば問題ないのですが、そうではないマンションの場合、民法所定の法定利率(現行法であれば5%、改正法だと3%)が適用されることになりますので、遅延損害金の利率が下がることになります。また、管理費等の滞納問題は長期化することも少なくありませんので、法定利率の変動制の影響も受け、遅延損害金の計算が煩雑になることも考えられます。

 もし、現時点で、管理規約に遅延損害金の利率の定めがないマンションがあれば、早めに規約を変更して、遅延損害金の利率を定めておくことをおすすめします。


B まとめ

 以上の2点がマンションの管理費等の滞納関係に影響のある改正点ですが、毎月発生する管理費に関して5年間の消滅時効期間に変わりはありませんし、規約で遅延損害金の利率を定めているマンションであれば法定利率の変更も影響はありません。

 したがって、マンションの管理費等に関しても、実務上民法改正の影響はほとんどありません。



債権法の改正については、法務省のホームページ
「民法の一部を改正する法律(債権法改正)」
を参照してください。